《化学企業トップ年頭所感》日本プラスチック工業連盟 岩田圭一会長

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2022年1月14日

 昨年は幾つかの国・地域でワンウェイプラスチックの使用制限や生産禁止の法制化・検討があり、プラスチックの3Rについても一定の進展があった。米国ではバイデン政権誕生後、矢継ぎ早に環境保全を重視した幾つもの大統領令を発動している。特に、地球温暖化の防止に繋がる動きは、今後世界に影響を与えると思われる。

 日本では「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が6月に制定され、年末にかけて付随する政省令の制定作業が続いた。この法律は、消費者、事業者、行政がそれぞれの立場と責任でプラスチックの3R+Renewableを進めることを促す法律で、単なる規制法ではなく皆の検討や努力を促すことに力を入れている点が特徴だ。

 当連盟が2019年に独自に策定したプラスチック資源循環戦略は、結果的にこの法律に即する形となっており、すでに4つのワーキンググループを立ち上げて様々な検討を行ってきた。着手済みの検討も含め、今年はその成果の一部を具現化していく。

 当連盟の業務の柱の1つであるプラスチックの国際標準化への対応は、昨年もコロナ禍での制約はあったが、積極的に日本からの規格開発推進に努めた。今後もリサイクルに関する規格開発を日本主導で推進していく観点から、具体的な規格の提案を予定している。また、ISOにおける対面での会議が開催できる場合は、「流体液体輸送用プラスチック管、継手およびバルブ」(TC138、開催地UAE)、「プラスチックの機械的性質、物理・化学的性質等」(TC61、同スウェーデン)の国際会議に委員を派遣し、日本企業の新規市場展開を支援すべく活動していく。

 昨年5月に新たな4カ年計画を策定し、最重点実施項目に、①プラスチック資源循環戦略の強力な遂行、社会実装化②プラスチックのイメージアップ③規格における日本からの主体的・積極的な主張発信、の3つを定めた。②については、情報不足による誤解が生まれているケースが散見され、結果的にプラスチックのイメージダウンに繋がっている。参考となる情報を一般消費者に向け積極的に提供し、当連盟のモットー「正しく理解していただき、賢く使っていただく」の理念の下、実効性のあるプラスチック資源循環戦略の推進に貢献していく。

《化学企業トップ年頭所感》ADEKA 城詰秀尊社長

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2022年1月14日

 本年は、世界各国においてカーボンニュートラルへ向けた取り組みがより一層加速するであろう。製造業である私たちADEKAグループは、「世界とともに生きる」企業として、サプライチェーン全体を俯瞰し、気候変動問題と真摯に向き合い、サステナブルな社会の実現に向けたイノベーションを創出していく。

 そのためにも、中計「ADX2023」2年目の今年は、収益構造の改革を推し進め、変革を遂げられるような土台づくりを加速する。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」。リスクに臆することなく、さらなる成長に向けて邁進していく。

 

《化学企業トップ年頭所感》コスモエネルギーホールディングス 桐山浩社長

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2022年1月14日

 昨年は、新型コロナウイルス感染症に塗りつぶされた印象だ。日常が徐々に戻り始めた矢先、オミクロン株が世界的に急速に流行し始めた。100年前のスペイン風邪が約3年で収束したように、今回の流行で収束することを願う。

 業績は引き続き好調で、今年度も最高益を予想している。原油価格上昇による在庫評価益に加え、キグナス石油への供給開始によるショートポジション戦略により高稼働率も維持できた。環境面によるところも多く、残り3カ月、グループの力を結集して結果を出したい。

 今年は東証が再編され、プライム市場ではさらに高度なガバナンスが要求される。サステナブル経営を強化し、TCFDへの賛同を表明し、2050年カーボンネットゼロ宣言もした。ESGのSの戦略も練り直し、ダイバーシティや従業員の健康などの取り組みも強化した。

