三菱ケミカル 全国発明表彰受賞、バイオ由来の樹脂製造技術

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2020年10月15日

 三菱ケミカルは、公益社団法人発明協会が主催する令和2年度全国発明表彰で、「バイオマス資源由来の汎用ポリエステル製造技術の発明」により「朝日新聞社賞」を受賞した。

 同発明は、バイオマス資源由来のポリエステルに実用強度、意匠性、実用耐久性、土中分解性の促進などの機能を付与する製造技術の発明で、同社の「BioPBS」などの生分解性樹脂の製造に活用されている。全国発明表彰は、日本の科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に、独創性に富む優れた発明などを表彰している。

 今回受賞した発明は、バイオマス資源由来のジカルボン酸やジオールを主原料とすることにより、従来の石油由来の製品と比べ、二酸化炭素の排出量削減に大きく貢献することが評価された。

 同社は、今回の発明以外にもバイオマス資源由来の製品に関する技術を多数保有し、また、同発明については、米国、欧州、中国へも特許登録を完了し技術展開を行っている。同社は、これらの技術を活用して、積極的にバイオマス資源由来製品の普及および市場のさらなる拡大を促進し、持続可能な社会に貢献していく。

全国発明表彰を受賞した、バイオマス資源由来の汎用ポリエステル製造技術
全国発明表彰を受賞した、バイオマス資源由来の汎用ポリエステル製造技術

三菱ケミカル 高分子凝集剤の販売事業を2社に譲渡を決定

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2020年10月14日

 三菱ケミカルは13日、高分子凝縮剤の販売事業をMTアクアポリマーとハイモに譲渡することを決定したと発表した。販売事業を譲渡した後、三菱ケミカルは両社から高分子凝集剤の製造を受託することとなる。

 対象製品は、MTアクアポリマー(東亞合成:51%、三井化学:49%)には、アニオン系、カチオン系、両性系およびそのブレンド品からなる高分子凝集剤と有機凝結剤。

 一方、ハイモには、①N‐ビニルホルムアミド、ポリビニルアミン②ポリビニルアミジン系およびそのブレンド品からなる高分子凝集剤と有機凝結剤③高分子凝集剤、凝結剤および定着剤などの液状ポリマー④消臭消泡剤、脱水剤および無機凝結剤など。譲渡時期は来年3月31日を予定している。

 三菱ケミカルは三菱ケミカルホールディングスグループの中期経営計画に基づき、ポートフォリオマネジメント改革を推進しており、その一環として、対象の販売事業を譲渡する。

 MTアクアポリマーは今回譲渡する製品と同種の製品の製造販売を手掛ける国内有数の高分子凝集剤メーカーであり、ハイモは譲渡対象製品を三菱ケミカルと共同研究開発した経緯があるなど、当該製品の取り扱いに長けた水処理薬剤メーカー。両社は三菱ケミカルが培った広範な販売ネットワークや技術などを引き継ぐことにより、それぞれが得意とする分野の高分子凝集剤事業の強化が期待できる。

三菱ケミカル OPSなどフィルム3製品を値上げ

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2020年10月8日

 三菱ケミカルは7日、フィルム製品を11月1日納入分から「10円/kg以上」値上げすると発表した。対象製品は、2軸延伸ポリスチレンシート(OPS)、「サントクリア」「ソフトクリア」の3製品。

 原油・ナフサ価格の上昇などに伴い、原料樹脂価格の上昇が製造コストを押し上げ、事業採算を圧迫している。同社は継続的なコスト削減に努めてきたが、これらのコスト上昇分を自助努力で吸収することは極めて困難と判断し、今回の価格改定を決定した。

 

三菱ケミカル 微細藻類利用事業実証PJ、NEDOに採択

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2020年10月6日

 三菱ケミカルは5日、同社が参画する微細藻類を利用した事業モデルの実証研究プロジェクトが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業「バイオジェット燃料生産技術開発事業/微細藻バイオマスのカスケード利用に基づくバイオジェット燃料次世代事業モデルの実証研究」に採択されたと発表した。同プロジェクトはユーグレナ、デンソー、伊藤忠商事と共同で行う。

 微細藻類は光合成により二酸化炭素を吸収することからカーボンリサイクル技術の1つと位置づけられており、NEDOは地球温暖化防止対策としてバイオジェット燃料の普及を推進している。今回のプロジェクトは、その原料となる微細藻類を安定的に大量培養する技術の確立を目的としており、実用化に向けた規模での実証事業を行っていく。

