三井化学 韓国SKCとのポリウレタン事業、合弁を解消

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2021年10月1日

 

三井化学とSKCは、2015年にMCNSを設立し、ポリウレタン原料事業を共同運営してきた。今後は、両社それぞれの戦略に沿って、同事業の発展と成長を図る

 三井化学は30日、SKC(韓国・ソウル)とポリウレタン原料事業を統合した子会社、三井化学SKCポリウレタン(韓国法人:MCNS)について、2022年3月中をめどに合弁契約を解消することを決め、契約書を締結すると発表した。なお、MCNSの100%子会社である日本法人(MCNS-J)については、12月末に解散し、年明け1月1日から三井化学基盤素材事業本部ポリウレタン事業部として営業を開始する予定。

 三井化学は今後、長期経営計画「VISION2030」に基づく基盤素材事業本部の構造改革方針に沿い、ポリウレタン原料事業の構造改革を加速することで、さらなる企業価値向上を目指す考えだ。

 両社は提携解消後も、今までの良好な関係性を踏まえ、必要な範囲で協力関係を続けていくとしている。

 三井化学とSKCは2015年にMCNSを設立。ポリウレタン原料事業について、成長市場の需要獲得、新規事業のグローバルな展開、収益性の向上を目指し、シナジーの最大化を図りながら共同運営を行ってきた。

 ただ、この間、三井化学の高機能品・バイオ製品などにより着実に収益を向上させていく方針と、SKCのグローバル進出などの成長を重視する方針との間で徐々に食い違いが生じるようになり、両社は事業のあり方について検討を重ねてきた。

 両社の事業をさらに発展・成長させるためには、それぞれの戦略に従い同事業を進めていくことが最善であると判断し、提携の解消を決めた。

 三井化学は長計に基づき、企業価値最大化に向けた事業ポートフォリオ変革やサーキュラーエコノミーへの対応強化を推進。基盤素材事業本部でも、「サーキュラーエコノミー対応製品への転換」、社会課題視点・構造改革加速による「事業ポートフォリオ変革の追求」を今後の事業推進の基本としている。

 ポリウレタン原料は、自動車用途、住宅向け断熱材用途、マットレスなどの家具用途として、その生活必需品性から長計目標達成のためにも重要アイテムと位置づける。

 同社が取り組むバイオポリウレタンなどのグリーン製品の拡充やリサイクルの社会実装をはじめ、TDI、MDI、ポリオール全領域にわたる技術知見をベースに、先進的な高機能品の開発・供給を持続していくとともに、事業構造改革を進めることで、さらなる事業価値向上を図っていく。

 

三井化学など AIで製品市況予測、実証実験に手応え

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2021年9月27日

 三井化学は24日、日本電気(NEC)と連携し、人工知能(AI)の活用により市況に左右されやすい製品の価格変動を予測する実証実験を実施し一定の成果が得られたと発表した。同実証実験の成果を踏まえ、今後は適正な調達・生産・販売による利益の向上と、価格変動による損失回避に貢献するAIによる需要予測システムの本格導入を目指す。

 三井化学の三瓶雅夫DX推進室担当執行役員は、「当社は激化する国際環境の中、競争力強化のために先進的機械学習技術を活用した需要予測のDX化を推進する」と強調。これにより「調達コストの削減やリードタイムの短縮、物流最適化によるCO2低減を通じて、社会課題の解決と、顧客起点のビジネスモデルへと企業変革(CX)を加速していく」考えだ。

 三井化学は、これまで業務担当者の知見や経験に基づき、過去の価格・採算推移や為替などの週単位に集計されたデータにより製品の需要動向を予想してきた。しかし近年は、グローバル化の進展や市場ニーズの急変に伴って需要動向予想が難しくなっており、原料の調達価格や調達数量、生産量を最適にコントロールする必要性がでてきた。

 そこで今回、予測が難しいとされる市況に左右されやすい同社の具体的な製品を選定し、同製品の過去数年にわたる日次および週次の在庫データや工場稼働率、販売数量などの多様なデータを基にNECの提供するAIソフト「dotData(ドットデータ)」で分析。無数の特徴量候補から有効なものを自動抽出することで高精度な価格の予測モデルを構築した。

 なお、同AIソフトは、米ドットデータ社が開発した、データサイエンスプロセス全体を自動化するもの。実証実験では、今後継続的に改善すべき点はあるものの、翌月の当該製品の高精度な需要予測が可能となり、市場動向を踏まえた適正な販売価格の設定を実現した。

 三井化学は「よりよい販売計画の立案と、その計画に基づいた調査・生産を行うことで、在庫金額の数億円規模の削減も見込める」としている。またAI導入により、一見すると分からない価格と相関関係のある事柄など、人間では気づきにくい新たな業務知見を得られる成果もあった。

 

三井化学 人事(10月1日)

