帝人は6日、2022年3月期第1四半期(4―6月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比26%増の2259億円、営業利益37%増の173億円、経常利益48%増の184億円、純利益72%増の98億円だった。
同日に電話会見を開催し、鍋島昭久代表取締役常務執行役員CFOは「コロナ禍からの経済回復に伴い、各セグメントでの販売が堅調となった。ヘルスケア大型投資の効果もあり、売上高と営業利益はコロナ禍前の2019年度第1四半期の水準を上回った」と総括した。
マテリアルセグメントは
2021年8月11日
2021年7月28日
帝人は27日、グループの持続可能な社会へ向けた取り組み姿勢、ならびに自動車の環境負荷軽減に貢献する技術を総合的に紹介する特設サイト「TEIJIN SUSTAINABLE MOBILITY」(https://teijin-sustainablemobility.com/?lang=ja)を開設したと発表した。
同社は、自らができる地球温暖化への意識啓発の一つのアプローチとして、EVのフォーミュラーカーレース「フォーミュラE」に参戦する英国の「エンヴィジョン・ヴァージン・レーシング・フォーミュラEチーム」(EVR)をサポートしており、同サイトではEVRを支援する意義や関連コンテンツも紹介している。
同サイトのデザインやコンテンツの制作に当たっては、日本・米国・欧州の自動車関連のグループ会社とも連携し、自動車業界のステークホルダーに広く受け入れられるウェブサイトを目指した。また、環境負荷軽減につながる自動車部品などの情報では、蘭テイジン・アラミド社、米CSP社、独ジーグラー社がもつ各製品やソリューションを紹介しており、今後、グレージングや炭素繊維関連のソリューションなど、新たなコンテンツを追加していくことで、さらに内容の充実を図っていく。
帝人グループはこの特設サイトを通じて、サステナビリティに関する企業メッセージや自動車向けの環境負荷軽減ソリューションについて発信することにより、自動車業界における認知度やポジションの向上、グローバルにおける中長期的な新たなビジネス機会の創出を図っていく。
2021年7月21日
帝人はこのほど、女性を中心とする一般消費者に向けた善玉菌サプリメントの新ブランド「melito(ミライト)」を立ち上げたと発表した。
その第1弾の展開として、膣内フローラに着目した乳酸菌「UREX」、アトピー性皮膚炎に対する調査結果が報告されている乳酸菌「LGG」、および乳児にも広く使用され、胃酸などの強酸下にも耐える自然由来のビフィズス菌「BB-12」の3商品を自社ECサイトで発売する。
大腸内での発酵が健康に重要であることに着目した帝人は、腸内細菌のエサとなるプレバイオティクス素材の事業ブランド「Biolier(ビオリエ)」を立ち上げ、2016年よりスーパー大麦「バーリーマックス」、2018年から水溶性食物繊維「イヌリア」を展開してきた。また、昨年からはデンマークのクリスチャン・ハンセン社と販売代理店契約を締結し、健康に好影響を与える腸内細菌であるプロバイオティクス原料をラインナップに加えて、さらなる事業強化を進めている。
今回発売する3商品は、いずれもプロバイオティクス原料を配合し、女性の健康をサポートすることを目的に開発したタブレット状のサプリメント。その中でも特に「UREX」は、女性のために開発された乳酸菌で、臨床研究において他の乳酸菌に比べて長く膣内フローラにとどまることが確認されており、膣内環境の正常化をサポートする。また、世界で初めて、タブレット形状で「UREX」を配合することに成功し服用しやすい。さらに、3商品すべてにプレバイオティクス素材である「イヌリア」を配合しており、女性の悩みの1つである腸内環境の改善も期待できる。パッケージは、サプリメント感を払拭し、女性に受け入れられやすい北欧調のデザインを採用した。
帝人は、「melito」ブランドとして発売した3商品により、今後、膣内フローラをはじめとする「女性のセルフケア」という新たなフェムテック市場の開拓を図るとともに、まだ顕在化していない健康ニーズにフォーカスした、独自性のある商品開発によりラインナップの拡充を図っていく。
2021年7月13日
帝人は12日、ベトナム・ハナム省に新設したプリプレグを中心とする炭素繊維製品の工場で商業生産を開始すると発表した。軽量で剛性に優れる炭素繊維製品は、スポーツや釣りなどの分野で高いパフォーマンスを発揮するため、これまで長きにわたって関連用品の主要部材として使用されており、近年もさらに採用が進んでいる。