 三菱ケミカルはプロジェクトの中で微細藻類の回収技術高度化を担っており、これまで培ってきた膜分離技術を活用し、現在主流となっている遠心分離法よりも効率的で低コストの回収・濃縮技術の確立を目指す。また、ろ過濃縮試験については中央大学とも連携する。

 三菱ケミカルは、プロジェクトを通じて膜分離技術を用いた微細藻類の濃縮・分離プロセスを確立し、「CO2削減」「炭素循環」「食糧・水」などの社会課題解決に貢献していく。

NEDO実証事業
NEDO実証事業

 

三菱ケミカル 米ハイブリッドケミカルメーカーの買収を完了

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2020年10月5日

 三菱ケミカルは2日、米国でSiケミカルや金属化合物を手掛けるジェレスト社(ペンシルバニア州)の買収が完了し連結子会社化したと発表した。

 同社は今年4月30日に買収を発表し、所定の手続きを進めていた。三菱ケミカルは買収完了に併せ、ジェレスト社に役員を派遣するとともに、同社内に「PMI Office」を設置し、早期の統合シナジー発揮に向けて取り組む。

 三菱ケミカルは、今後もテクノロジープラットフォームの強化を図り、ライフサイエンスやエレクトロニクス関連などの成長市場で積極的な研究開発と事業展開をすることにより、一層の成長を目指していく考えだ。

 

 

三菱ケミカル 経営執行制度を変更、人材配置の柔軟性を向上

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2020年10月1日

 三菱ケミカルは30日、経営を担う人材の役割と責任を改めて定義するとともに、意思決定のスピード、および事業運営を担当する人材配置の柔軟性をさらに向上させるため、11月1日付で経営執行制度を変更すると発表した。

 同社は、大きく変化する市場環境や激化するグローバル競争に適応するとともに、多様な人材をひきつけ、多様な人材が活躍できる環境を実現するため、人事制度改革を進めている。今回、その一環として執行役員制度を変更することにより、職責・職務と処遇の関連性を明確にし、経営執行を担う人材をより柔軟に配置する体制とする。

 新たな経営執行制度の具体的内容は、①執行役員の再定義:常務執行役員を「当社全社の経営を率いる戦略的な機能を担うポジションに従事する者」とし部門長および共通部門所管役員など経営幹部を任命、②「経営執行職」の新設:「事業運営における中核を担い、担当領域の成長を担うポジションに従事する者」とし本部長・部長および場所長などを中心とした幹部人材を任命、③「理事役」の廃止、となっている。

 同社は今後も、会社と人材が互いに選び、生かしあう関係を構築し、ともに成長していく文化を形成することにより、事業を成長させるとともに、KAITEKI実現を目指していく。

 

三菱ケミカル 人事(10月1日)

2020年9月25日

[三菱ケミカル・人事](10月1日)▽解兼コンプライアンス推進統括執行役員内部統制推進部所管、常務執行役員プロダクト・スチュワードシップ推進部、購買部、物流部所管西谷悌二郎▽コンプライアンス推進統括執行役員内部統制推進部所管、三菱ケミカルホールディングス執行役員ヘルスケア法務室長矢野功。

三菱ケミカル アセテート繊維の環境負荷度を可視化へ

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2020年9月24日

 三菱ケミカルは23日、アセテート繊維「ソアロン」のサステナビリティへの新たな取り組みとして、「SOAGREEN PROGRAM」を開始したと発表した。同製品の環境負荷度を数値化・分類し、客観性をもたせることで「可視化」を図るのが狙い。

 「ソアロン」は、木材パルプを原料とする半合成繊維で、国内のみならず、海外でもサステナブル素材として注目されている。同社はこれまで、同製品の原料調達からテキスタイル製造までの各段階でサステナビリティを担保するために、「Bluesigh」認証など各種第3者認証を取得してきたが、個々のテキスタイル商材は糸構成や生産プロセスも多様で、それぞれの環境負荷度を客観的に示す評価基準がなかった。

 三菱ケミカルは今回、こうした個々に異なるテキスタイル商材の環境負荷度の可視化を図るため同プログラムを策定。設計・製織/製編・染色といった生産段階ごとに、内容・工程・手法を検証し、「ソアロン」専用に設定した独自の評価基準に基づき採点評価、各商材を等級化して3つのクラス「SOAGREENレベル」に分類する。商材ごとに環境負荷度を示すことで、顧客の素材評価に際し、従来の「素材感」や「品質」などに加え、新たにサステナビリティ視点での検討も可能になる。

 同社は今回の取り組みを通じ、個々の商材の改善に向けたポイントもより明確化することが期待できることから、「ソアロン」商材群全体のサステナビリティのさらなる向上を目指す考えだ。

