《化学企業トップ年頭所感》 三菱ケミカル 和賀昌之社長

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2019年1月9日

 2019年の展望だが、米中貿易摩擦、Brexitの行方、中東や北朝鮮問題など、世界情勢は依然として先行きが不透明な状況が続いている。また、AI、IoT、ロボティクス、再生医療、遺伝子工学などの科学技術が日進月歩のスピードで進化を遂げている一方、気候変動、資源の枯渇、水・食糧の偏在や、海洋プラスチック問題等の諸課題への対応も不可欠である。

 私たちを取り巻く事業環境は絶えず変化していくが、人、社会、地球が抱える課題に正面から向き合い、社会に貢献し続けるという当社グループの信念は変わらない。いかなる変化にも、着実に対応することのできる体制を構築することが重要である。社長就任時には4つの重要事項を掲げた。

 その進捗についてだが、①安全・安定操業では、危険作業や身体的負荷の大きい作業に関して皆さんから頂いた2000件を超える提案について、一つひとつ検討し、AIなどを活用した機械化や作業負荷の低減等に取り組んでいる。皆さんは改めて「安全第一」を肝に銘じてほしい。

 ②収益力の強化では、KAITEKI健康経営、働き方改革、デジタルトランスフォーメーションといった名の下に注力する各種施策について、持続的成長のために行う一連のパッケージであると理解し、そのすべてに真摯に取り組めば、自ずと収益力の向上に結び付くと考えている。

 ③真のグローバル化では、4月から、外国人従業員を日本に招く研修プログラム「Experience Japan」を開始する。帰国した参加者や受け入れた日本人従業員を起点に情報共有することで、「双方向」のグローバル化を深めたい。欧米で先行する「One MCC」というブランディング活動も拡充しており、引き続き一体感の強化に取り組んでいく。

 ④営業改革では、最新のビジネスツールを活用して営業のやり方を見直すとともに、戦略的に重要な顧客との関係強化に向けた取り組みを開始した。今後は深化した顧客との信頼関係をもとに、新たなビジネスの更なる拡大に繋げていきたい。営業担当ではない従業員も、営業改革を働き方改革の一例として捉えていただきたい。事業所のトイレ改革を始め、働きやすい職場環境作りにも取り組んでいる。研究所についても、最先端の設備、環境を整えていく。

《化学団体年頭所感》 石油化学工業協会 森川宏平会長

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2019年1月8日

 昨年を振り返えると、いくつかの甚大な被害をもたらした自然災害の発生があった。6月の大阪北部地震、6月末から7月初めには西日本豪雨が続き、9月に入ると近畿地方に上陸した台風21号と和歌山から本州を縦断した台風24号により大きな被害を受けることとなった。さらに、9月の北海道胆振東部地震は甚大な人的被害とともに、日本最初のブラックアウトを引き起こし、北海道経済は大きな打撃を受けた。被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げるとともに1日も早い復興を願わずにはいられない。

 さて、世界経済をみると「米国第一主義」を掲げるトランプ政権と、中国や欧州など世界の主要国との政治・経済摩擦が顕著となり、さらに中東や北朝鮮情勢に起因する地政学リスクは、株式や原油価格の乱高下をもたらしている。

 また、12月に発生したフランスでの反マクロン政権に対するデモの暴徒化はポピュリズムの危うさを裏付けており、これらの混乱が世界経済の下振れを引き起こすことを危惧している。特に、米中の貿易摩擦は単に2国間だけの問題ではなく、サプライチェーンが繋がる各国に影響が出てきており、スマートフォン関連分野や自動車販売についても陰りが出始めてきている。

 一方で、国内に目を転じれば、今年10月の消費税率引き上げに伴う消費の冷え込みが懸念されるものの、消費税実施前の駆け込み需要や、来年の東京オリンピック・パラリンピックの準備も佳境に入り、これに伴う需要拡大も見込まれるところだ。

 こうした中、国内の石油化学業界の状況は、底堅い国内需要にも支えられ比較的堅調に推移している。特に、エチレン設備の稼働率は、2013年12月以降60カ月連続で90%超を維持しており、ここ3年では、ほぼ九五%を超えている状況だ(昨年十一月までの実績)。