 サステナビリティ戦略会議では、「コスモらしさとは」を追求する本質的な議論に深まってきた。ブランディングとサステナブル経営を一致させ、本当に「いい会社」を目指す。そして「本気のDX」の下、グループ全体のデジタルリテラシー向上とデジタル化を進め、データドリブン経営に移行する。

 従来からの業革・業務標準化・IT化・BPO化もデータドリブン経営と労働生産性向上には重要で、ダイバーシティやジョブ型人事、手当改革なども労働生産性の向上につながる。また「個の強化」も必達テーマだ。今年は第6次連結中期経営計画の最終年だ。次期中計は、長期ビジョンも踏まえた先を見据えた計画に仕上げる。

 NEWの代表「風力発電」は、陸上風力は着々と能力を積み上げつつ、競争の熾烈な洋上風力は戦略を練り直して対応していく。また、再エネ×EV×エネルギーマネジメントをワンストップで提供する「コスモ・ゼロカボソリューション」など、サステナブルな暮らしやモビリティを支える事業を進めていく。社員の皆さんには、今年も新型コロナ感染症には十分に気を付け、元気に明るくコスモらしく過ごしていただきたい。

《化学企業トップ年頭所感》塩ビ工業・環境協会 斉藤恭彦会長

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2022年1月13日

 塩ビ業界は昨年前半こそやや低調だったが、米国、インドなどの急激な需要回復に伴い後半は生産・出荷ともに順調に回復した。こうした中で当協会は昨年、広報活動では、ホームページのコンテンツ充実、各種展示会へのオンライン参加に注力した。

 国内外で地球環境や化学物質規制への関心が高まる中、自動車メーカーほか、各業界団体・企業からの要請を受けて塩ビや可塑剤をはじめとする各種添加剤に関する情報提供、意見交換を実施、塩ビに対する正しい理解を広げられたと感じている。また、「生活を豊かにするPVC製品」をテーマに、「PVC AWARD 2021」を開催し、幅広い分野から応募があった。

 建材関連では、樹脂窓の一層の普及や窓周辺での新たな塩ビ製品の開発に引き続き注力した。これまで、耐候性に優れた樹脂窓の開発をより一層促進するために新たな促進耐候性試験方法のJIS化に取り組んできたが、昨年11月に正式にJISとして制定されたことで、樹脂窓メーカーでの開発加速に大いに貢献できると期待している。

 さて、世界的にカーボンニュートラル(CN)への要求が激しさを増している。樹脂窓はその優れた断熱性能で、特に冬季の省エネ効果が期待されており、関係各所の協力を得つつその効果を検証中だ。一方で、夏季の省エネ効果を高めるにはシャッターやブラインドといった遮熱性をもつ付帯設備が効果的なことから、塩ビ樹脂製品を新たに開発する検討に取り組んでいる。さらに、住宅を含む建造物でのゼロ・エネルギー化を総合的に検討すべく検討会を設置し、ライフスタイルや健康・快適性も考慮した検討を始めた。

 他方、海洋プラごみ問題など、プラスチックに対するネガティブイメージを払拭するためにも、リサイクル活動は重要だ。昨年から北海道内で樹脂窓の回収~解体~再生をシステム化する検討を進めており、引き続き各工程が抱える課題を着実に解決していく。

 一方で、改正バーゼル法により一時的に混乱、停滞した廃棄物市場の声にも対応した。加えて塩ビ建材連絡会議を再開し、各製品群のリサイクル状況に関する現状を確認した。塩ビ樹脂製品の優れたマテリアルリサイクル(MR)性をより一層アピールするには、やや頭打ち感のあるMR率をさらに高める努力が求められる。各製品団体や協会の皆さまと共に進めていく所存だ。

《化学企業トップ年頭所感》DIC 猪野薫社長

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2022年1月13日

 昨年は、ウィズ・コロナへの移行による需要回復が顕著となった1年だった。半導体不足に伴う自動車生産数の減速懸念が下期までおよび、主要化学原料の調達難と物流停滞、原油価格高騰に伴うコスト上昇など、サプライチェーンに起因するトラブルが目白押しではあったが、総じて底堅い受注を維持した。第4四半期はさらなる原油価格の上昇に見舞われながらも、当初計画達成に向け、力戦奮闘した社員の皆様に改めて感謝する。

