デンカは10日、2024年3月期の連結業績を発表した。売上高は前年比5%減の3893億円、営業利益は59%減の134億円、経常利益は81%減の55億円、純利益は6%減の119億円の減収減益となった。
今井俊夫社長は
2024年5月13日
2024年4月8日
2023年11月9日
2023年4月10日
2022年11月10日
投資額3600億円、ICTやヘルスケアに注力
デンカはこのほど、次期経営計画「Mission2030」(2023~2030年度)を策定した。戦略投資として3600億円を投入し、2030年度には売上高6000億円以上、営業利益1000億円以上を目指していく方針だ。
決算説明会において、今井俊夫社長が説明を行った。現経営計画「Denka Value‐Up」は、スペシャリティの融合、持続的で健全な成長という成長ビジョンの下、事業ポートフォリオ変革とスペシャリティ事業の成長加速を推進。昨年度からは事業・環境・人財のバリューアップに取り組んできた。今井社長は
2022年11月9日
2022年5月12日
2022年4月7日
2022年1月13日
注力する3つのValue‐Upの進捗を振り返ってみたい。
「事業Value‐Up」では、4事業部門に再編し、スペシャリティー事業の成長加速と既存事業のポートフォリオ改革を推進した。環境・エネルギー、ヘルスケア関連製品の販売が伸長し、営業利益は過去最高の見込みだ。環境・エネルギー分野では半導体関連製品が好調で、機能性フィラー製品の新増設と球状アルミナの新工場、放熱シートの新規設備を導入した。
ヘルスケア分野では新型コロナウイルス抗原迅速診断キットの展開、悪性脳腫瘍治療のウイルス製剤の発売、インフルエンザワクチンの新工場が完成した。高付加価値インフラ分野では、CO2吸収型コンクリートの普及に向け炭酸化混和材を本格展開した。基盤事業でもセメントの販売体制の見直し、ポリスチレン樹脂プラントのMS樹脂への転換を行った。
「環境Value‐Up」では、2030年と2050年の目標達成に向け施策を進めた。新青海川発電所は送電を開始し、新姫川第六発電所の完成も間近となり、青海工場でのCO2回収・有効利用の技術開発や、東洋スチレンとのケミカルリサイクル事業の検討も大詰めだ。
「人財Value‐Up」では「健康経営宣言」を制定し、年休、育児・介護サポートなど労働協約規定の改善を決定した。「働くことで成長を実感できる」会社を目指す。
一方、浮かび上がった課題は3つ。まず「安全の確保」だ。昨年は青海工場の車両滑落事故で2名の尊い命が失われた。「目線を上げたリスクアセスメント」を強化している。第2は「品質保証」だ。製造プロセスのリスク評価を行い、反応プロセス、経時変化、保管・輸送条件などを科学的に解明する。第3は「自然災害への備え」だ。昨年も大雨、大雪、落雷、ハリケーンなどでネガティブロスと供給問題が発生した。供給責任を果たすために、原料や輸送方法の確保などサプライチェーン全体の強靭化を進める。
今年は中計の最終年度に入る。3つのValue‐Upをさらに進め、営業利益目標の500億円達成に取り組む。今年もSDGsを羅針盤に、誰よりも上手にできる仕事で全ての人がより良く生きる世界をつくる、社会にとってかけがえのない企業を目指していく。
2021年11月9日