DIC インキ乾燥促進剤を開発、欧州の環境規制に対応

, , , , , ,

2021年6月2日

 DICはこのほど、米国子会社サンケミカルと欧州地域の環境規制に対応した塗料や印刷インキなどに用いられる酸化重合型樹脂の乾燥促進剤(ドライヤー)を開発した、と発表した。

乾燥促進剤 GHSピクトグラム
乾燥促進剤 GHSピクトグラム

 同製品は、同社の金属石鹸「ディックネート」シリーズの製品として欧州地域の塗料や印刷インキ業界に向けてすでにサンプルワークを開始。今後、さらに欧州地域の展開に注力し、2025年までに売上高10億円を目指す。

 乾燥促進剤は、塗料や印刷インキを製造する過程で配合され、塗布後の効果を促すもので、一般的に乾燥性能に優れたコバルト(Co)の金属塩が用いられる。しかしながら、コバルト化合物は発がん性などの人体への悪影響や、産地が限られ大幅に価格変動する懸念があることから、欧州地域を中心に非コバルトドライヤーのニーズが非常に高まっている。

 こうした社会課題を解決するため、DICはGHSピクトグラム(絵表示)が付与された健康・環境対応設計のドライヤー開発を推進。同開発品は、塗料・印刷インキ用途ともに健康有害性懸念の低いマンガン(Mn)がベース。開発品には、塗料用の「ディックネート ESG-130BZ」と、塗料および印刷インキ用の「ディックネート MV130A」があり、「MV130A」は、溶剤に植物系のエステルを使用しているため、従来の炭化水素系の溶剤と比べ健康や環境への有害性が低減する。ラボ評価では、塗料(アルキド塗料)における同開発品の乾燥性能は、完全硬化までの時間がコバルト同等以上、印刷インキ(オフセット枚葉インキ)においても同等であることを確認している。

 DICグループは、中期経営計画において、環境に配慮したサステナビリティ製品や高機能製品を社会に提供することで、社会貢献と持続的な成長の実現を事業方針に据えている。今後も塗料や印刷インキの市場要請に対応した高機能製品を提供し、事業規模拡大に努めていく。

DIC コバルトフリー乾燥促進剤で塗料乾燥時間を半減

, ,

2020年7月7日

 DICはこのほど、塗料や印刷インキなどに用いる速乾性能に優れた酸化重合型樹脂の乾燥促進剤(ドライヤー)を開発し、「DICNATE(ディックネート)」シリーズとして上市、サンプルワークを開始した。

乾燥促進剤(イメージ) 
乾燥促進剤(イメージ)

 塗料や印刷インキの硬化や乾燥促進には、ドライヤーと呼ばれる金属石鹸が用いられる。金属石鹸は金属塩と脂肪酸が結合したもので、通常は有機溶剤に溶解するが水には不溶。硬化・乾燥促進には一般的にコバルト(Co)石鹸を用いるが、Coは環境負荷やコストなどの課題がある。

 今回上市した非Co系のドライヤーを使用すると、アルキド塗料の完全硬化に要した時間は、従来のCoドライヤーの約半分であった。同時にコスト削減や環境負荷低減も期待できる。さらに、溶剤系だけではなく水系にも使用できることから、様々なニーズに対応可能である。

 今後アジアや中東、欧米地域などの塗料・印刷インキ業界を視野に、2025年までに売上高10億円を目指す考えだ。