ポリプラスチックス 耐アルカリストレスクラッキング性向上のPBTを開発

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2019年1月18日

 ポリプラスチックスは17日、耐アルカリストレスクラッキング性に優れた、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)「ジュラネックス」の新グレードを開発したと発表した。

 近年の自動車市場では技術開発により、走る・曲がる・止まるといった自動車の基本性能の向上に加え、安全・快適・環境配慮などの視点からECUケースやセンサー・コネクタなど、新たな製品や部品の開発が進められている。これらの増加によりスペースが不足し、シャーシ部などの車両下部に部品が設置されるケースが増えている。

 ただ、車両下部に設置される部品は、水や泥はねなどにより金属部分に発生した錆と接触しやすい状況にある。錆が発生する際に生じるアルカリ物質は、樹脂にダメージを与えクラックを発生させること(ストレスクラッキング)があり、部品の機能を損なう可能性があった。

 「ジュラネックス」は物性バランスに優れ、自動車部品に幅広く使用されている樹脂だが、一般的にアルカリ耐性が高くない。そこで同社は、PBTのアルカリ環境下の耐ストレスクラッキング性に対する改質検討を進め、新グレード「ジュラネックス 532AR」を開発。

 新グレードは、アルカリの樹脂内部への浸透を低減させるとともに、発生応力を減少させるため、靱性を付与することで、成形品がアルカリに接触した際のクラック発生リスクを低減させることに成功した。

 また、アルカリ環境下の耐ストレスクラッキング性だけでなく、耐加水分解性や耐ヒートショック性にも優れているため、自動車部品の信頼性や寿命の向上を図れるグレードとなっている。

 

ポリプラスチックス 「地域元気プログラム」で借り入れを実施

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2018年12月3日

 ポリプラスチックスは30日、日本政策投資銀行が取り組む「地域元気プログラム」に基づいた、地域金融機関を含む五行の参加するシンジケート・ローンによる借り入れを実施することにしたと発表した。

 借入総額は50億円、借入先は日本政策投資銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、静岡銀行、清水銀行。「地域元気プログラム」は主要な工場・研究開発拠点など、地域での継続的な立地を支援することなどを通じて、地域を支える企業をサポートする日本政策投資銀行の取り組み。

 同社の富士工場は、これまで培った技術やノウハウを海外工場へ展開するマザー工場として、隣接する研究開発センターとテクニカルソリューションセンターとともに、地域の雇用の維持・創出などに大きく貢献する重要な拠点となっている。

 今回の借り入れは、富士工場の環境に配慮したエネルギー供給設備の導入、南海トラフ地震に備えた耐震強化工事などについて、プログラムの対象として認定されたもの。

 同社のCSR活動の重点項目の1つである「事業活動を通じて社会を良くする機会を提供する」という考え方に基づき、富士工場が立地する地域の金融機関も参加する、シンジケート・ローンによる借り入れを実施することにした。

ポリプラスチックス 無理抜き成形可能なPPSのグレード公開

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2018年9月20日

 ポリプラスチックスは19日、「ジュラファイドPPS(ポリフェニレンサルファイド)」の無理抜き成形が可能なグレードを検証し、各種データとともにその検証結果をwebサイトに公開した。

 従来、自動車の冷却系部品(冷却水制御バルブ、インレット、アウトレットパイプなど)は6‐6ポリアミドや芳香族ポリアミドが主に使用されてきたが、ポリアミドは加水分解による強度低下や吸水による寸法変化などを起こすため、設計者にとっては使用が難しい材料。このため、冷却系部品でPPSが採用される事例が非常に増加している。

 ただPPSには、ポリアミドを用いて部品を成形する際に行われる「無理抜き成形」が難しいという課題があることに加え、バリレスが求められる部品にPPSを使用する場合、バリ取り工程が必要になることが多く、コストアップにつながっている。そこで、ユーザーの設計の自由度を高め、材料選定拡大の一助になると考え、ジュラファイドPPSの無理抜き成形が可能なグレードを公開した。

 同社は、エンジニアリングプラスチックのリーディングカンパニーとして、材料技術だけでなく、成形・加工技術の開発にも積極的に取り組んでいる。今回、公開した製品・技術に加え、成形・加工技術を融合させた同社の新たな発想を生産者に届けたいと考えており、今後も技術情報を発信していく方針だ。