 しかしながら、設備の高稼働が継続しているときこそ、安定供給責任を果たすため、これまで以上に保安・安全の確保が重要となってきており、また、エチレン装置の高経年化が確実に進展する中で国際競争力を維持・向上していくためには、これまで以上に様々な努力を傾注していくことが不可欠となっている。

 石油化学産業は、日本の「ものづくり」におけるサプライチェーンの出発点であるとともに、自動車・電機などの分野での先端技術開発に不可欠な機能性素材を創出している。つまり石油化学産業の強化は、日本の「ものづくり」の強化につながるため、会員各社とともにその自覚と誇りをもって事業の発展、競争力の強化に取り組んでいるところだ。

 このような状況下、当協会としては石油化学業界の持続的発展に向け、①保安・安全の確保(経営層の強い関与、安全文化の醸成、IoT・AIの活用、産業保安に関する行動計画の策定)②事業環境の基盤整備(イコールフッティング、定期修理工事の課題などに関する検討)③グローバル化対応の強化(アジア石油化学工業会議、環境問題、海外の情報収集など)といった諸課題に積極的に取り組んでいく。

 

《化学企業トップ年頭所感》 昭和電工 森川宏平社長

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2019年1月8日

 昭和電工グループの2018年の業績は、2年連続で最高益を更新する見通しだが、市況好況の恩恵を十分に享受できたのは、「しっかりとした今」を作るため、各事業が長年にわたって取り組んできた施策が実を結んだ結果だ。

 2019年の世界経済は、米中貿易摩擦や地政学リスクなどの要因から、2017年から好況が続く世界景気に陰りが見え、減速に向かう懸念が高まっている。風向きの変化に即応できるか、当社グループの真価が問われる重要な一年だ。

 「個性派企業」に向け、本年から始まる新中期経営計画「The TOP 2021」では、これまで創出してきたキャッシュを基盤に、長期的な成長へ大きく舵を切る。山頂を意味する「The TOP」には、当社が目指す山の頂上、2025年に当社事業の半数以上を個性派事業とするという思いを込めている。

 一定規模の営業利益、営業利益率10%以上、収益変動の抑制の3つを満たす個性派事業への道のりは事業ごとに異なるが、本計画で新たに定義した目指す方向性「高める」「伸ばす」「変わる」ために歩み始める。加えて、持続的な成長を実現するためには新規事業の創出が必須だ。新たな事業を「創る」、成長への強い意志をもとう。

 2019年は創立80周年の節目の年だ。これまでの先人の苦労に感謝するとともに、「期待をもてる将来」をわれわれが示すことで、すべてのステークホルダーにご満足いただく企業を目指す。当社グループが、人々の「こころ」を動かし、「社会」を動かす。そういった存在となるために、価値創造の主役である従業員一人ひとりの主体的な行動を期待している。新たな成長に向けて、力強くスタートしよう。

 

《化学企業トップ年頭所感》 東ソー  山本寿宣社長

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2019年1月8日

 2019年についてまず考えることは、引き続き業績が安定した会社にしたいということだ。ここ数年の恵まれた経済環境や、社員の皆さんの弛まぬ努力が好業績に繋がったことは喜ばしかったが、その外部環境も今年は変化が起きそうだと感じている。

 当社のさらなる成長のため、産学官での共同研究を含め研究開発の成果を実商化していく必要があり、研究部隊に大きく期待している。

 また働き方改革により、人材不足や総労働時間の規制など、企業は柔軟な対応が求められる。より円滑な事業活動が行えるよう工夫していこう。

 2019年度からスタートする次期中計における基本方針は今までと変わらない。当社はコモディティ事業とスペシャリティ事業を両軸としたハイブリッドカンパニーを標榜しているが、今後もその深化に注力する。需要の伸びに応じて、機能商品をはじめとして能力増強は継続していきたい。それぞれの商品価値や事業価値を高めることで、ひいては企業価値を高められるよう、計画を策定する予定だ。同時にステークホルダーの皆さんに信頼される会社であり続けたい。

 社会からの要請により、多くの企業がCSR活動に注力している。当社も昨年、CSR委員会を設置すると同時に企業理念に次ぐCSR基本方針(①事業を通じた社会の持続可能な発展への貢献②安全・安定操業の確保③自由闊達な企業風土の継承・発展④地球環境の保全、⑤誠実な企業活動の追求)を制定し、今後CSR活動にも収益性と同様に注力する。

