新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、委託先のアビヅとともに、タイ・バンコク近郊のリサイクル工場に電気・電子機器廃棄物(WEEE)の破砕・整粒から選別までを自動化したタイ初の一貫リサイクルシステムを構築し実証運転を開始した。
タイでは生活水準の向上を背景に、WEEEが増加する傾向にあるが、回収や処理に関する法律の整備が追いつかず、不適正な廃棄物処理が原因とされる作業員の健康被害や水質・土壌汚染などが課題となっている。
このような背景の下、NEDOとタイ工業省工場局は2019年にWEEEのリサイクル実証事業に取り組むことに合意。委託先アビヅとともに、タイでリサイクル事業を手掛ける日髙洋行エンタープライズのゲートウェイ工場(チェチュンサオ県プレーンヤーオ郡)にWEEEの一貫リサイクルシステムを構築した。
日本の高度リサイクル技術を活用したシステムで、WEEE破砕後のプラスチックやガラス、金属などの混合物の粒度や比重を選別し、銅やステンレス、アルミ、貴金属などの有価物を効率よく回収する。実証試験は来年2月末まで行い、環境に配慮した適正なWEEEリサイクルシステムの確立を目指す。
さらに、タイ国内では処理できない金や銀などの貴金属と、鉛や亜鉛などの有害廃棄物の混合物を、有用資源として日本で再資源化する取り組みも始める。これにより国際的な資源循環を実現し、アジア各国でのリサイクルモデルの確立につなげる考えだ。併せて、日本の家電リサイクル法や小型家電リサイクル法を参考にしながら、タイに適した廃棄物処理に関わるガイドラインを策定する共同検討にも着手する。