《化学企業トップ年頭所感》ランクセス 張谷廷河社長

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2020年1月20日

 ランクセスグループとしては、これまで築いてきた強固な財務基盤により、注力事業への投資を進めるとともに、明確なポジショニングによる、安定した事業を推進していく年となる。日本でも3つの事業領域への注力を継続し、持続可能な発展への取り組みと、デジタル化を積極的に進めていく。

 注力分野の1つは、環境にやさしい「新しいモビリティ」への取り組みだ。現在、自動車産業は、低燃費、二酸化炭素排出量削減への取り組み、安全性、設計の自由度の向上など、様々な課題解決に取り組んでいる。弊社はそれらの新しいモビリティ分野の開発パートナーとして、軽量化や電気自動車向けの新しい製品ソリューションの提案を行っていく。

 特に、熱可塑性コンポジットシートや高性能プラスチック製品で、より高い難燃性、耐久性、優れた加工性といった付加価値の高い製品を提供し、新しいモビリティの分野に貢献していく。

 また、特殊化学品の分野では、添加剤と潤滑油事業の製品ポートフォリオの拡充により、建築、自動車、機械、電子・電気機器などの幅広い製造業への採用が広がっている。近年、車の軽量化や電子材料への環境規制などから、金属代替材料として樹脂化が進んでいる。

 ランクセスは難燃剤への需要増加に応える、幅広い製品ソリューションを提供している。また、さまざまな産業への難燃剤への用途拡大に応える、新しい材料の開発にも積極的に取り組んでいる。さらに、建築材料の分野では、「住み続けられるまちづくり」として持続可能な都市の発展を実現する製品を提供していく。

 特にランクセスの提供する高品質な特殊黒色顔料は、従来の黒色顔料と比べ、屋根瓦の熱吸収率を抑えることができ、現在、都市圏で問題となっているヒートアイランド現象の軽減にも貢献できると期待している。また、ポリマー系難燃剤など、建築材料である断熱材などへの応用を通して、建築分野での提案を進めていく。

 ランクセスは今年も引き続きグローバル企業として、持続可能な社会の発展のために持続可能な開発目標(SDGs)を実現すべく、気候・環境の保護、人々の生活向上など国内外の様々な分野での取り組みを推進していく。さらに、弊社組織におけるダイバーシティ(多様性)の推進、従業員の働きやすい環境と制度の充実化を積極的に進めていきたいと思う。

《化学企業トップ年頭所感》日鉄ケミカル&マテリアル 太田克彦社長

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2020年1月10日

 日鉄ケミカル&マテリアルにとって2020年は節目の年だ。3年前に、オリンピックイヤーを終点にした中期経営計画を策定し、一昨年に経営統合を果たした後も、その計画を引き継いできた。2020年は3年間の集大成の年として、計画した諸施策を確実に実行する年にしたい。

 2020年の経営環境は、当社にとっても厳しい方向に向かっている。1つは中国の過剰生産能力問題が当社の各事業の需給に影響を与える。特に、過去2年間好調であったニードルコークスは、中国での過剰生産能力が顕在化し、その解消に数年かかるとも言われている。

 また、5Gをはじめとした電子・機能材料の需要は確実な伸びが見込まれ、当社にとってもチャンスが広がるが、材料メーカー間の競争はさらに熾烈になるだろう。

 こうした中で、我々のやるべきことは、第1に、中期経営計画の「点検・補強」策の迅速な実行だ。厳しい経営環境の中でまず自らの体質を強化しなければならない。

 第2に、お客様との関係を深めることだ。機能材料事業部門と複合材料事業部門は、これまで以上にお客様目線での製品紹介や材料開発に取り組む必要がある。すでにお客様情報の共有化や顧客キャラバンを行っているが、さらにお客様の開発目標を知り、それに相応しい材料をタイムリーに提案できる体制を整える必要がある。

 第3に、経営統合の仕上げとして、新人事制度の制定を行う。両社の制度を単に統一するだけでなく、社員の皆さんのライフステージに則した多様な働き方がより可能となった上で、仕事の効率性も上がるような制度にしていきたい。