 CSR活動と関連してCO2削減・有効利用推進委員会を設置した。当社は石炭やオイルコークスを自家発電の燃料として使用している。自家発電は競争力において欠かせない存在であることから、他の燃料への転換による削減だけでなく、COやCO2を原料としている当社の製品に有効利用していくことができればと考えている。当社は化学会社であればこそ、保有する技術を駆使してその有効利用の実現に向かって努力していく。もちろん一朝一夕とはいかないが、検討を進めていく。

 今年の干支は亥だ。猪突猛進も時には大事だが、変化に柔軟に対応できるようプロアクティブな対応もお願いしたい。何事も〝備えあれば憂いなし〟だ。

 

《化学企業トップ年頭所感》 旭化成 小堀秀毅社長

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2019年1月8日

 昨年は、当社グループにとっては中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」の仕上げの年だったが、計画はおおむね順調に推移し、2017年度に創業後初めて売上高2兆円を超えた。2018年度の営業利益は、昨年に続き、中計の当初目標を上回る見通しだ。事業環境に恵まれたこともあるが、社員の皆さんの日頃の努力の賜物であり、心から感謝する。

 2019年は現中計の達成に加え、次期中期経営計画のスタートとなる、極めて重要な年だ。次期中計では、2025年に当社グループが目指す姿「収益性の高い付加価値型事業の集合体」に向け、現中計で行った投資の成果の刈り取りはもちろんのこと、引き続き、新事業の創出、グローバル展開などの成長戦略を進めていく。

 新事業の創出については、今後も外部環境はめまぐるしく変化し、それによってスケールの大きなイノベーションが起こり、ビジネスチャンスが次々と生まれることが予想される。新たなマーケットの課題や要求に対して価値を提供するには、当社がもつ素材にサービスやシステムなどを組み合わせ、ソリューションという形でユーザーに提案していくことが必要だ。

 その手段として、社内のデジタルトランスフォーメーション推進、新しいテクノロジーの活用加速、オープンイノベーション、外部機関との連携や異業種との協力など、外部とのコネクトも重要となる。皆さんにはこのことを念頭に業務にあたっていただきたい。

 また、グローバル展開の加速も意識しながら、地域ごとに戦略を組み立て、高付加価値型事業を展開していくとともに、ナショナルスタッフ人財の獲得と育成にも取り組んでいく。

 当社グループが持続的に成長し続けるためには、皆さんが旭化成という大きなチームの中でそれぞれの役割やミッションを改めて認識し、主体的に行動する〝プレイヤー〟たることが重要だ。その一人ひとりの意識改革と成長が互いを刺激し、有機的にコネクトすれば、スポーツでいうところの〝連動〟すなわち相乗効果が生まれ、〝チーム旭化成〟はもっと、強くなることができると確信している。

 どのような環境下においても、当社グループの役割・使命は変わらない。「世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〟に貢献します」というグループ理念のもと、持続可能な社会の実現と当社グループの成長を図ることだ。多様な事業活動やレスポンシブル・ケア活動を通じて、環境問題や社会問題の解決に貢献し、コンプライアンス遵守の徹底と透明性の高いガバナンス体制の運用を継続することで、ESG経営を推進して、企業価値の増大をさらに図る。

 今年も皆さんにとって健康・安全で、明るい1年となるように、旭化成グループが1つのチームとして一丸となって頑張っていこう。

《化学企業トップ年頭所感》 住友化学 十倉雅和社長

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2019年1月8日

 今年4月にスタートする新中期経営計画では、経営理念にある「技術を基盤とした新しい価値創造」、すなわちイノベーションを通じて社会課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献することを基本方針とする予定である。そのために、2つの重要課題に優先的に取り組む。

 1つは「イノベーション加速システムの構築」で、次世代事業の早期創出のため、スピード感をもってイノベーションを実現するシステムを作り上げる。もう1つは「デジタル革新による生産性の飛躍的向上」で、デジタル技術を最大限に活用し、全ての業務において大幅な効率化と質の向上を図っていく。

