帝人 GHG削減目標がSBT認定、国内化学会社で初

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2021年12月13日

 帝人はこのほど、同社が掲げる温室効果ガス(GHG)削減の目標が「2℃を十分に下回る目標水準(WB2℃)」であると認められ、パリ協定の定める目標に科学的に整合するGHGの排出削減目標「サイエンス・ベースド・ターゲット(SBT)」として認定を受けた。

 同社は今年2月、2年以内にSBT認定取得をすると表明していたが、計画よりも早期に実現。また、国内の化学メーカーで「WB2℃」に認定されたのは初となり、気候変動対策に積極的に取り組む企業として国際的に認められたことになる。

 SBTは、企業が掲げるGHGの長期的な削減目標が、パリ協定の「地球の気温上昇を産業革命前と比べて2℃未満に抑える」という目標の達成に必要な水準を科学的に満たしている場合に、国際組織「SBTイニシアチブ(SBTi)」により認定される。

 同社は、自社によるCO2排出量を2050年度までに実質ゼロ、サプライチェーンにおけるCO2排出削減への貢献では、2030年度までに「削減貢献量が総排出量を上回る」という目標を掲げる。さらに7月には、2030年度までのCO2排出量削減目標を「20%削減(2018年度対比)」から「30%削減(同)」へと、より高い水準に引き上げるとともに、サプライチェーン排出量(スコープ3排出量)の3分の2以上を占める部分について、「15%削減(同)」という数値目標を新設した。

 同社グループは、今回の「WB2℃」認定取得を機に、石炭火力発電の転換、再生可能エネルギー化の推進、エネルギー効率化・省エネ化など、温室効果ガス排出削減に向けた取り組みを一層加速させていく。そして、長期ビジョンとして掲げる「未来の社会を支える会社」になることを目指し、「環境価値」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」の3つのソリューションで持続可能な社会の実現に貢献していく。

帝人の4-9月期 各セグメントが販売堅調で増収増益

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2021年11月9日

 帝人は8日、2022年3月期第2四半期(4-9月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比15%増の4534億円、営業利益1%増の315億円、経常利益8%増の326億円、純利益35%増の216億円だった。

 同日の電話会見において、鍋島昭久代表取締役常務執行役員CFOは「売上高は、各セグメントで経済回復に伴う販売増に加え、マテリアルでの原料価格高騰に対応した販売価格改定などもあり、大幅な増収となった。営業利益は、

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帝人 パラ系アラミド長繊維、リサイクル技術を開発

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2021年11月5日

 帝人は4日、アラミド事業を展開するテイジン・アラミド(オランダ)が、パラ系アラミド「トワロン」長繊維のリサイクル技術を開発し、長繊維からリサイクル長繊維を再生するパイロット生産に成功したと発表した。同社は、2024年の販売開始を目指し、今後もリサイクル長繊維の改良を重ねていく方針だ。

 テイジン・アラミドは、自社製品において持続可能な社会の実現に貢献する取り組みとして、これまで20年以上にわたり、長繊維状の「トワロン」を用いた使用済み最終製品を回収し、パルプ状にリサイクルして再利用する事業を展開している。

 近年は、「トワロン」使用による環境への影響を定量化できる独自の換算システムの導入や、バイオ由来原料を使用した「トワロン」生産技術の開発を行い、さらに今年には、「トワロン」」のライフサイクルにおけるCO2排出量を約30%削減(2014年対比)した。

 こうした中、今回、使用済みの「トワロン」長繊維を再び長繊維にする技術を開発し、パイロット生産に成功した。今回の技術は、回収された使用済み最終製品に用いられた繊維を短く切断し、さらに細かく刻んだものをバージン原料と合わせて溶融し紡糸したもの。これにより再生品の性能は、バージン品とほぼ同等であることが確認されており、同社はこのリサイクル長繊維に関する技術特許を出願中だ。

