産総研とトヨタ エネルギー・環境領域技術の共同研究検討

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2021年10月26日

 産業技術総合研究所、トヨタ自動車、豊田中央研究所はこのほど、エネルギー・環境領域における先端技術開発の加速と実用化に向けた共同研究の検討を開始した。

 3者はカーボンニュートラル(CN)の実現に貢献するという強い意志をもち、CO2排出量削減の鍵となるエネルギーに焦点をあて、地球にやさしくいつまでも安心して使えるエネルギーを社会で共有することを目指す。

 CNとは「作る、運ぶ、使う、リサイクルする」という製品のライフサイクル全体でのCO2排出量を実質ゼロにすることで、「どのようなエネルギーを、誰が、どこで、どのくらい、どのように使うか」が重要なポイント。国・地域によってエネルギー事情は異なり、選択肢も様々だ。

 1つのエネルギーや技術に絞るのではなく、暮らしや企業活動に応じたエネルギーと活用技術の選択肢を拡げる研究に取り組み、将来の社会実装を目指す。

 具体的には、①産総研のエネルギーモデルを使った将来のエネルギー関連技術の動向・エネルギー環境政策などの社会情勢の影響分析に基づく、クリーンエネルギーの需要見込み・新技術の導入・環境への負荷・コストなどの「エネルギーシナリオの構築」、

 ②最適なエネルギー構成と自動車の電動化技術を通じた「CNと経済合理性を両立する街のエネルギーネットワークの構築」、

 ③太陽光発電システム搭載の電動車両普及のための高変換効率・低コストの「車載用高効率太陽光発電システムの開発」、

 ④水素社会の実現に向けた「水素を「作る、運ぶ、使う」ための要素技術の開発」から共同研究の検討をしていく。

 今後、産総研・トヨタ・豊田中研がしっかりと連携し、2050年CN実現への貢献に向けて多方面から様々な技術の可能性を探る。志を同じくする新たなパートナーとの連携についてもオープンに検討し、共同研究の成果が社会で実装され普及し定着することを目指す。

三井化学 日本IBMとBC技術でプラの追跡実用化へ

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2021年4月27日

 三井化学は26日、循環経済の実現に向けて課題となっているプラスチック素材のトレーサビリティ(追跡可能性)の実用化を目指すため、ブロックチェーン(BC)技術を活用した資源循環プラットフォーム構築に向け、日本IBMと協働を開始すると発表した。

両社は、循環経済の実現に向けて、プラスチック素材のトレーサビリティーシステム実用化を目指す
両社は、循環経済の実現に向けて、プラスチック素材のトレーサビリティーシステム実用化を目指す

 BC技術とは、全履歴を連続的に記録する「不可逆」なデータベース技術。全ての関係者がアクセス可能であり、データ改ざんが不可能であることから、その原材料、製品などが「いつ、どこで、だれの手を渡って来たのか」を追跡可能にする。

 三井化学のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進室を指揮する三瓶雅夫執行役員は、「当社は気候変動とプラ問題を重点的に取り組むべき重要な社会課題と捉えている。これらの課題解決には、資源を消費して廃棄する一方通行の経済から、資源を回収して再生・再利用する循環型経済への転換が必須だ」と強調する。三井化学が培ってきたモノマーやポリマーに関する豊富な知見やスキルをはじめ、現在開発を進めているリサイクルを含む環境対応技術やノウハウを生かし、BCに代表されるDX関連技術を積極的に取り入れることで、「素材トレーサビリティシステムである資源循環プラットフォームを構築し、循環経済の実現に寄与していく」(三瓶執行役員)考えだ。

 一方、日本IBMは、様々な企業のDXに取り組んできた豊富な知見やスキルを活用し、今回のBC技術を活用したデジタルプラットフォームの構築を検証する。BC技術により、中立性や公平性が担保され、高度なセキュリティを確保できるほか、スピーディーな構築や柔軟性を特長とするクラウドを活用し、既存システムと連携したハイブリッドクラウドの構築やAIの活用も検討していく。世界的にプラスチックの需要が拡大する一方で廃プラ問題が顕在化する中、これまで以上に資源循環型経済の実現が求められているが、リサイクル原料の使用では、含有物質の明確化などトレーサビリティの担保が課題となっている。

 両社が検討する資源循環プラットフォームでは、モノマー・ポリマーといった原材料から製品の製造・販売・使用、およびその後に回収から解体・破砕を経てリサイクル原料となり製品製造に再利用されるまでの、資源のライフサイクル全体を追跡していく。また、リサイクル原料の製造工程や検査工程、物性情報や品質情報なども併せて可視化することで円滑な流通支援を目指す。