 取り組みを推進するにあたり、社員の皆さんには次の3点をお願いしたい。1つ目は、課題を解決するために「バックキャスティング」思考を身に付けること。デジタル革新によってバリューチェーンも大きく変化する中、将来のあるべき姿を想定し、その実現のために今何をすべきかを「バックキャスティング」し、これからの技術や事業の開発に取り組んでほしい。

 2つ目は、サステナビリティ推進に向けて、課題を「総合的」に考え「統合的」に実行すること。SDGsに代表されるようにサステナビリティの流れが加速する中、サステナビリティの推進に向けて、様々な観点から課題を俯瞰し「総合的」に捉え、一体感をもって「統合的」に実行してほしい。

 3つ目は、事業運営の根幹である安全・安定操業とコンプライアンスを徹底すること。安全、品質、コンプライアンスの取り組みに「ここまでやれば満足」というゴールはない。一人ひとりの行動が当社に対する社会からの信頼に直結していることをいま一度心に刻み、一段のレベルアップに向けて取り組んでほしい。

 以上の取り組みの実践を踏まえ、世界情勢が不確実な中にあっても、われわれは継続的なイノベーション創出に挑戦し続けなければならない。これは、当社にとって存在意義そのものだ。その挑戦を推進するのは皆さん一人ひとりである。変化をチャンスと捉えて前向きにチャレンジし、自らの可能性を広げてほしい。皆さん自身の成長、当社の発展、そして持続可能な社会の実現に向けて、チャレンジ精神と使命感をもって取り組んでいこう。

 

《化学企業トップ年頭所感》 三井化学 淡輪敏社長

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2019年1月8日

 昨年6月、大阪工場の定期修理中に火災事故が発生した。お客様への影響を最小限にすべく、生産現場では事業部門と連携した懸命な復旧作業により、何とか早期の復旧に繋げることができた。年頭にあたり、当社グループが全ての活動の根幹とする「安全は全てに優先する」方針を、今一度、社員一人ひとりが心に刻み、気を引き締めてほしいと思う。

 「2025長期経営計画」を実行に移してから2年が経ったが、様々な環境変化を乗り越え、2018年度の業績は過去最高の営業利益1060億円を見込んでいる。多くの工場でフル稼働が継続しており、これは社員の皆さんが各々の仕事に真摯に取り組んだ成果の積み重ねだと考えている。

 米中関係は経済的には相互に深く依存しつつ、貿易摩擦のリスクが高まる中、新興国経済へも影響が及んでいる。英国のEU離脱は予断を許さず、北朝鮮や中東は依然として地政学リスクがある。このように世界経済はリスクと不確実性に直面し、先行きの減速感が懸念される。こうした中で特に事業面では、自然災害を含めた様々なリスクについてアンテナを高くし、怠りなく備えるよう心掛けてほしい。

 また昨年来、海洋プラ問題への関心が世界的に急速に高まってきている。この問題は個社を超えて、業界全体で対応していかなくてはならない。同問題に対しては引き続き、日化協、JaIME(海洋プラスチック問題対応協議会)会長として、政府や関連団体と連携しつつ、日本が取り組んできた実績や情報を積極的に国内外に発信していきたい。

 「いい会社」とは、どのようなものだろうか。変化が激しい世の中で、当社は2025年長期目標に向かってどのような未来を予想しながら、イノベーションを起こしてゆくことができるだろうか。

 ここ数年、「誇りを取り戻す戦い」として取り組んできた結果、数字的な目標は達成され「強い会社」になりつつある。一方、数字に表れない、公平性や透明性、ガバナンス、また社会・環境との調和・貢献などの施策も推進している。

 「いい会社」とは、このような「無形の価値」を併せてもつことだと思っている。三井化学グループが社会から存在を認められ成長するためには、この両方の要素がますます重要になってくる。社員の皆さんが心の羅針盤をもち、いい会社について共に考え、行動してゆく1年になることを願っている。

 

 