 一方、2020年中期計画の先の会社の進むべき道筋について、議論を始めたいと思う。日本製鉄グループにあって、鉄鋼以外の素材を一元的に担う会社としての責任を果たし、また社会の環境意識の高まりや情報化社会の期待に対して、独自の技術を持ってソリューションを提供することで社会貢献できる、そうした会社を目指していきたい。

 最後に、米国でも株主至上主義の見直しが始まっている。社会との共生は、利益よりも優先されるべき会社の基本だ。社会から認められるためには、安全災害ゼロ、環境事故ゼロ、防災事故ゼロ、品質問題ゼロを目指さなければならない。

 こうした目標は、実は、生産量の確保や収益と対立する概念ではなく、これらの4つを成し遂げれば、安定生産も収益も結果として実現されるものだ。改めて、4つの目標への真摯な取り組みをお願いする。

《化学企業トップ年頭所感》JNC 山田敬三社長

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2020年1月10日

 昨年の景気は、内需については増税後、やや陰りがあったものの、大きな変化はなかった一方、輸出はダウントレンドが強まり、後半は厳しさを増した1年だった。

 化学業界では、いくつかの企業間で経営統合などが発表され、新たな動きが始まっている。汎用化学品は規模が競争力になるが、機能化学品は技術や特殊性が競争力であり、相互補完の動きは今後、ますます増加してくるだろう。

 昨年の当社グループは、中期計画「Think & Act 2021」の1年目ということで、様々な構造改革を進めてきた。事業撤退や生産拠点の統廃合など従来にない施策を行い、現在も継続している。今年は業績回復のための非常に重要な1年だ。必ず結果を出さなければならない。

 市況の不確実性はしばらく続くだろうが、それを言い訳にすることは許されない。二の矢、三の矢を準備し、しっかりと結果を積み上げる努力をお願いする。全員が本気を出し、しっかりと成果を収めることができる年となることを祈念して、年頭の挨拶とする。

《化学企業トップ年頭所感》日本触媒 五嶋祐治朗社長

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2020年1月10日

 昨年を振り返ってみると、甚大な自然災害に見舞われ、また世界経済も減速基調となり、当社の業績にも少なからず影響が出た。このような予測困難な環境下で、リスクを最小限に抑えるための「備え」が、いかに大切かを痛感した年であったように思う。

 このような状況の下、当社は昨年11月に、三洋化成工業と経営統合の最終合意を交わした。この経営統合の大きな目的は、将来への「備え」そのものだ。今後、さらに激化するであろう、世界的な市場競争の中で、生き残り、勝ち残るための「守りの備え」と、さらなる成長、飛躍を目指した「攻めの備え」の両面の「備え」を持つことにある。

 新会社の社名は、800件を超える社内募集の中から、「Synfomix(シンフォミクス)」とした。シンフォミクス発足にあたり、次の3つを伝える。1つ目は「持続可能な社会の創造に貢献しよう」ということ。

 シンフォミクス・グループは、様々な可能性を掛け合わせ、未知の領域へ常に挑戦し、革新的でユニークな価値を生むことで、生活のあらゆる場面を豊かにし、未来のため、持続可能な社会の創造へ貢献することを目指す。「シンフォミクス」の名前が世界中で鳴り響くよう、新会社グループ一体となって持続可能な社会の創造に貢献しよう。

 2つ目は「両社の強みを融合しよう」ということ。日本触媒の競争力ある素材のバリューチェーンと、三洋化成の顧客の課題に応えるソリューションビジネスを融合することで、強みのある事業を複数保有する、グローバルに存在感のある化学メーカーを目指す。今まで1社ではできなかったことも、シンフォミクス・グループなら必ず達成することができると確信している。

 3つ目は「違いを認め合い、違っていることを生かそう」ということ。お互いに相手を理解しようと努め、様々な意見や考え方があるということを認め合おう。そして、違った考え方を掛け合わせることで、新たな考え方や仕事のやり方を生み出していこう。

 新たな挑戦に期待を抱き、気概をもって取り組めるよう、まずは心構えから、「備えよ、For the new company」。今年も安全・安定操業をしっかりと継続し、皆さんとともに健康で幸多い年となることをお祈りする。