 昨年6月末には当社のグローバル顔料事業を盤石化するColors & Effectsの買収がクロージングし、DICグループに約2600名の新たな仲間が加わった。心より歓迎の意を表したい。すでにDICグループは世界60数カ国で事業展開しているが、グローバル運営を先駆けてきた仲間が加わることで、様々な幅広いシナジーが創出され、一層の事業拡大と繁栄をもたらすものと期待している。

 今年は新たな中長期経営計画がスタートする。昨年までの中計で掲げた事業ポートフォリオの転換は、引き続きスピード感をもって臨まなければならない。そして、①サステナビリティへの貢献:持続可能な社会に向けたサステナビリティ戦略の推進、②働き方改革の推進:社員・組織の「働き甲斐の向上」と「生産性の向上」を通じて、レジリエントな企業体質へ変革、③デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進:デジタル技術の活用による新たな付加価値の提供と企業構造の変革、を急ぎたいと考える。社員と会社がもつべき視点は、「財務的利益の極大化」だけに捉われるのではなく、より社会に目を向けた「社会的意義の最大化」だ。理性と感情に響く使命と企業理念を掲げる組織の下で、存在意義に共鳴する社員の皆様が働きがいを感じられる「エンゲージメントの高まり」を期待する。

 「DICグループで働いてよかった」と誰もが思う会社にしたいと思う。

《化学企業トップ年頭所感》デンカ 今井俊夫社長

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2022年1月13日

 注力する3つのValue‐Upの進捗を振り返ってみたい。

 「事業Value‐Up」では、4事業部門に再編し、スペシャリティー事業の成長加速と既存事業のポートフォリオ改革を推進した。環境・エネルギー、ヘルスケア関連製品の販売が伸長し、営業利益は過去最高の見込みだ。環境・エネルギー分野では半導体関連製品が好調で、機能性フィラー製品の新増設と球状アルミナの新工場、放熱シートの新規設備を導入した。

 ヘルスケア分野では新型コロナウイルス抗原迅速診断キットの展開、悪性脳腫瘍治療のウイルス製剤の発売、インフルエンザワクチンの新工場が完成した。高付加価値インフラ分野では、CO2吸収型コンクリートの普及に向け炭酸化混和材を本格展開した。基盤事業でもセメントの販売体制の見直し、ポリスチレン樹脂プラントのMS樹脂への転換を行った。

 「環境Value‐Up」では、2030年と2050年の目標達成に向け施策を進めた。新青海川発電所は送電を開始し、新姫川第六発電所の完成も間近となり、青海工場でのCO2回収・有効利用の技術開発や、東洋スチレンとのケミカルリサイクル事業の検討も大詰めだ。

 「人財Value‐Up」では「健康経営宣言」を制定し、年休、育児・介護サポートなど労働協約規定の改善を決定した。「働くことで成長を実感できる」会社を目指す。

 一方、浮かび上がった課題は3つ。まず「安全の確保」だ。昨年は青海工場の車両滑落事故で2名の尊い命が失われた。「目線を上げたリスクアセスメント」を強化している。第2は「品質保証」だ。製造プロセスのリスク評価を行い、反応プロセス、経時変化、保管・輸送条件などを科学的に解明する。第3は「自然災害への備え」だ。昨年も大雨、大雪、落雷、ハリケーンなどでネガティブロスと供給問題が発生した。供給責任を果たすために、原料や輸送方法の確保などサプライチェーン全体の強靭化を進める。

 今年は中計の最終年度に入る。3つのValue‐Upをさらに進め、営業利益目標の500億円達成に取り組む。今年もSDGsを羅針盤に、誰よりも上手にできる仕事で全ての人がより良く生きる世界をつくる、社会にとってかけがえのない企業を目指していく。

