DICは28日、食品用着色剤、化粧品用途など天然由来色素の事業拡大を目的として、バイオベンチャー企業のデビュー・バイオテクノロジー社(米国カリフォルニア州)との天然由来色素の新合成法に関する共同研究開発を開始したと発表した。
近年、食品用着色料や化粧品用途などの分野で、石油由来の合成着色料から安全な天然由来着色料への代替ニーズが急増している。しかし、花や植物といった天然物から抽出される色素などの成分は含有量が少なく、抽出後に廃棄物が大量に発生するといった問題や、多くの土地、水を必要とするといった環境面での課題がある。また使用に当たり、天候不順による供給安定性や色目などの性能が振れるなどの農業特有の問題がある。
この解決策として、細菌や酵母、藻類などを用いた培養による高効率生産が検討されているが、細胞内の生体反応を用いるため、全ての反応プロセスを最適な条件で行うのが難しく、多くの副生成物が発生するという課題が残る。
DICと共同研究を行うデビュー社は、生体内で用いられる酵素を細胞から取り出し、最適な条件で反応させることで様々な物質を効率的かつ連続的に製造する「次世代バイオ合成プラットフォーム」を保有。同プラットフォームは生物と同じ酵素を用いるが、細胞を用いない(セルフリー)ため、全ての反応を最適化でき、安定した純度の高い目標物の合成が可能となる。また、従来は含有量が低いために見逃されてきた有効成分を特異的に生産することも期待される。
研究開発においては、デビュー社の酵素反応に対する高い知見およびプロセスデザインと、DICの顔料やヘルスケア食品などのカラーマテリアル分野で培ったスケールアップ技術、品質管理、製品開発能力を組み合わせることで、従来にないサステナブルで高付加価値な天然由来色素の開発・製品化とグローバル市場での販売を目指す。