《化学企業トップ年頭所感》クラレ 伊藤正明社長

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2020年1月10日

 今年はクラレグループにとって、中期経営計画「PROUD2020」の最終年度であると同時に、次の中期計画を策定する年でもある。現計画に込めた自分たちの「思い」をもう一度確認し、掲げた諸施策の進捗を点検して、戦略・アクションプランの変更が必要だと判断した場合は、躊躇なく迅速に対応する。このような取り組みを通じ、今年を次期中期計画に備えた足元を固める1年としてもらいたい。

 ここで、私がいつも言っていることを繰り返す。1つ目は安全について。全員が「安全はすべての礎」ということを念頭に置き、「安心して働ける会社、事故や災害が起こらない安全な会社」を作り上げるため、自らの責任として無事故・無災害を目指してもらいたい。

 2つ目はクラレグループで働く社員が、「そこで働くことに誇りを持てる会社」にしたいということ。昨年は炭素材料事業で、公正取引委員会から排除措置命令を受けた。2017年にも防衛装備庁入札に関わる排除措置命令を受け、取引の見直し、再発防止に取り組んできたが、再び排除措置命令を受けたことは、誠に残念で痛恨の極みである。

 取り組みに何が足りなかったのか、進め方に問題がなかったかを検証した上で、もう一度全社を挙げて不正な取引の防止をはじめ、コンプライアンス体制の見直し、強化を図らねばならない。

 また、クラレグループは様々な個性を持った人たちが安心して働ける職場、働きやすく、働き甲斐のある職場をつくっていくことを目的に働き方改革を進めている。この活動を通じて、ダイバーシティに富んだ、社員が誇りを持って働ける会社の実現に向け取り組んでいこう。

 最後に、長期ビジョンのありたい姿でもある「独自の技術に新たな要素を取り込み、持続的に発展していく会社」について。独自の技術をベースに、クラレの内外にある新しい技術・力を活用し、既存事業はさらに強く大きくするとともに、今後の成長を期待する事業は、早期の規模拡大と収益向上を目指してもらいたい。

 研究開発のあり方・進め方を見直してから、少しずつ成果に繋がり始めているが、まだまだ道半ば。「さすがクラレ」と言われる新素材・新技術を1日も早く世に出して、成功体験を積み重ねていこう。

《化学企業トップ年頭所感》積水化学工業 髙下貞二社長

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2020年1月10日

 2020年は、まさしく積水化学グループにとって節目の年になる。現中期経営計画「SHIFT2019‐Fusion‐」の最終年度であり、新たに10年先の未来に向け飛躍を描く長期ビジョンと、その第1歩としての3年間の新中計をスタートし、実行に移す年となる。

 まずは現中計の残り3カ月をグループ一丸となって、団結力と総合力で、3カンパニーとメディカルの全セグメント増益を達成し、初の営業利益1千億円突破と、各段階利益で最高益更新をやり遂げたい。

 昨年は、グローバル経済は米中貿易摩擦に翻弄され、国内では消費増税や相次ぐ甚大な自然災害など、経営環境は極めて厳しい風が吹き続けた。そのような環境下、当社グループはESGを経営のど真ん中に据え、新次元の成長を目指し成長路線へのシフトに取り組んできた。

 M&Aや増産といった戦略投資など成長投資は着実に実施、また新製品・新事業も融合により売上増分を創出し、新次元の成長に向けた量的成長=トップライン成長へのシフト=は実現できたと思っている。

 一方で、質的転換に向けては収益性改善のスピードに課題を残した。エレクトロニクスや車輌分野の需要変化に備える構造改革の前倒しや、また、投資効果の早期発現とさらなる構造改革の加速が必要だと認識している。

 これから10年、新しい時代には、「不都合な真実」が今まで以上に顕在化してくるだろう。地球温暖化、グローバル化の後退、自国主義、超高齢社会、労働人口減少、人手不足、インフラ老朽化、相次ぐ災害、安全・安心・健康へのニーズと、社会課題は山積みだ。これらの不確実性とリスクの中で、社会からは課題を解決し、繁栄をもたらす事業が求められている。

