富士フイルムはこのほど、医療AI技術を活用して疾病の早期発見と医療従事者の業務効率化を支援する取り組みが、デジタル庁主催の「good digital award 2022」の健康/医療/介護部門において「部門優秀賞」を受賞した。
デジタル庁は昨年、
2022年9月20日
2022年9月12日
2022年7月4日
2022年4月25日
2022年4月21日
2022年4月18日
2022年2月28日
2021年9月22日
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)はこのほど、東京大学、富士フイルム、TOTO、三菱ケミカル、信州大学、明治大学とともに100㎡規模の太陽光受光型光触媒水分解パネル反応器と水素・酸素ガス分離モジュールから成る光触媒パネル反応システムを開発し、太陽光による水分解で長期間安全かつ安定的にソーラー水素を分離・回収できることを実証した。世界初の実証事例。
NEDOは、水の光分解で得たソーラー水素とCO2からC2~C4オレフィンを製造する「二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発(人工光合成プロジェクト)」で、①光触媒(水の光分解で水素と酸素を製造)、②分離膜(水素・酸素の混合ガスから水素を分離)、③合成触媒(水素とCO2からC2~C4オレフィンを合成)の研究開発に取り組んでおり、今回の成果は①と②に当たる。
光触媒パネル反応器は、透明ガラス容器にチタン酸ストロンチウム光触媒シートを格納したもので、光触媒を基板上に塗布するだけで製造できる。紫外光で水を分解し、量子収率はほぼ100%。疑似太陽光の連続照射による耐久性試験では、初期の8割以上の活性を2カ月以上(屋外試験で約1年に相当)維持した。この反応器を連結した3㎡のモジュールをプラスチックチューブで連結し、100㎡規模の反応器とした。屋外環境で水素と酸素が2対1の混合ガスを発生。その太陽光エネルギー変換効率は夏期には0.76%であった。
ガス分離モジュールで水素濃度約94%の透過ガスと、酸素濃度60%以上の残留ガスに分離。天候・季節によらず、水素の回収率は約73%だった。水素濃度4~95%の混合ガスは着火すると爆発するが、1年以上の屋外試験で一度も自然着火・爆発はなかった。爆発リスクの確認のために、光触媒パネル反応器、ガス捕集用配管、ガス分離モジュールに意図的に着火したが、いずれも破損や性能劣化はなかった。
今後、可視光にも応答するエネルギー変換効率5~10%の光触媒の開発と、光触媒パネルの低コスト化と一層の大規模化、ガス分離プロセスの分離性能とエネルギー効率の向上のための技術開発を進め、実用化を目指す。
2021年9月21日
富士フイルムはこのほど、新興国向け健康診断サービス事業の新たな取り組みとして、画像診断支援AI技術の有効性実証に向けた検証事業をインドで開始した。
今年2月に同国に開設した健診センター「NURA(ニューラ)」を活用する。なお、同事業は、日本企業がデジタル技術を生かしながら、経済発展著しいアジア新興国の社会課題解決に貢献する活動として高い評価を受け、経済産業省が推進する「アジアDX促進事業」に採択された。
同社は、今年2月に新興国での健康診断サービス事業を開始し、第1弾として、がん検診を中心とした健診センター「NURA」をインドのベンガルールにオープンした。NURAでは、高精細な診断画像を提供する同社の医療機器やAI技術を活用した医療ITシステムなどで医師の診断をサポートし、がん検診をはじめ生活習慣病検査サービスを提供している。
これまでに、ベンガルールを中心としたエリアの居住者や近隣企業・医療施設関係者など、20~80代までの幅広い年齢層のユーザーが受診。スピーディーかつ高品質なサービス内容に対して高い評価を得ている。
今回開始する検証事業では、来年1月までに、NURA受診者のうち2000人分の胸部CT画像データを対象として、AI技術を活用した画像診断支援機能を使った検診が、病変の見落としの防止や読影スピード向上につながることを検証する。
具体的にはNURAで撮影したCT画像に対し、画像診断支援AI技術を活用して医師が読影した結果と、別の医師が同技術を活用せずに読影した結果を比較し、診断結果とスピードの差異を分析。これらの結果を基に、AI技術によって見落としを防止しつつ医師の読影ワークフロー全体にかかる時間を削減する効果を実証し、新興国の限られた医療リソースでも効果的に健診サービスの展開が可能であることを実証する。また、新興国の健診サービス向けに、CT画像から腹部(腎臓・肝臓・胆のう)の異常検出を支援する新たなAI技術の開発も行う予定。
2021年8月24日
富士フイルムはこのほど、ハンディタイプの新型コロナウイルス抗原検査キットを体外診断用医薬品として、富士フイルムメディカルを通じて発売を開始した。
検査キット「富士ドライケム IMMUNO AG(イムノ エージー)ハンディCOVID-19 Ag」は、写真の現像プロセスで使う銀塩増幅反応による高感度検出技術を応用した「銀増幅イムノクロマト法」によるもので、カートリッジに検体の抽出液を滴下すると10~13分で検査結果を目視確認することができ、専用の検査装置は不要だ。
使用した抗体は横浜市立大学が開発したもので、従来のコロナウイルスやインフルエンザウイルスとは区別し、新型コロナウイルス抗原を高精度で検出。また変異の影響を受けにくいウイルス抗原部位を標的とした抗体であるため、アルファ株、ベータ株、ガンマ株などの変異株のウイルス抗原も高精度に検出できることを確認している。
標識抗体は、この抗体に金コロイドを付けたもの。これと抗原が結合して抗原抗体複合体となり、それを検査キットの検出ラインに塗布した捕捉抗体が捕捉。そこに還元剤と銀イオンを共存させると、銀増幅反応により金コロイドの周囲でのみ銀イオンが還元して直径約6㎛の金属銀を形成する。目視検出能は約100倍に増幅され、ウイルス量が少ない場合でも検出が可能となる。同大学と共同で行った培養ウイルスや臨床検体を使った性能確認の結果、銀増幅を用いないイムノクロマト法と比べて高いウイルス検出能を示した。
同製品の発売により、検査装置をもたない高齢者施設、企業、学校などでも新型コロナウイルスの検査を可能とし、さらなる検査体制の拡充と感染拡大の抑制に貢献できるとしている。