2021年9月24日

[三井化学・人事](10月1日)▽解兼ヘルスケア事業本部ビジョンケア材料事業部欧米GL、ML Tech Co.,Ltd.社長森尻博之▽同事業本部同事業部欧米GLローブンチャイ▽SDC Technologies Asia Pacific,Pte.Ltd.President岩住正典▽モビリティ事業本部コンパウンド管理室PPコンパウンドGL杉本吉男▽物流部副部長川辺律▽生産・技術本部安全・環境技術部岡田理▽内部統制室岩国大竹検査管理GL仙波克章▽岩国大竹工場製造1部長丸木忠信▽生産・技術本部安全・環境技術部豊田英雄▽名古屋工場安全・環境部長岡敦▽三井化学オペレーションサービス永山雅規▽大阪工場安全・環境部長片岡敏幸。

 

三井化学 Meiji Seikaファルマの農薬事業取得

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2021年9月13日

 三井化学は10日、100%子会社の三井化学アグロが、Meiji Seikaファルマの農薬事業を取得することで合意したと発表した。取得金額は概算で467億円、クロージングは年明けを予定する。

 今回の事業取得により、対象事業がもつ原体ポートフォリオ、国内外の顧客基盤、創薬・製剤技術および天然物に関する技術を三井化学アグロと融合していくことで、国内市場のプレゼンス向上と今後成長が見込まれる海外農薬市場への展開加速を推進していく。また、継続的な新規原体創出と市場ニーズに応えるマーケットイン型の製剤開発の強化を図ることができ、三井化学の長期経営計画の実現と三井化学アグロの成長戦略を加速したい考えだ。

 同事業取得までの流れは、まずMeiji Seikaファルマが新設会社を設立し、同社の農薬事業と同事業に係る子会社の全株式を吸収分割により新設会社に承継。その上で、新設会社の発行する全株式を三井化学アグロが取得し、完全子会社化する。当面は、取得した新設会社を三井化学アグロの子会社として運営し、将来的にはシナジーの創出によるさらなる事業成長を目指し、三井化学アグロと新設会社の合弁を予定する。

 三井化学グループの農薬事業の中核である三井化学アグロは、有機合成力を基盤に創出した独自の原体をベースに、地域別戦略に基づく国内外での農薬事業の拡大と、農薬事業の周辺領域であるPPM(Professional Pest Management)事業の拡大という成長戦略を通じて、持続的な農業の促進とQOL向上へ貢献することで、「農業化学品分野においてグローバルに存在感のある研究開発型企業」となることを目指している。

 

三井化学 「8月豪雨」で佐賀県武雄市に支援物資を提供

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2021年9月9日

 三井化学はこのほど、先月中旬の西日本と東日本を中心とした記録的な大雨災害による被災者・被災地支援として、同社関連製品であるブルーシート100枚を佐賀県武雄市に提供した。

岩国大竹工場での支援物資の積み込み
岩国大竹工場での支援物資の積み込み
武雄市に届けられたブルーシート(写真提供:Civic Force)
武雄市に届けられたブルーシート(写真提供:Civic Force)

 

 

 

  

 

 緊急災害対応アライアンス「SEMA(シーマ)」の要請を受けて実施。岩国大竹工場(山口県和木町)からトラックに積み込んだ支援物資は、武雄市で活動中の公益社団法人「Civic Force(シビック・フォース)」に届けられた。

 三井化学は「『令和3年8月豪雨災害』により亡くなられた方々とご遺族に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。被災地の1日も早い復興を心からお祈り申し上げます」とコメントしている。

 

三井化学 農産物流通SUに出資、青果物輸出拡大を促進

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2021年9月1日

 三井化学は31日、日本産の青果物などの輸出プラットフォーム事業を運営するスタートアップ(SU)、世界市場(せかいいちば:東京都品川区)に対し、8月に出資したと発表した。

両社は日本産青果物をアジア・環太平洋諸国に届けるソリューション型ビジネスを目指す

 三井化学と世界市場が連携し両社の強みを生かすことで、日本産農産物の輸出が抱える課題解決に向けたソリューション型ビジネスを展開していく考えだ。

 現在政府主導で、日本の農業を今後も持続的に発展させるために、農産物の輸出拡大の取り組みが進められている。青果物もその一翼を担うことが期待されているものの、青果物は穀物類や加工品とは異なり、海上輸送中の傷みが激しく大きなフードロスが発生するため、新鮮な状態で海外消費者に届けるのが困難な状況にある。

 また、海外へ輸出する際には、対象国の農薬残留基準値に適合させる必要があり、個々の生産者には対応が難しいなど、日本の青果物輸出拡大には解決すべきいくつかの課題がある。こうした課題に対し、三井化学グループは、①長期の海上輸送に耐えうる青果物用の鮮度保持包装資材と知見②関係会社の三井化学アグロがもつ農薬とその技術的知見、に強みがある。

 一方、世界市場は、青果物の集荷から、対象国への輸出入、保管、加工、現地小売店への販売までを一気通貫で手掛けることで、流通マージンを下げるとともに、フードロス問題の解決にも積極的に取り組んでいる。現在、香港への産地直送を実施しており、今後は台湾やシンガポールなどのアジア圏、さらには環太平洋諸国への産地直送を予定する。