 その要請に真正面から取り組み、社会課題解決に貢献する製品・技術・サービスをイノベーションで創出していくことにより、将来にわたり企業の競争力を強め、社会になくてはならない存在感のある企業になることができる。次期中計では、この力をさらに磨き上げる打ち手を講じていく。

 私はESG経営に積水化学グループの未来がかかっていると思っている。足元の実績を一歩一歩着実に積み重ねるリアリズムを持ちつつ、未来と現実のバランスをもって取り組みを進めていく。

 ESG経営で実現したいのは、社会にとって、真に価値ある企業グループであり、私たちの事業が成長すればするほど社会がより持続可能になる未来だ。この目標に向かい、皆様と共に前進していきたい。

《化学企業トップ年頭所感》クレハ 小林豊社長

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2020年1月9日

 世界では政治、経済、社会、技術と全ての面で大きな変化が起きつつある。企業においては気候変動、資源枯渇、海洋プラスチック問題などへの対応が急がれている。

 より一層の社会貢献を意識した経営を推進していく必要があり、当社は様々な社会課題を解決する技術を開発・事業化し、社会にとって不可欠な企業となることを目指す。

 従業員1人ひとりが外から学び、様々な変化を察知するとともに、自ら率先してアイデアを提案し周囲を巻き込み前進する、自発的な行動を期待する。

《化学企業トップ年頭所感》トクヤマ 横田浩社長

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2020年1月9日

 2019年は世界の至る所でリベラル・自由貿易といった価値観に対する揺り戻しや覇権主義、保守主義の台頭など世界の政治・経済が混迷を深めた1年だった。

 そうした情勢下、当社も米中貿易摩擦に端を発した5Gの立ち上がりの遅れにより、エレクトロニクス関連製品を主力とする特殊品は大きく減収減益となったほか、中国・インドの景気減速により化成品も計画を大きく下回る結果となった。

 このように、中期経営計画に掲げる4つの重点課題のうち、財務体質改善を除いては、まだ十分な成果を上げていない。トクヤマビジョンに掲げる2025年のあるべき姿の実現に向けて、残りの3つの重点課題(組織風土の変革、事業戦略の再構築、グループ経営の強化)に対する取り組みを強化する。

 トクヤマの強みを徹底的に追及する一方、将来のトクヤマの事業ポートフォリオを睨んでの事業の見極め、再編などに道をつけていく。

 これに加え、大きな課題としてCO2排出量削減、中長期の研究開発戦略が挙げられる。特にCO2対策に関しては、バイオマス燃料の利用、省エネに加え、新技術導入やIoT活用を含めたプロセス革新やCO2の利活用を強力に推し進めていくべく、1月1日にCO2プロジェクトグループを発足した。大学、官庁などとも連携を加速していく。

 また中長期開発についてはMI活用や先端分野での人的ネットワーク構築が最大のカギとなるため、そうした取り組みを積極的に進める。

 一方、本年は現中計の最終年であり、各部門においてはその達成に向けて取り組んでいくことは勿論だが、既に次期中計に向けての議論をスタートしている。次期中計における最重点目標は「トップ戦略の実現」だ。

 2020年はそれに向けて、各事業におけるトップ戦略の定義、実現するための戦略・実行計画策定の年となる。今年は2025年に向けて大きく飛躍するための足場をしっかりと固めるという意味においても極めて重要な年に位置付けられる。

 また、会社は人材力がすべてと考えており、経営陣を含めた役職員1人ひとりの意識と行動の変革が欠かせない。変革は「好奇心」からであり、好奇心は普段からの勉強によって生まれる。これはいいと思ったら、遊び心を持ってトライすること。スピード感を持って何をしたかが大事なのだ。そうした行動スタイルが普通になることが組織風土改革と言える。

 新年度より新人事制度がスタートするが、その最大の目的は人材開発だ。目指すべき人材像を明確にし、それに向かって1人ひとりがストレッチのきいた目標を設定し実行する。OJTに加え、Off‐JTも充実させ、さらに意欲のある人には国内外問わず様々な成長機会を提供する。変革意識の強い、他社に負けない人材集団を作りたいと思う。