 また技術開発に伴い、工業・産業向けケーブルメーカーであるファイバー・マックス社(オランダ)、および海運・漁業向けロープメーカーであるハンプジャン社(アイスランド)と連携し、リサイクル長繊維を9割以上使用した最終製品での実証試験を進めている。

 同社は、パートナー企業や顧客企業との連携を一層強化し、アラミドを使用した様々な用途の最終製品を回収してリサイクルを推進していく。

帝人 脊椎・外傷事業を買収、埋め込み型医療機器を拡大

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2021年11月1日

 帝人は29日、グループ会社の帝人ナカシマメディカルが、大塚メディカルデバイスの子会社であるKiSCOから脊椎および外傷(骨折)事業を買収することを決定し、吸収分割による事業の承継契約を締結したと発表した。

 帝人グループは、次代を担う事業として埋め込み型医療機器事業を位置づけ、同事業を手掛ける帝人ナカシマメディカルへの出資や、吸収性骨接合材料の製造・販売を展開する帝人メディカルテクノロジーの設立など、積極的に事業を推進してきた。帝人ナカシマメディカルは、2015年から帝人グループに加わり、2018年にはセンチュリーメディカル社から脊椎事業を譲受して事業領域を拡大するなど、着実に成長を続けている。

 一方、脊椎固定材料や骨接合材料などのインプラント製品の開発、販売を行う医療機器会社のKiSCOは、大塚メディカルデバイスの子会社として事業を展開している。

 帝人ナカシマメディカルは今回の契約締結により、脊椎や外傷(骨折)領域に強みをもつKiSCOの人財と製品を承継し、開発および営業基盤の強化や、製品ラインアップの拡充を図ることで、埋め込み型医療機器事業の成長をさらに加速させる。

 帝人ナカシマメディカルは今後、今回の人財と製品の獲得をさらなる成長の原動力とし、高齢化により増加する整形外科インプラントの需要を取り込むことで、2025年までに売上高100億円を目指す。

帝人 欧州で自動車向け複合成形材、一貫供給体制を確立

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2021年10月28日

 帝人は27日、同社グループのTAT(米国)が、仏拠点において、生産性、外観性、寸法・品質安定性に優れるシートモールディングコンパウンド(SMC)製造設備による商業生産を開始したと発表した。

 なお、設備投資額は約7億円。自動車向け複合成形材料事業を展開するTATは、コンポジット部品の北米最大のサプライヤーとしての地位を確立し、主にガラス繊維を用いた自社開発のSMCを製造している。

 今回、フランスで商業生産を開始したことで、ポルトガルやチェコの成形拠点と共に欧州におけるバリューチェーンを確立。これにより自動車産業の主要市場の1つである欧州域内において、北米と同様に材料から成形までの一貫生産体制を実現した。今後、TATは、開発中の低VOC(低揮発性有機化合物)などを使用した製法も加え、優位性の高いコンポジット製品を拡大展開することにより、欧州の自動車メーカーのニーズに対応していく。

 帝人グループは、自動車業界が求める軽量、安全で、エネルギー効率や耐久性に優れる部品をグローバルに提供することができる世界有数のリーディングカンパニーとして、さらに確固たる地位を確立していく。また、バリューチェーン全体のライフサイクルにおける、CO2排出量削減に向けた技術開発や様々な取り組みにも注力し、2030年近傍には、自動車向け複合成形材料事業の売上を20億ドル規模へと拡大していく。

帝人 航空機向け高耐熱熱硬化プリプレグ、生産を増強

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2021年10月20日

 帝人は19日、グループ会社の米国レネゲード社が、高耐熱熱硬化プリプレグの生産能力を約2.5倍へと増強すると発表した。投資金額は400万ドル。同社は昨年3月に設備増設に着工した設備が完成しており、来年1月から商業生産を開始する。

