ランクセス 豚コレラ対策へ消毒剤「ビルコンS」を提案

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2019年3月19日

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスは、日本の5府県で豚コレラ(CSF)が発生していることを受け、同社の広域スペクトル消毒剤「ビルコンS」の使用を提案している。

 「ビルコンS」は、抵抗力の強いノンエンベロープウイルスを含む、種々のウイルスや細菌などへの強力な消毒効果、耐性獲得の心配がなく、消毒スピードが早い、などの特徴がある。バイオセキュリティ(防疫対策)基準としての性能特性を備え、豚舎・設備表面・器具・靴に関する消毒剤として使われるが、特に輸送車両を介した病気の拡散防止に有効だ。

 安全性を確認するための広範囲のテストを実施した結果、作業者がバイオセキュリティ対策を実施する際、過度な防護服着用の必要がないことを確認している。英国の第3者評価機関が実施したCSF抗ウイルス有効性に関する評価で、150倍の希釈率で有効性が実証されている。同評価は実際の農場を想定して、有機汚染物質がある4℃以下の環境条件で行われた。

 同社では「ビルコンS」の提供に加え、養豚農家へのCSFの臨床症状に関するタイムリーなアドバイス、野生のイノシシなどの動物・輸送車・居住施設・作業者など、予想される感染経路などに対する防疫対策の指導を全世界で行っている。現在、日本で発生しているCSFに対しては、獣医師や自治体への情報提供を通じて、適切な消毒剤の使用を養豚農家に紹介している。

ランクセス 逆浸透膜エレメントの製品群を拡充

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2019年3月8日

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスは、逆浸透(RO)膜エレメントの製品群の拡充を図っている。逆浸透技術は淡水化と浄水に使われ、pH値や塩分濃度などのパラメーターが急に変動する可能性がある、工業用水・都市用水・廃水の再利用で急速に成長している。

ランクセス AG
ランクセス AG

 新製品の「レバブレンHP(高性能)」シリーズは、高い除去率とエネルギー効率の両立を実現するエレメント。イオン交換樹脂「レバチット」と組み合わせて使用することで、より低い運転コストで高水準の透過水を実現する。特に ROプロセスがイオン交換のような、他の分離プロセスと組み合わせて設計されている場合、より低い運転圧力、より高い除去率、負荷低減による設備の高寿命化を可能にする。

 新製品は2012年に発売した、高架橋ポリアミド複合膜をさらに進化させた。99.7%の平均塩除去率と高透過性を備えている。製造工程でポリアミド架橋を制御することで、電荷にかかわらず、高い溶質阻止率をもつ微細な「孔径」を実現した。また、プロセスの最適化によって、透過水質を損なうことなく流束を改善。これにより、パラメーターが変動しても、優れた流束率で高い除去率が可能になった。

 代表的な用途としては、発電設備でのボイラー水製造や超純水製造などの複合プロセス、廃棄物ゼロを目指した「ゼロ・リキッド・ディスチャージ」を目指した設備が挙げられる。また、同社が開発した、RO膜とイオン交換樹脂システム用の総合的なデザインソフトウェア「レバプラス」は、使いやすく信頼性の高い水処理設備の設計を可能にする。

 顧客が無料でダウンロードできるこのソフトウェアは、イオン交換とRO膜のシステムを別々に、あるいはハイブリッド化システムとしての設計を支援する。これまでのランクセスの知識と経験の蓄積に基づいており、あらゆるニーズを満たすための一助として、システム設計者に情報を提供する。最新の2.0.9バージョンでは、すでに新製品の「レバブレンHP」に対応している。

 

 

ランクセス 独レバクーゼンのイオン交換樹脂設備を強化

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2018年12月6日

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスはこのほど、ドイツ・レバクーゼン拠点のイオン交換樹脂製造設備に数100万ユーロを投資し、プロセス技術と稼働効率の最適化を図ると発表した。同プロジェクトは、2019年上半期に完了する予定。

 イオン交換樹脂の需要は、特に電気自動車の普及によりバッテリー業界で増加、電池の製造に不可欠な金属(リチウム、ニッケル、コバルト)の抽出に用いられている。

 ランクセスの経営委員会メンバー、レニェー・ファン・ラッセル氏は、「イオン交換樹脂ビジネスでは、多くの未来型産業に大きな可能性を感じている。当社の技術を最適化することで、この可能性をより有効に活用していく。今回の投資により、ドイツの製造活動の中心としてレバクーゼン拠点の位置付けを一層強化する」との展望を示した。

