住友化学は2日、米国のバイオベンチャー企業であるコナジェン社に3000万ドルを出資したと発表した。今回の出資により戦略的業務提携を一層推進し、合成生物学を活用した画期的な高機能製品や革新的プロセスの開発を目指す。
コナジェン社は、合成生物学を活用して微生物の設計と培養から発酵プロセスの工業化までを一貫して行うことに強みを持つ研究開発型のバイオテクノロジー企業。機能性食品素材、ヘルスケア、香料など幅広い分野を対象とした研究開発に加え、中国や欧州に量産拠点を確保しており、多くの企業との協業に基づき事業を展開している。
住友化学は、2018年からコナジェン社との間で既存化学品のバイオ合成に関する共同研究を実施。その成果を踏まえて昨年にはコナジェン社が中核をなす企業グループの1社であるスィージェン社に出資するなど、協力関係を強化してきた。
近年、バイオテクノロジーとデジタルテクノロジーの融合による技術の急速な進歩により、合成生物学の商業化が進んでいる。そうした中、住友化学は、合成生物学と化学技術を融合させることにより、化学合成だけでは製造が困難な高機能製品や、高効率かつクリーンで省エネルギーなプロセスを開発し、新事業の創出を加速させることが可能になると考えている。
一方、コナジェン社も、機能性食品素材や香料などに続く新分野での事業化に向け、ダウンストリームプロセスや安全性評価などの共通的な基盤技術や、アプリケーションノウハウを持つ化学企業との戦略的協業を望んでいることから、今回の出資に至った。
今後、共同でテーマ探索を行なうとともに技術者を相互に派遣して当社の技術基盤を強化し、革新的な技術やプロセス開発につなげていく。