 2020年は好奇心とスピード感に満ちた活力ある若々しい組織風土の実現、飛躍への足場固めの1年とするべく頑張ろう。

《化学企業トップ年頭所感》帝人 鈴木純社長

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2020年1月9日

 AIやIoT、Roboticsといった革新的なテクノロジーの登場により、産業地図は大きく塗り替えられている。未来の人々のQuality of Lifeの向上につながるソリューションを提供するために、テクノロジーをいかに活用していくかということが重要である。

 今年は東京でオリンピック・パラリンピックが開催され、日本経済の活性化につながることが期待されているが、一番大事なことは、一過性のもので終わらせないということである。私たちも長期的な視点から物事をとらえ、社会の一員として、健全で持続可能な未来の社会づくりに貢献していきたい。

 2019年度は現中期計画を仕上げる大事な1年であるが、社内外に約束した目標を下方修正するに至り、忸怩たる思いである。厳しい経済環境下にあることも事実であるが、それを言い訳にせず、社員には最後まで任された仕事の完遂にこだわり、取り組みを進めてほしい。

 次期中期経営計画についても、長期ビジョンや重点領域といった目指すべき姿を変えるつもりはない。競争優位性や収益成長の実現性を精査し、優先順位を明確にした上で、積極的な資源投入も継続する。私たちの事業活動や取り組みが、どのような形で社会が抱える課題の解決に貢献しているのか、より明快に説明責任を果たしていきたい。

 「未来の社会を支える会社になる」という長期ビジョンの実現に向けて、これから50年、100年の持続的な成長につながるアクションプランをまとめ上げたい。社員には「安全」の確保、「周囲とのコミュニケーション」「Resilience(復元力)」を意識してほしい。

 私たちは未来の社会を支える会社になるため、大きな夢を描き、未踏の地を切り開こうという挑戦をしている。テクノロジーの進歩により、まだ誰も見たことがない新たな時代がやってくるが、臆することなく、絶え間ない挑戦と変革を繰り返し、社会とともに歩んでいこう。

《化学企業トップ年頭所感》出光興産 木藤俊一社長

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2020年1月9日

 今年は昨年11月に公表した、統合新社として初の中期経営計画がスタートする。大きく3点申し上げたい。第1に、国内外の政治・経済動向は、極めて不透明な状況が続くということを覚悟しなければならない。米中貿易摩擦に端を発する世界的な景気減速は、残念ながら長期化すると見ている。

 年初には米国によるイラン司令官の殺害というニュースが飛び込んできた。我々がなすべきことは、中東情勢の緊迫化にしっかりと対応しつつ、景気回復や市況改善などの外的要因に頼らず、目標達成に向けて、コスト削減など自力でできることはすべて行うということだ。中期経営計画の発射台となる2019年度を含め、あらゆる角度から業務を分析し、目標達成に向けて最善を尽くしていく。

 第2に、中期経営計画の重点方針で掲げた、成長事業の加速や次世代事業の創出、デジタル変革の推進を具体的に進める。すでに、Next事業室やデジタル変革室など、いくつかの新しい組織を立ち上げた。

 これらの部署はコーポレート部門として社外と接点を持ちつつ、社内横断的な活動を展開していくが、次世代事業やデジタル変革への挑戦は、一部の専門部署だけのものではなく、当社グループ全体で取り組み、すべての部署が直接的・間接的に関わっていくものだ。

 私はすべての事業、すべての部室、すべての従業員が主役であり、脇役はないと思っている。当社グループ内のあちらこちらに、自然発生的に新しい挑戦が始まることを大いに期待している。

 第3は、経営層と社員の直接対話の充実だ。昨年12月から本社地区で、中期経営計画を基に社員との意見交換会をスタートさせた。今後は各地で開催していく。

 2020年度内には、本社機能を新しい本社ビルに集約し、システムを含めた業務プロセスの統一と刷新も図る。業務プロセスやシステムだけでなく、オフィス空間のありたい姿についても検討し、今後本社だけでなく、各オフィスにも展開して、働き方改革の一助としていく予定だ。

 統合2年目となる今年は、助走期間も終わり、真の意味での統合を成し遂げていかなければならない。何を変え、何を変えないか、皆で喧々囂々、侃々諤々の議論をし、次の企業体に進化していく。