 イオン交換樹脂は、液体中の様々な物質を吸収するポリマービーズ。取り除く物質によって異なる機能を備えたビーズが使用される。家電向けでは、食器洗浄機の硬水軟化装置や家庭用水ろ過装置のカートリッジなどがある。水道水から不要なカルシウム、マグネシウム塩、鉛イオン、銅イオンなどを除去し、生活用水や飲料水の品質を向上させる。

 発電所では、プロセス水や蒸気の高純度化に使用されている。設備内のスケール付着や腐食を防止し、施設の効率性を高めるほか、安全な稼働、総合的には施設の耐用年数を向上させる。また、地下水や工業廃水の有機汚染物質、水銀やカドミウムなど無機重金属の除去にも用いられている。

 ランクセスの液体高純化テクノロジーズ(LPT)ビジネスユニットは、水処理ソリューションでの世界有数のプロバイダー。イオン交換樹脂に加えて、逆浸透と限外ろ過向けの膜ろ過エレメントも提供している。イオン交換樹脂製造プラントは、レバクーゼンをはじめ、ビターフェルド(ドイツ)、ジャガディア(インド)の3拠点にある。

ランクセス 独バイオセキュリティ展で消毒剤など紹介

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2018年12月3日

 ドイツの特殊化学品メーカーであるランクセスはこのほど、ハノーバーで開催されたバイオセキュリティに関する世界有数の国際展示会「ユーロティア2018」に出展し、消毒剤「ビルコン」や重質洗浄剤「Biosolve」といった、世界的に実績と信頼のある製品を紹介した。

 広域スペクトル消毒剤「ビルコンS」は、業界と政府機関によって、動物疾病の予防・抑制に有効であると世界的に認められており、アフリカ豚コレラ(ASF)の病原体に対する防御としての使用にも推奨されている。有機汚染物質の存在下、4℃という低温環境条件で、希釈率800倍でASFウイルスに対する有効性が証明されている。

 また、高病原性鳥インフルエンザウイルスの多くの株を死滅させることを実証。米国で実施された試験で、200倍の実使用希釈率でも、鳥インフルエンザウイルスをわずか60秒以内で完全に不活性化した。

 一方、Biosolveについては、カナダのトップクラスの獣医養成機関の一つであるプリンス・エドワード島大学の保健管理部が、家畜所有者の平均的な洗浄時間を、水だけの場合と、水とBiosolveを使用した場合で比較する調査を行った。この結果、水とBiosolveを併用することで、洗浄時間が平均で40%短縮されることが明らかになった。

 同社は畜産業者に最も有効な衛生・消毒ソリューションを提供し、バイオセキュリティのベストプラクティスに関する助言とガイダンスを今後も提供していく。

ランクセスの1-9月期 値上げなどが貢献し増収増益

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2018年11月21日

 ドイツの特殊化学品メーカーであるランクセスの2018年12月期第3四半期の連結決算は、増収増益となった。

 売上高は前年同期比4%増の17億9000万ユーロ、特別項目を除いたEBITDAは、同2%増の2億7700万ユーロ。製品価格の値上げ、ケムチュラ社買収によるシナジー効果、今春、ソルベイ社から買収した米国に生産拠点をもつリン添加剤事業が好業績に貢献した。

 アドバンスト中間体部門の売上高は、同11%増の5億3400万ユーロ。特別項目を除いたEBITDAは、同横バイの8700万ユーロ。特に、アドバンスト工業化学品ビジネスユニットの中間体事業が好調だった。

 スペシャリティアディティブス部門の売上高は、同5%増の5億200万ユーロ。特別項目を除いたEBITDAは、同21%増の9300万ユーロ。好業績の主な要因として、ケムチュラ社買収のシナジー効果とソルベイ社から買収したリン添加剤事業が挙げられる。

 パフォーマンスケミカルズ部門の売上高は、同9%減の3億3400万ユーロ。特別項目を除いたEBITDAは、同19%減の5300万ユーロ。ストライキなどによるクロム鉱石事業の低迷、物質保護剤ビジネスユニットの二酸化塩素消毒ソリューション事業の売却、建設産業向けの顔料の販売量減が響いた。

 エンジニアリングマテリアルズ部門の売上高は、同13%増の3億9400万ユーロ。特別項目を除いたEBITDAは、同9%増の7000万ユーロ。ハイパフォーマンスマテリアルズビジネスユニットの販売増と、製品価格の値上げが大きかった。