三菱ケミカル アクリル樹脂板、4月以降受注が急増

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2020年9月4日

コロナ禍の生活様式に対応、飛沫感染防止に効果

 アクリル樹脂は、加工の自由度やガラス以上の透明度、野外での変形や劣化などの変質を起こしにくい耐候性、軽量・強靭という極めて優れた性質から、〝プラスチックの女王〟と呼ばれる。

アクリル板を使用した対面パーティション
アクリル板を使用した対面パーティション

 三菱ケミカルは1943年より、アクリル樹脂板「アクリライト」の製造を開始。これまで看板や水族館の水槽といった幅広い用途に使用され、国内トップシェアを誇る。昨今では、新型コロナウイルスの飛沫感染防止と日常生活を両立する「新しい生活様式」の中で、人と対面する際に飛沫感染を防止するパーティション用途として注目が高まり、4月中旬以降、受注が劇的に増加している状況だ。

 同社の「アクリライト」は光との相性が良く、透過や遮断、偏光によって様々な性質を操り、光の透過ではガラスよりも高い透明度をもつ。またグレードによっては、最大幅2763mm×最長6000mmという生産サイズが可能であり、大型看板の制作にも最適。用途は非常に幅広く、看板や水槽のほかにも、液晶ディスプレイのバックライト、照明、携帯電話やデジタルカメラの表示窓、美術館の展示ケース、住宅・商業施設をはじめとした建材など多岐にわたる。

 こうした中、コロナ対策として、「アクリライト」の特徴あるグレードが、飛沫拡散防止パーティションの素材に採用が進む。中でも独自の連続キャスト製法で製造している高品質押出グレード「アクリライトEX」は、加工性、耐擦傷性、視認性、耐薬品性に優れ、パーティションなどに手軽に使える。

 オフィスやクリニックなど、来客と近距離で接する機会の多い受付での設置に適しており、同社エントランスの受付でも、「アクリライトEX」パーティションを設置。反射防止フィルム「モスマイト」を貼付することで光の反射を抑え、自然な会話ができている。

アクリル板を使用した飛沫防止用パーテーション
アクリル板を使用した飛沫防止用パーテーション

 「アクリライト」の出荷は4月中旬から加速度的に増加している。緊急事態宣言が発出されてからは、金融機関、コンビニ、スーパー、病院など、対面接客が必要な業種からの引き合いが強かったが、宣言解除後は、オフィスやレストランなどで、人同士の間を分ける用途向けが伸びている。海外では、航空機内への導入も検討されており、公共機関への採用拡大が期待されている。

 同社では現在、耐擦傷性を高め傷がつきにくい「アクリライトMR」や、すりガラス調でありながら表面が平滑なためウイルスが付着しにくい「アクリライトフロスティ」の採用活動を展開。さらに、「アクリライト」の抗ウイルスグレードを開発しており、医療機器や病院など高機能が求められる需要を取り込むことを目指している。また、将来的な製品の交換に伴う廃棄問題を見据え、リサイクル体制構築への取り組みも開始した。

 今後、アクリル樹脂板の需要は、一層の採用範囲の広がりが見込まれ、ロックダウンが解除される海外でも、第2波に対する備えとして感染防止策が展開されていくと見られる。同社は、「アクリライト」の需要は、これから1~2年増加し続け、その後新たなウイルス感染防止や置き換え需要により当面の間は、ニーズが高い状況が続くと想定している。

 

三菱ケミカル LIB用電解液の特許、再審理で維持を決定

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2020年9月2日

 三菱ケミカルは1日、同社が所有するリチウムイオン電池(LIB)用電解液に関する日本国特許について、再審理の結果、7月13日に特許庁は同特許を有効と判断し、特許維持の決定を下したと発表した。

 同特許は、2017年に第三者から異議申し立てを受け、特許庁より一度、特許取り消し決定が下されていた。これに対し、同社は特許取消決定の取り消しを求め提訴。今回、知的財産高等裁判所での特許取消決定取消訴訟の認容判決を受け、特許庁にて再審理されていた。

 同社は、車載用途LIB用電解液の性能を向上させる添加剤の検討を従来から行ってきているが、同特許はその中でも特に電気自動車(EV)の高寿命・高出力・高充電特性に関するものであり、電解液の性能向上のキーとなる技術の1つ。

 同社は、新たな技術・製品・サービスを開発し、その価値を特許その他の方法で権利化して模倣などから法的に保護していくとともに、知的財産権の適切な活用を通じて幅広い分野でソリューションを提供していく考えだ。