《化学企業トップ年頭所感》石油化学工業協会 和賀昌之会長

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2022年1月12日

 石油化学産業に携わる者にとって重要なテーマのひとつに地球温暖化対策がある。日本政府は2050年カーボンニュートラル(CN)実現を目標に掲げ、グリーン成長戦略の策定、経済成長に資するカーボンプライシングの検討などの政策を進めている。CNに向けた個々の対応は会員各社の取り組みによるところが大きいが、石化協としても地球温暖化問題解決に向けて積極的に貢献する基本姿勢に立ち、課題の把握、共有化あるいは他団体との連携といった必要な取り組みに努めていきたい。

 また、環境負荷低減に向けてはGHG問題以外にも、廃プラ問題も含めての客観的な判断指標LCAの普及も重要だと考える。さて、足元の世界経済を見ると、コロナ禍の収束については予断を許さない状況にあることに加え、半導体不足などの原材料の供給制約や原油価格の乱高下、米中関係の一層の緊張など国際情勢は多くの不確実要因を抱えている。我が国としては、引き続き環境変化に迅速かつ機敏に対応することが求められる年であり、コロナ禍以降も見据えて、石化業界としても正面から内外の課題に引き続き取り組んで行くことが重要と考えている。

 一方、国内の石化業界の状況を見ると、エチレン設備の実質稼働率は、2020年6月~2021年11月まで18カ月連続90%を超え高稼働を維持している。協会長として、まず何よりも工場の24時間操業、製品の安定供給に尽力し高稼働を支えた製造現場の皆様の努力に感謝を申し上げたい。コロナ禍により石化産業が人々の生活に必要不可欠な産業と認識してもらっているが、高稼働が継続しているときこそ安定供給責任を果たすため、石化業界としては、これまでにも増してさらなる保安・安全の確保に努めていく。

 当協会としては我が国の石油化学産業の持続的発展に向け、①保安・安全の確保・向上、②事業環境の基盤整備、③グローバル化対応の強化に取り組む。この他の広報活動として、毎年発行しているデータ集「石油化学工業の現状」について2022年版を作成・配布するほか、石化協ホームページ上で有益な情報の更新アップに努める。また、石化産業IT利活用の推進に努め、情報セキュリティ対策の強化を支援していく。

《化学企業トップ年頭所感》日鉄ケミカル&マテリアル 榮敏治社長

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2022年1月12日

 昨年後半から景気回復は続くが、物流の混乱やサプライチェーンの分断、半導体不足や資源価格高騰など、不安要因を抱えた1年であった。好調な需要と、拡販と価格改善、安定生産とコスト削減努力で、上期の経常利益は過去最高レベルであったが、化学品スプレッドによる底上げもあり、下期は真水の実力が試される。

 今年も堅調な需要を見込むが、米中覇権争いによるサプライチェーンの分断、資源価格の高騰、コロナ禍が懸念材料だ。中国市場の重要性は変わらないが、顧客の多様化と市場の分散も考えなければならない。足元の円安も中期的にはマイナスだ。経済動向に応じた需要見通しや設備投資計画の見極め、調達ソースの多様化や在庫量の工夫が必要だ。

 高収益を維持するために、コールケミカル事業はタール発生量減少への対応やコーカーなどの大型設備投資を進める一方、原燃料価格や輸送費高騰によるコスト転嫁が急務だ。化学品事業は、安定生産により収益レベルを堅持する。機能材料、複合材料事業は5Gや熱マネジメントなどの高需要分野で業績を伸ばし、収益の柱とする。研究開発と新技術・新商品開発に向け、研究者やマーケッターの育成に必要なアセットを投入する。

 「安全、環境、防災、品質は生産に優先する」は重要指針で、社員の安全・健康は最も大切だ。今年は災害0を目指し、安全活動を徹底し強い決意で臨んでほしい。快適な会社生活には業務効率化が必要だ。IT投資とともに、仕事のさせ方で業務効率は改善する。上司は仕事の仕方・与え方に無理・無駄・ムラがないか自問し、大胆な簡素化も考えること。今年は在宅勤務のあり方とオフィスの有効活用を検討し、利便性と意思疎通、上司・部下・同僚の人間関係のバランスを図る。現場の声を聞き、的確な指示で、職場の意思疎通は円滑になる。上司の率先垂範と風通しの良い職場作りで、強い体質の会社になる。最も大事なことは働く仲間の心と体の健康だ。