 堅調な第3四半期を受け、通期の業績予測は、前回発表同様、予測範囲 (前年比5~10%増)の上限に近い値を達成するとの見通しとなっている。

ランクセス ドイツの拠点で微粉砕赤色顔料を増強

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2018年11月19日

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスはこのほど、同国クレフェルト・ユルディンゲン拠点で、「バイフェロックス」と「カラーサーム」の微粉砕赤色顔料の年間生産量を5000t以上増強したと発表した。

 同社が提供する微粉砕酸化鉄顔料は、主に技術的に要求の厳しい塗料やコーティングシステム、プラスチックの着色用に使われている。微粉砕プロセスで製造される顔料の特徴は、強力な粉砕によって凝集物が大幅に低減され、分散が非常に容易にできること。高い色濃度と色安定性も提供する。

 同拠点では独自のラウックス法により、バイフェロックスとカラーサームの赤色顔料を製造している。黒色顔料を800℃まで加熱し、赤色顔料に酸化させる。これにより、特に安定した顔料となる。さらにこの顔料は、粉砕プロセスを経ることで独自の特性が備わる。

 まず、分散工程の高いせん断力下でも優れた色相安定性をもつ。さらに、最高800℃までの温度でも安定している。他の製造法で製造した赤色顔料(ヘマタイト、Fe2O3)の場合は、通常、最高400℃までの熱安定性になる。

 同社は酸化鉄顔料のグローバル製造ネットワークの最適化を継続的に実施しており、今回の増強は同拠点での「ボトルネック解消プロジェクト」の一環として行われた。

ランクセス ポリマー素材の用途拡大に対応し難燃剤を拡販

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2018年11月7日

 世界的にポリマー素材の用途が拡大していく中で、ランクセスはポリマー素材を使用する上で不可欠な、難燃剤製品の拡販を図っている。

(左から)説明を行った大久保ディレクター、辻󠄀社長、小原理プラスチック添加剤セールス・ディレクター
(左から)説明を行った大久保ディレクター、辻󠄀社長、小原理プラスチック添加剤セールス・ディレクター

 同社の添加剤事業部は現在、プラスチック・ゴム・潤滑油・機能性色剤向けの特殊添加剤とサービスを提供し、世界12カ国20拠点で製造を行っている。このほど開催した同社の難燃剤に関するメディアセミナーで、アディティブスビジネスユニット日本統括を兼ねる、日本法人の辻󠄀英男社長は難燃剤について「添加剤事業の注力製品の1つ」と強調した。

 ポリマー素材向けの難燃剤は、主に臭素系・リン系・金属水酸化物の3種類があり、樹脂との相性や用途などによって使い分けられる。同社は元々リン系難燃剤をもっていたが、昨年、難燃剤と潤滑油添加剤の世界有数のサプライヤーである、米国のケムチュラ社を買収し、臭素系難燃剤も製品ラインアップに加えた。

 さらに成長地域である北米の添加剤事業を拡大するため、ベルギーのソルベイ社から、米国に生産拠点をもつリン添加剤事業を買収し、リン系難燃剤も強化した。

 辻󠄀社長によると

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ランクセス ポリアミドなどのコンパウンド製品群を拡充

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2018年11月5日

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスは、自動車や電機・電子などの複雑形状のプラスチック部品に適した、ポリアミド6やポリアミド66などのコンパウンドの新製品を発表した。いずれもレーザー透過溶着で汎用的に使われる、近赤外線波長領域での優れたレーザー透過性が特徴だ。

 ポリアミド6の新製品は「デュレタンB31KH3.0LT」と「デュレタンBG30XH3.0LT」。前者は非強化ポリアミド6で、高い靱性要求の部品に特化したグレードである。後者はガラス繊維とマイクロガラスビーズ配合の強化グレードで、精巧な電子機器ハウジングやコネクターのように、極めて変形や収縮寸法変化を嫌う部品に有効だ。

 新コンパウンドの中でも特筆すべき製品は、ポリアミド66のハロゲンフリーの難燃性「デュレタンAKV30FN04LT」である。通常、1.5mmまでの肉厚でレーザー溶着される波長域で、優れた光透過性を示す。

 また、非常に高い耐トラッキング性をもち、米国のUL94規格(アンダーライター・ラボラトリース社)の難燃性試験で、最高クラスのV-0/0.4mmを獲得した。熱安定性も最適化されていて、射出成形時に成形品表面に付着する、モールド・デポジットの発生リスクを大幅に低減している。

 このコンパウンドには金属やハロゲン化合物を使用しない熱安定システムが採用されており、導通部品との接触で電食も起こりにくくなっている。これは高電圧バッテリーや安全スイッチ部品で非常に重要になるという。