 三井化学は、アジアを中心に青果物の流通基盤の構築を目指す世界市場との協業を通じ、日本の青果物輸出への課題に向けたソリューションの提供と、フードロス削減に貢献することを目指していく。なお世界市場は、「農産物輸出を生産者の収益機会としたい」「より多くの海外消費者に高品質の日本産青果物を食べてほしい」という強い想いを具現化するために、2015年に設立された。

 

三井化学 クラウドを活用した次世代工場DX基盤を構築

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2021年8月27日

 三井化学は26日、データドリブンなビジネス推進を目指し、次世代工場DX基盤のプライベートクラウドとして、ニュータニックス社の「Nutanix Cloud Platform」を採用し、9月から大牟田工場で稼働を開始すると発表した。12月までに国内全製造拠点に導入し、センサーデータの集約、リアルタイム分析およびBCP(事業継続計画)向上を実現する。

エッジコンピューティング化での変化点
 エッジコンピューティング化での変化点

 同ソリューションの導入は、グループ長期経営方針の達成に導く、重要なDX戦略の一環。不確実性が増す環境下、三井化学は社会課題解決に向けた貢献と持続的成長を実現するためDXを全社に展開し、ビジネスモデル、業務プロセスなどの高度化を目指す考えだ。

 同社は現在、各拠点で試験的に少数のセンサー機器を導入し、運転高度化の準備をしているが、本格導入した場合、多数のセンサーやIoT機器類を設置することになり、膨大な情報が発生する。これらの情報をクラウドやデータセンターに直接転送すると拠点間の通信量が大幅に増加し、通信回線が圧迫され、ITシステム全体が不安定になる可能性がある。また、BCPの観点からも、災害激甚化による通信回線断絶や停電による拠点間通信の不通が想定され、すべての情報を1つのデータセンターにまとめておくことは大きなリスクだった。

 こうした中、同社は、国内の主要5工場と袖ケ浦研究センターに、本格的にIoTセンサーデバイス網を構築し運転のさらなる高度化を図る。その前段として、9月の大牟田工場を皮切りに12月末までに全拠点に前処理用のシステムとして同プラットフォームを導入、膨大な情報量を処理できるDX基盤の整備(エッジコンピューティング〈EC〉化)を決定した。

 導入メリットとして、①次世代工場DX基盤を構築しEC化を実現、②各製造拠点から、振動、ガス、圧力計など多数のセンサーデータを収集し、データレイク化やデータのリアルタイム分析が可能、③EC環境構築により、非常時に通信断絶が起きた場合のBCP向上、④サーバー上で稼働するため、高セキュリティ・高信頼・高パフォーマンスといった安定運用ができる基盤を実現、などが挙げられる。

三井化学 人事(1日)

2021年8月20日

[三井化学・人事](1日)▽KOCソリューション社長、ヘルスケア事業本部ビジョンケア材料事業部欧米GL森尻博之。

三井化学など3社 循環型社会を加速、企業間の連携強化

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2021年8月19日

 三井化学、日本IBM、野村総合研究所(NRI)の3社はこのほど、資源循環型社会の実現を目指しコンソーシアムを設立することで合意した。

 三井化学と日本IBMは今年4月、循環型社会実現への課題となる「素材のトレーサビリティ」の担保を目的に、ブロックチェーン技術を活用したプラスチック資源循環プラットフォーム構築に向け協働を開始。今回、その取り組みを加速し拡大させるため、NRIを加えた3社共同でコンソーシアムの運営を行う。3社は、資源循環プラットフォームを利用した実証実験への支援活動、複数企業による研究会開催、コンソーシアムで得た知見などの情報共有やコンソーシアム内外への提言などを計画するとともに、他団体とのオープンな関係構築を通じ、循環型社会を形成していく狙いだ。

 中核となる目的に、①トレーサビリティを基盤としたプラスチックリサイクル材の利用促進②資源循環に関するステークホルダー間の連携支援③資源循環に貢献した人や企業へのインセンティブ制度構築を掲げ、各社の強みを生かした活動を推進。具体的には、三井化学は、モノマー・ポリマーなどに関する豊富な知見やスキル、リサイクルを含む環境対応技術やノウハウの提供を行う。

 一方、日本IMBは、ブロックチェーンを基盤としたトレーサビリティプラットフォームの利用を支援。排出した製品がリサイクルされ新たな製品となるモノのプロセスや複数のサプライチェーン企業間との連携業務のプロセスをデジタル化し、トレースできる支援を担う。またNRIは、ビジネスモデル変革とデジタル化への知見・経験、業界団体や官公庁への提言の経験を生かし、企業・社会の変革を推進する。

 コンソーシアム設立後は、自社製品のリサイクルやリサイクル材を活用した製品づくりを推進したい製造業者、回収や解体する製品の素材情報の把握やリサイクル材に付加価値を付けたいリソーシング産業、物流に新たなソリューションを生み出したい物流業者、ESG投資を検討している金融機関など、コンソーシアムの趣旨に賛同する企業の参加を想定し、企業間、産業間の連携を強化・推進することで循環型社会を共に創造していく考えだ。