 コロナ感染予防とともに心の健康にも目を向け、仕事の仕方・させ方に注意し、職場全体で心の健康のケアに努めてください。

《化学企業トップ年頭所感》JNC 山田敬三社長

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2022年1月12日

 中期経営計画「Think & Act 2021」もあと数カ月でまとめのときを迎えるが、この3年間でJNCグループには「変わる勇気」が広がってきたのではないかと感じている。今年度の業績は、市場環境の追い風に助けられている部分はあるが、ようやく将来のありたい姿を話し合えるスタートラインに立つことができそうだ。

 4月からはこの結果の上に、ありたい未来を築き上げていく重要な1年であり、私たちの日常を取り戻す本格的挑戦が始まる年とも言える。ただし、私たちを取り巻く世界経済環境は予断を許さず、原料高や大国間の利害衝突が増幅しており、不透明感が増すばかりだ。国内では少子高齢化に起因する様々な課題が、その深刻度を強めていることも危惧される。

 しかし、そのような脅威に立ちすくむことなく、ステークホルダーの皆さんとの地道なコミュニケーションを維持し、私たちがもつ技術力にさらに磨きをかけて、これらの課題を解決し、快適で持続可能な未来社会を作るというCSR活動の王道を歩もう。そして、SDGsの達成に貢献できるよう、全員で力を合わせてJNCらしい品格のある「よろこびを化学する」活動を展開していこう。

 最後に、世界中のステークホルダーの皆さんのよろこびをJNCグループが1つでも多く創り出し、共に成長していける1年になることを期待して、年頭の挨拶とする。

《化学企業トップ年頭所感》日本触媒 五嶋祐治朗社長

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2022年1月12日

 当社グループの業績は、2019年からコロナ禍の波に大きく揺さぶられはしたものの昨年末にはようやく災禍の静まる兆しが見え、回復してきている。一方で、昨年末からの原料高や海上輸送費の高騰などの影響により、先を見通すのが難しくなっている。業績回復に気を緩めることなく、来年度に繋げられる好業績を目指していく。

 さて、4月からは3年間の中期経営計画を開始し、長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」で示す「2030年の目指す姿」と、その実現に向けた3つの変革を成し遂げるための活動を本格的に始動する。

 1つは「事業の変革」。収益を安定的に確保できる強靭な事業体質へと変革するため、市況に左右されにくいソリューションズ事業(生活消費財、自動車、建材、電池、エレクトロニクス、健康医療、化粧品分野など)の比率を高めていく。それには、マーケティング力の強化が柱となる。マテリアルズ事業(酸化エチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、高吸水性樹脂事業など)も、主力事業として稼ぐ力を継続的に強化するため、あらゆる手段を講じていく。大胆で革新的な発想と合理的で迅速な決断ができる組織への再編、制度構築を計画・実行し、大きな変革を起こしていく。

 次に「環境対応への変革」。2050年カーボンニュートラル実現という社会課題解決への貢献と同時に当社成長のため、当社グループが果たすべき役割と目標を定め、必要な変革を実行していく。当社の強みが生かせる取り組みに焦点を当て、環境貢献製品の販売拡大、主要製品原料のバイオマス化など、実現可能な戦略への大転換を図っていく。他社との協業も含め、2050年に向けた実現シナリオを策定していく。

 そして「組織の変革」。人と人とのコミュニケーションを円滑化し深化させる仕組みや環境づくり、個人と組織が成長できる仕組みづくりを早期に実現するための取り組みを進めていく。具体的には、より一層の権限移譲、人事制度・教育制度の刷新などだ。ステークホルダーから納得いただけるような公正な仕組みに仕上げていく。