 同社のハイパフォーマンスマテリアルズビジネスユニットの溶着技術専任者であるフランク・クラウス氏は「この製品群は、例えば車両走行の電動化や運転者支援システムから自動運転に必要な、センサー・ハウジングやコントロール・ユニット、ディスプレー・システムを主な成長分野のターゲットに挙げている」と述べている。

ランクセス 自動車向けにPAの新製品群を開発

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2018年10月29日

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスは、ポリアミド(PA)6の新製品群「デュレタン・パフォーマンス」を開発した。繰り返しの機械的負荷に対する長期耐久性が、特に自動車のエンジンルームなどボンネット下のプラスチック部品で、需要が高まっていることを受けたもの。

「デュレタン BKV30PH2.0」の3点曲げ疲労試験の数値
「デュレタン BKV30PH2.0」の3点曲げ疲労試験の数値

 各種グレードを揃えたこの製品は、脈動荷重下での疲労に対して、同じガラス繊維含有量の標準品よりも数倍の耐久性を持つ。今回、新規投入を予定している製品群は、ガラス繊維をそれぞれ30%・35%・40%含有する熱安定性を備えた「デュレタンBKV30PH2.0」「BKV35PH2.0」「BKV40PH2.0」のコンパウンド、ガラス繊維30%で耐衝撃性を強化した「デュレタンBKV130P」コンパウンド。

 同社のデュレタン材料の開発専任者・トーマス・リンダー博士は「新製品は、吸気システムやオイルフィルタモジュール、サイドブレーキなど、自動車向け用途をターゲットにしている」と述べ、ドリルなど電動工具のハウジングや構造部品の用途向けにも注力するとしている。

 新構造素材では、動的挙動に加えて、静的な機械特性も向上しており、同じガラス繊維含有量の標準品と比べ、高温時の引張強度が上がる。リンダー博士によると、この機械特性によって、PA6をベースとするデュレタン・パフォーマンスは多様な場面で、近年非常に高価となったPA66コンパウンドの代替素材となり、ガラス繊維の含有量を増やさないため、素材の高密度化や部品の重量化を伴うことがないという。

 ランクセスは同製品群のさらなる拡充を計画中で、50%と60%のガラス繊維で強化した2つのコンパウンドの発売も予定している。リンダー博士は「こうした素材は、優れた強度と剛性を備えているため、電気・電子モジュールを収める自動車の軽量構造部など、動的負荷を受ける構造部品に最適だ」と述べている。

 

独ランクセス 難燃性PBTコンパウンド製品群を拡充

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2018年10月25日

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスは、グローワイヤ(赤熱電熱線)テストで卓越した耐火性を発揮したモデルを採用し、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を基材とする、ハロゲンフリーの難燃性コンパウンドの製品群を拡充する。

 新しい製品群は、ガラス繊維を25%含有させ強化したコンパウンドで、まもなく試作品を市場に送り出す予定だ。

 新PBT素材は、0.4~3.0mmの肉厚部で775℃のグローワイヤ着火温度(GWIT)を満たしていることから、ドイツ電気技術者協会(VDE)の認証を得ている(IEC60695-2-13)。また、完成部品に対するグローワイヤテスト(IEC60695-2-11)でも、優れた結果を得た。

 同社は洗濯機や皿洗い機、回転式乾燥機などの部品としての活用も想定しており、これらの用途では、ハロゲン系難燃性素材と同等の高いトラッキング耐性もメリットとなる。

 新グローワイヤ耐性素材の他の特性は、同社がすでに販売しているハロゲンフリーの難燃性PBTコンパウンドの特性と同じで、こうした現行製品には、13∼30%のガラス繊維で強化させたものや、非強化コンパウンドがある。これらはすべて、米国のUL94規格による燃焼性試験で、最高グレードとなるV-0に相当することが確認されている。

 また、紫外線照射に対して高い耐性を持ち、生コンパウンドとの接触による腐食もほとんどない。加えて高い耐熱性というメリットがある。具体的には、UL746Bに基づく相対温度指数が少なくとも140℃となる。

 これらの製品の中でも、非強化「ポカン(Pocan)BFN2502」は卓越している。その特性は市場で際立つもので、ハロゲンフリーの難燃性パッケージにもかかわらず、7%を超す高い破断点伸び率を備えている。

 同製品は、寸法安定性と永続的電気絶縁性が要請される構成部品に最適となる。また、この新PBTは、例えば直流を印加した際に600V(IEC60112/CTI値A法、比較トラッキング指数)という、優れたトラッキング耐性を発揮することから、類似の非強化PBTコンパウンドの代替品にもなる。