 レネゲード社は、1993年創立の樹脂メーカーを母体として2007年に設立された航空・宇宙用途向け高耐熱熱硬化プリプレグメーカー。耐熱性樹脂に関する豊富なノウハウをもってており、中でも、低毒性原料によるポリイミド樹脂を用いて製造される高耐熱性および熱サイクル耐性に優れるプリプレグは、欧米をはじめとする航空機メーカーや航空機用エンジンの関連メーカーなどから高い信頼と採用実績を得ている。同社製品でしか対応できないことから、使用温度が極めて高い航空機のエンジン部品を中心に採用が拡大しており、今後も高耐熱熱硬化プリプレグは、航空機用途でのさらなる需要拡大が見込まれている。

 こうした中、同社は、需要拡大への対応力強化や産業用途への拡大展開を目的として、2019年12月に生産増強を決定。すでに増設設備は完成しており、現在実施している試運転を経て来年1月から商業生産を開始する予定だ。

 なお、帝人グループは、米国テキサス州ダラスで開催される複合材料と最先端技術に関する展示会「CAMX」(10月19~21日)において、グループ共同ブースにレネゲード社の高耐熱熱硬化プリプレグを出展する。

 帝人グループは、今後、炭素繊維製品の開発をさらに強化し、革新的な高性能材料とソリューションを提供することで、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指していく。

 

帝人 ポリカーボネート樹脂を値上げ、採算是正を図る

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2021年10月20日

 帝人は19日、ポリカーボネート(PC)樹脂の国内外価格について11月1日出荷分から値上げすると発表した。対象製品と改定幅は、PC樹脂「パンライト」リン系難燃グレードが、国内「10円/kg以上」海外「100USドル/t以上」、PC系アロイ樹脂「マルチロン」リン系難燃グレードが、国内「30円/kg以上」海外「300USドル/t以上」となっている。

 PC樹脂に難燃性を付与する副資材の一種であるリン系難燃剤の粗原料は、その多くが中国で生産されている。しかし、同国における電力使用制限措置によって大幅に減産されており、需給のひっ迫状況から価格が急騰している。また、石油価格の高騰に伴い、PC樹脂の主原料であるビスフェノールAの価格は高止まりの状況が続いている。

 同社は、これらのコスト上昇が合理化努力で吸収し得る範囲を超えていることから、販売価格の改定を決定した。

帝人 自動車向け複合成形材、グローバルブランドを展開

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2021年9月27日

 帝人は24日、グローバル展開している自動車向け複合成形材料事業について、「テイジン・オートモーティブ・テクノロジーズ(TAT)」にブランドを統合すると発表した。帝人グループは、中期経営計画の中で、マルチマテリアル化による高付加価値用途への展開強化を掲げ、自動車向け複合成形材料の米国でのトップシェア拡大と、欧州・中国市場での展開の強化・拡大を推進している。

 同社は2017年に北米最大の自動車向け複合材料部品メーカーであるCSPを買収して以降、ポルトガルのイナパル、チェコのベネットを相次いで買収、昨年にはCSPの中国合弁会社CSPビクトールを子会社化し、世界各地に拠点を構築。グローバル・ティア1サプライヤーとしてOEMからの要求特性に対応するため、環境配慮型の次世代自動車に求められる軽量で高強度な部品開発を推進している。また、昨年には、テクニカルセンターとしてドイツにTACE、先端技術開発拠点として米国にATCを開設。顧客ニーズに対する、マルチマテリアルでのソリューション提案力を強化している。

 こうした中、今回、TATブランドの下に、グループ会社ならびに組織(世界29拠点、社員約5400人)が結束。事業体制を強化することで、ライフサイクル全体を通じた環境負荷低減を実現する、自動車部品の技術開発、生産、供給を展開していく。またブランド統一に伴い、CSP、イナパル、ベネット、およびTACE、CSPビクトールは、TATへと社名を変更する。なお、日本国内の事業所や部署については、社名は変えず、TATを事業ブランドとして展開していく予定だ。

