日本ゼオンは24日、リチウムイオン電池の電極とセパレータを接着させる接着剤「AFL」の本格的な展開を開始したと発表した。
同社は、正極と負極がセパレータで絶縁されたシート形状を巻き取ってコイル状にした捲回体を一体化する技術の実用化を推進。同接着剤を用いることでパウチ型セルの課題である電極間距離の維持を解決し、蓄電池の長寿命化と低コスト化の実現に貢献していく。
パウチ型のリチウムイオン電池は、使用を重ねることで残留応力などの影響により電極とセパレータの間に隙間が発生し、正負極間でのリチウムイオンの移動が阻害され、電池寿命に影響が生じる課題があった。同社が販売している接着剤「AFL」は、セパレータに塗布することで電極間距離を維持できることに加え、温度や圧力など任意の条件に合わせた接着が可能でプロセスへの適合性が高いという特長をもつ。
さらに、「AFL」を適用することで、電池製造プロセスでも多くのメリットがもたらされる。捲回体を熱プレスなどで一体化することで、製造工程内の搬送を高速化させ、また、大型サイズの電池であっても電池容器への挿入が容易になるなど、電池の生産性向上に大きく貢献している。
普及が進む積層型電池の積層体では、層間のズレや折れなどの発生による歩留まり低下の課題を抱えていたが、「AFL」を使用して層を一体化させることにより、ハンドリングが向上しプロセスの高速化にも役立っている。
なお、これら成果の詳細については、3月に東京ビッグサイトで開催される展示会「二次電池展(バッテリ―ジャパン)」の講演で発表する予定。ゼオングループは、これからも持続可能な社会の実現に向けて蓄電池産業の発展に寄与していく。