大陽日酸はこのほど、ヘリウム製品(シリンダー、トレーラー、液体、特殊ガス)を、来年1月1日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は、現行価格から20%以上で、納入条件に応じて輸送コストの上昇分も、別途改定するとしている。
ヘリウムガスは海外の天然ガスから精製・生産される希少資源。世界的に供給の多くを米国とカタールに依存しており、日本では全量輸入している。
世界のヘリウム生産量は、2017年以降、中東での政情不安による輸送問題、生産基地の老朽化による突発トラブル、米国土地管理局の段階的な減産計画により減少している。
一方、需要面では中国・インド・新興国での半導体や光ファイバーの製造、医療用のMRI、宇宙産業の発展による急激な需要増加があり、今後数年間は、需給バランスが崩れた状況が継続する見込みだ。
このような状況下、同社では、安定供給体制を確保するために、調達先の複数化、新規ソースの開拓など、あらゆる手立てを講じているが、大幅なコスト上昇は、自助努力の限界を超えていることから、今回、価格改定の実施を決定した。