 TATは、これまで培ってきた素材に関する専門知識や、自動車向けの設計・エンジニアリング能力を融合することで、自動車業界が求める部品をグローバルに提供できる、世界でも稀有なリーディングカンパニーとして確固たる地位を確立していく。また、バリューチェーン全体のライフサイクルの観点から、CO2排出量削減に向けた技術開発や様々な取り組みにも注力していく。

 帝人グループは、環境配慮型の自動車の実現に向けた様々な要求に対応できる存在へと進化し、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業の売上高を20億ドル規模に拡大していく考えだ。

 

帝人 高機能繊維の複合材料集成材、ブランド展開を開始

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2021年9月22日

 帝人は21日、複合材料集成材「LIVELY WOOD」を使用した木造モバイル建築ユニットの製造を開始し、「LIVELY VILLA」ブランドとして販売展開を開始すると発表した。

高機能繊維を用いた複合材料集成材「LIVELY WOOD」
高機能繊維を用いた複合材料集成材「LIVELY WOOD」

 「LIVELY VILLA」は、高機能繊維により木材と同等の軽量性と鉄骨並みの高い剛性を併せもつ「LIVELY WOOD」を使用した、移設可能な木造モバイル建築ユニット。用途として、医療介護や福祉サービスの施設での面会・簡易診察用の施設や、ワーケーション施設、宿泊施設、グランピング施設、さらには非常時の仮設住宅などとしての活用が想定される。

 特長として、梁の一部に「LIVELY WOOD」を採用することにより、モバイル建築ユニットを吊り上げる際に生じる建物全体の変形を抑制し、容易に移設を繰り返すことができる。また、使用する木材も、設置する地域の木材を使用する地産地消がコンセプトとなっている。帝人は、協力工場に製造委託を行い、別注品(400万円~)として販売展開を行っていく考えだ。

移設可能な木造モバイル建築ユニット「LIVELY VILLA」
移設可能な木造モバイル建築ユニット「LIVELY VILLA」

 こうした中、ブランド展開の第1弾として、高齢者の福祉サービスを総合的に提供する長陽会(大分県佐伯市)の福祉施設に、3台(サイズ:長さ約6m、奥行き約2m、高さ約2.8m)が採用された。コロナ対策の一環として、家族との面会や簡易診察用の臨時施設として使用される。

 採用理由として、①壁や床に、杉や檜などの国産木材を使用し、温かみのある室内空間を実現、②室内を陰圧にすることによる室内空気の流出低減や、HEPAフィルター搭載の空気清浄装置の使用による室内空気の浄化といった感染症の二次感染リスク低減に貢献する構造、③新型コロナ感染者の利用を想定し、床や壁などをアルコール消毒することが可能、などが挙げられる。

 同社は同ブランドの普及を図ることにより、木材の地産地消の促進や、災害時に仮設住宅として役立つことを目指し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」となることと、SDGsの目標達成への貢献に向けてまい進していく。

【ポリカーボネート特集3】帝人

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2021年9月17日

新たな市場ニーズに対応、高付加価値化の推進

 帝人は1960年に日本で最初にポリカーボネート(PC)の商業生産を開始し、1999年にはシンガポール、2005年からは中国へと樹脂の生産拠点を拡大した。その後シンガポールからは撤退し、現在は日本12万t、中国16万t、計28万tで世界第5位の生産能力を保有するとされる。

 PC樹脂「パンライト」と、ABS樹脂とのポリマーアロイ「マルチロン」の2つの製品群を展開している。光学用途に特化した「パンライトSP」シリーズは高屈折率・低複屈折といった特長があり、カメラの薄型化・高画素化に貢献。スマートフォンのカメラ向けに引き合いが強いが、要求特性の多様化に合わせた新グレードの開発に取り組んでいる。

 それに対し、独自開発した「マルチロン」は、PCとABS樹脂の両方の特長を兼ね備えており、

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