三菱ケミカルは22日、プリント配線基板用熱可塑性樹脂フィルム「IBUKI」について、電気特性を向上させ、高周波領域における伝送損失を低減した新グレード「New-IBUKI(仮称)」を開発したと発表した。東京ビッグサイトで開催される「JPCA Show 2021」(10月27~29日)に出展し、初めて紹介する予定。
「IBUKI」は、接着剤を用いずに一括多層プレス加工を容易にした、プリント配線基板用熱可塑性樹脂フィルム。優れた寸法安定性、高周波特性、低温加工性、耐熱性、加水分解特性といった特長をもっており、配線基板用絶縁基材などに使用されている。
今後普及が見込まれる5Gなどの次世代通信では波長が短い高周波が使われるため、従来の素材では電波を損失させ、通信に支障を来すおそれがあり、新素材の開発が求められている。
今回開発した「New-IBUKI」は、「IBUKI」の特長はそのままに、高周波領域における伝送損失を軽減させた製品で、次世代通信用の配線基板材料として活用できる。電子機器の薄型化、小型化、高機能化に伴い、プリント基板は今後ますます高多層化、部品内蔵化が進むと見られている。
同社は、顧客ニーズの多様化・高度化に対応する開発を進めることで、「IBUKI」シリーズのさらなる普及と、事業の発展を目指していく。