海洋プラごみ問題など、環境貢献も需要なテーマ
日本の化学産業は米中貿易摩擦の深刻化による中国経済減速の影響により、逆風が吹き始めている。世界経済のバランスが崩れてきたことで、サプライチェーンの分断化が懸念されており、生産・供給体制の見直しや、地産地消といったローカル戦略が重要となってきた。
これまで各社は、高付加価値品へのシフト、成長分野への進出、M&Aなど事業ポートフォリオ変革に注力し、変動への耐性を高めている。その真価が試される中、持続的成長を模索する動きが強まりそうだ。
また、急速に進むグローバル化やデジタル化に対応した、社内基盤の整備も大きなテーマとなっている。プロフェッショナル人材の確保や育成、また海外拠点の増加に伴うガバナンス体制の強化も図っていく必要がある。
一方、海洋プラスチックごみ問題や地球温暖化問題がクローズアップされ、世界的に環境意識が高まっており、素材産業にも厳しい目が注がれている。ESGやSGDsといった視点に立ち、持続可能な社会の構築にいかに貢献できるかが、今後ますます問われてくるだろう。
国内の化学産業は「令和」という新時代に、企業価値の向上や環境問題にどう取り組み、持続的成長を果たしていくのか。その戦略と方針について、業界を代表する首脳の方々に聞いた。
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信越化学工業会長 金川千尋氏/▽さまざまな事態への備えが重要、安定的な収益確保を目指す
三菱ケミカル社長 和賀昌之氏/▽安全が第一、安全・安心を担保できない事業はやめる覚悟
旭化成社長 小堀秀毅氏/▽サステナビリティへの貢献を軸に、製品・用途開発を推進
三井化学社長 淡輪敏氏/▽増設・増強でナフサクラッカー強化、下流の競争力を向上
東ソー社長 山本寿宣氏/▽スペシャリティで相次ぎ能増、新中計で成長図る
昭和電工社長 森川宏平氏/▽創立80周年を迎え、さらなる収益力向上のサイクルを回す
JSR社長兼COO 川橋信夫氏/▽ポートフォリオを拡充、新体制でグローバル化に対応
PSジャパン社長 佐藤公氏/▽新中計では目標を「見える化」、実力のさらなる向上を目指す