《化学企業トップ年頭所感》 三菱ケミカルホールディングス 越智仁社長

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2019年1月8日

 昨年は、米中貿易戦争が世界経済の大きなリスク要因となるなど、国際協調による自由主義経済を基調とした世界の潮流が、一つの転換期を迎えたように思う。また、欧州ではブレグジットの着地点が見えず、主要国の首脳も足元の政治基盤が脆弱になりつつある。このように政治・経済の見通しが不確実性を増す一方、当社としては大きな成長と高い収益を達成し、手ごたえを感じることができた一年だった。昨年12月、「APTSIS 20」の最終年度である2020年度のコア営業利益目標を、3800億円から4100億円に引き上げたが、グループの総力を挙げ、アクションプランを確実に実行することで必ず達成したい。

 改めて社会環境に目を向ければ、地球温暖化による自然災害の甚大化や食糧不足・フードロスの問題、水資源の偏在化など、地球を取り巻く環境の変化が著しく、一方では廃棄プラスチックの問題と循環型社会形成への動きが加速し、当社として取り組むべき課題が山積している。

 また、デジタル技術の急速な発展により、サイバーとリアルの垣根がますます曖昧になり、あらゆる物事が加速度的に変化するという、社会の大きな転換期が訪れようとしている。

 2025年度に向けた次期中期経営計画を策定するにあたり、現在、2030年、2050年における社会のニーズやリスクを評価し、2030年のターゲットと2050年のゴールをそれぞれ設定すべく検討を進めている。次期中期経営計画では、中長期視点を強く意識して基本戦略を策定し、事業の拡大と社会貢献の解決への貢献を同時に成し遂げることを目指している。

 社会課題や産業構造の変化、科学技術の進展などにより、状況が大きく変化し続ける中、当社が持続可能な発展を続けていくために、今こそしっかりとした事業基盤を築き上げることが重要である。

 今年、特に意識してほしいのは、①健康経営による人材の育成と活用②「真のダイバーシティー」の確立③ITシステムの高度化とデジタルトランスフォーメーションの推進、の3点である。

 2019年は「成長の加速と新たな社会に向けた基盤強化」の年にしたい。私たちのKAITEKI経営は、安全・安定生産、コンプライアンスの徹底、世の中のニーズに迅速に応えるソリューションの創出を通して、多様なステークホルダーの信頼を得る源泉となってきた。これからも、力強くKAITEKI経営を推進し、「真にグローバルなTHE KAITEKI COMPANY」を築き上げていきたい。

《化学企業トップ年頭所感》 信越化学工業 金川千尋会長

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2019年1月8日

 昨年10月に発表いたしました2019年3月期の中間決算は、すべてのセグメントが増収増益となり、上半期での過去最高益を達成することができました。これも社員の皆さまのひたむきなお仕事の成果であると、心より感謝しております。

 さて、長らく続いてまいりました世界的な景気拡大は、いま大きな転機を迎えています。アメリカと中国の間で激化している貿易摩擦の問題などを背景に、本年の世界経済の先行きは不透明感を増しています。また、近年は世界各地で自然災害も頻発しており、予測できないリスクへの備えも常にしておかなければなりません。

 私の尊敬する山本五十六連合艦隊司令長官が揮毫されているお言葉をご紹介します。中国の兵法書の一節で、「国大なりといえども戦いを好まば必ず亡ぶ。天下安らかなりといえども戦いを忘れなば必ず危うし」。自らの力量を過信することなく、来るべき難局に向けて平時より態勢を整えておくことを諭す、たいへん重いお言葉です。

 では、私たちはいかに備えるべきでしょうか。私の経験から申し上げると、最も大切なのは、基本に忠実に仕事に取り組むことです。すなわち、製造部門の皆さんは、安全で安定した操業を最優先とし、決して規格外の製品を出荷しない、と肝に銘じてください。研究開発部門の皆さんは、会社の将来を担うのは自分たちだ、との気概をもって取り組んでください。

 営業の皆さんは、お客様の要望をいち早くつかんで、つねにお客様とのお約束を守ることを心がけてください。このような基本の積み重ねが、厳しい環境の中でも成長の原動力となります。

 そして、日々成すべきことは先延ばしせずに、その日のうちにしっかりとやり遂げてください。皆さん一人ひとりの日々の努力は、必ず皆さんの能力向上と会社の強さとなって実を結び、当社グループのさらなる成長をもたらします。信越化学グループで働く皆様の力を結集すれば、たとえ困難に遭遇してもそれを乗り越え、より輝かしい成果を手にできるものと確信しています。