三菱ケミカル(MCC)と米国のエイミティス社はこのほど、MCCのバイオエタノール製造プロセス向けのゼオライト膜「ゼブレックス」を、エイミティス社保有の製造プラントに導入することで合意したと発表した。
MCCは同じ三菱ケミカルホールディングスグループである、大陽日酸の米国子会社マチソン・トライガスと共同でエイミティス社と協議を進め、北米でのマーケティングの戦略提携先である、エンジニアリングメーカーの米国ICM社を通じ、提携第1号案件として、世界最大規模のゼブレックスをエイミティス社に納入する。
また今回の案件は、バイオエタノールの生産量で、世界シェア約50%の米国へのゼブレックス導入第1号案件となる。
エイミティス社は、既存プラントで採用している従来のPSAプロセスから、ゼブレックスに置き換えることで、約25%のエネルギー消費量削減を達成し、1年間で約1万6000千tのCO2排出量を削減する。
近年、米国やブラジルを中心に世界各国で、カーボンニュートラルでCO2排出抑制につながる燃料として、トウモロコシやサトウキビ、キャッサバなどのバイオマスを原料とする、バイオエタノールの利用が普及しつつある。さらに今後は、非可食原料から作られる第2世代のバイオエタノールも、米国やインドなどで本格的な生産が見込まれている。
バイオエタノールを燃料として用いるためには、一定以上の濃度まで脱水する必要がある。ゼブレックスは最先端のゼオライト膜脱水システムで、再生工程が不要で連続的な脱水が可能であるため、PSAプロセスに比べ、エネルギー消費量を20~30%程度削減できる。
ゼブレックスは新設だけでなく、PSAプロセスからの置き換えや増設によっても、CO2排出量の削減、オペレーションコストの削減、生産効率向上による増産、安定運転が可能となる。
エイミティス社が事業展開する米国カリフォルニア州では、LCFS(低炭素燃料基準)を施行し、積極的に自動車燃料の温室効果ガス排出規制に取り組んでいる。ゼブレックスの採用により、バイオエタノール製造時のCO2排出量削減への貢献が期待できる。