特に最近は、コロナ禍の影響で密を避けるアクティビティが関心を集めており、需要が伸長。中でも東南アジア地域は、スポーツ用途をはじめ一般産業用途や航空機用途の炭素繊維製品の供給を担う需要地として市場が拡大している。帝人はシンガポール、上海、台湾に現地法人を設け、東南アジア地域の需要増加に迅速に対応してきた。こうした中、新規顧客の獲得や用途開拓の推進、地域のニーズに沿ったソリューション提供などを可能とするため、ベトナム・ハナム省に工場ならびに運営会社であるテイジン・カーボン・ベトナムを設立し、商業生産の開始に至った。
新工場では、まず、釣り、ゴルフ、自転車、アイスホッケーなどのアクティビティ用途向けプリプレグを中心とする炭素繊維製品の生産を担い、テイジン・カーボン・ベトナムと既存のアジア現地法人が、市場拡大が期待される東南アジア・南アジア・オセアニア地域に向けて販売活動を展開していく。そして、将来的には、一般産業用途や航空機用途に向けた生産も視野に入れて事業展開していく考えだ。
帝人グループは、ベトナムの新工場での商業生産開始により、川上から川下に至るまでの顧客対応力を一層強化し、アジアにおける炭素繊維事業のプレゼンス向上を目指していく。そして、長期ビジョンとして掲げる「未来の社会を支える会社」に向けて、さらに邁進していく。
2021年7月12日
帝人はこのほど、アラミド事業を展開する蘭テイジン・アラミドが、パラ系アラミド「トワロン」のライフサイクルにおけるCO2排出量を30%削減(2014年対比)したと発表した。これは、外部団体によるISO規格に則した最新のライフサイクルアセスメント(LCA)調査により示されたもの。テイジン・アラミドが長年にわたり、「トワロン」のライフサイクルにおける持続可能性、生産工程の改善、100%再生可能電力への移行などに注力してきた成果になる。
テイジン・アラミドは、2011年より環境配慮や経済価値における顧客利益向上のための独自手法「カスタマー・ベネフィット・モデル(CBM)」を用いることで、「トワロン」を使用した顧客製品においても環境負荷が低減することを示してきた。 また、最近では、さらなる環境負荷低減に向けてグリーンエネルギーの活用を強化することとし、欧州エネルギー証明制度(EECS)の一環であるエネルギーの属性証明(GO)を取得し、風力エネルギーの使用を開始。これにより2021年内には、オランダ国内の生産拠点における総電力消費量を、全てグリーンエネルギーで賄うことが可能となる見込みだ。さらに、「トワロン」の物理的、化学的、機械的なリサイクルの拡大にも注力しており、使用済み製品を回収するための新たな物流システムの構築にも取り組んでいる。
テイジン・アラミドは、今後もエネルギー消費量の削減、グリーンエネルギーの導入、リサイクル技術の向上など、持続可能な循環型社会の実現に向けた事業戦略をさらに強化し、帝人グループとして、2050年度までにCO2排出量を実質ゼロとすること、および長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」になることを目指していく。
2021年7月5日
帝人の子会社であるジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC:愛知県蒲郡市)はこのほど、自家培養口腔粘膜上皮「オキュラル」の製造販売承認を取得したと発表した。
「オキュラル」は、角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした製品で、同疾患に対する口腔粘膜上皮細胞を使った再生医療等製品としては世界初。同製品は、大阪大学大学院医学系研究科の西田幸二教授が開発した技術を導入し実用化した。眼科領域では、昨年3月に製造販売承認を取得した自家培養角膜上皮「ネピック」につづき、国内第2号の再生医療等製品となる。
「オキュラル」は、患者自身の口腔粘膜組織を採取し、分離した細胞を培養して作製するヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート。患者の眼表面に移植することにより、患者自身の口腔粘膜上皮細胞が生着・上皮化し、欠損した角膜上皮の修復を目的としている。角膜上皮幹細胞疲弊症によって両眼の角膜が広範囲に障害を受け、視力が著しく低下した患者に対する新たな治療法として期待される。なお、2020年に角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした希少疾病用再生医療等製品に指定されている。
同社は「ネピック」に加えて「オキュラル」を実用化することで、根治療法の存在しなかった角膜上皮疾患に対する治療法の提供を実現していく。そして既存製品のさらなる販売強化、新規再生医療等製品の開発加速などを通じて、再生医療の産業化を推進するとともに、患者のQOL向上に貢献していく。
2021年6月25日
帝人はこのほど、ダイバーシティハンドブック「together 2021~それぞれの明日を創るために~」を製作・発行した。
同社は中期経営計画の中で、イノベーション創出のための重要施策に「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」を掲げており、働き方の多様化、女性活躍、人財多様化の推進といった活動の啓発やPRの一環として、毎年ダイバーシティハンドブックを発行している。
今回は巻頭に、同社グループのカローラ・ヤプケCHOの、「組織再編とD&I」「私たちに必要な変化」をテーマとした担当役員との対談を掲載。また、国内外の事例をケーススタディ「私たちのD&I」として紹介。グループ会社の多様な人財が力を発揮できる環境づくりの取り組みを示している。
2021年6月16日
帝人は15日、米国スピリットエアロシステムズの研究組織である「エアロスペース・イノベーション・センター(AIC)」に参画すると発表した。帝人は、スピリット社およびAICメンバー各社と、次世代航空機向けの革新的な炭素繊維材料を共同開発することが可能となる。
航空機用部品を製造する世界最大規模のティア1メーカーであるスピリット社は、米国、英国、フランス、マレーシアに拠点を配している。主力製品は航空機の胴体や翼などの部品で、革新的な複合材料とアルミニウムの製造ソリューションを世界中の顧客に向けて提供している。その研究組織であるAICは、スコットランドのプレストウィックにある敷地面積が約8万5000平方フィートの研究センターで、スピリット社のエンジニアリング設計や製造に関する専門知識、およびメンバー企業との共同研究に必要な先進的な製造設備を提供している。帝人グループは、今回のAICへの参画により、スピリット社やメンバー企業との革新的な技術開発を実現し、持続可能な未来の構築への貢献を目指していく。
帝人グループは中期経営計画の中で、航空機向け炭素繊維中間材料の開発を「将来の収益源育成」と位置づけており、幅広く用途開発を推進。今後、航空機向け炭素繊維製品のマーケットリーダーとして、ソリューション提案力を一層強化し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指していく。
2021年6月15日
帝人はこのほど、2010年にノーベル化学賞を受賞し同社の名誉フェローである根岸英一氏(米パデュー大学特別教授)の訃報に接し、鈴木純社長の追悼文を発表した。
根岸氏は東京大学工学部を卒業後、1958~1969年に同社に在籍し研究所に勤務。ノーベル賞受賞後の2011年からは名誉フェローに就任し、研究開発アドバイザーとして、また後進への助言や指導などを通じて、同社の研究開発力、技術開発力の向上に尽力していた。
鈴木社長は根岸氏と社員とのエピソードを紹介し、「当社に対し、社会に対し、根岸先生の生前のご功績は言い尽くせない。偉大なる先輩のご逝去を悼むとともに、学術界および産業界への多大なるご貢献に感謝の意を表し、心よりご冥福をお祈り申し上げる」と述べている。
2021年6月2日
帝人は1日、同社の炭素繊維「テナックス」を使用した中間材料が、日機装が開発する航空機向けの次世代エンジン用ナセル(筐体の部材)として採用されたと発表した。このナセルの部材は、エアバス社が進めている「Propulsion of Tomorrow」プロジェクトに採用が決まっており、今年末までに試作品がエアバス社に納入される予定。
今回、ナセルの部材として採用された炭素繊維中間材料は、帝人が独自開発した航空機用の高性能速硬化エポキシ樹脂を使用したプリプレグで、一般的な航空機向けプリプレグよりも低温度で、かつ短時間に成形することができる。また、航空機用途で広く使用されているオートクレーブ成形だけでなく、大量生産に適したプレス成形にも対応可能で、プレス成形した場合もオートクレーブ成形と同等の品質を実現する。
さらに、一方向プリプレグを繊維方向に8分の1~2分の1インチ幅にスリットしたテープを複数同時に自動積層する技術「Automated Fiber Placement」に対応。速硬化エポキシ樹脂による短時間成形と、「Automated Fiber Placement」を組み合わせることにより、生産効率を最大限に高めることができる。こうした生産性やコスト効率に優れる点が高く評価された。
帝人は今回の採用を契機に、中期経営計画において「ストラテジック・フォーカス(将来の収益源育成)」に位置づけている航空機向け炭素繊維中間材料の展開をさらに進めるとともに、持続可能な社会の実現に向けたソリューション提供を強化し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指していく。