住友化学、クラレ、旭化成建材の3社 日化協技術賞を受賞

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2020年5月21日

 日本化学工業協会はこのほど、優れた化学技術の開発や工業化によって化学産業ならびに経済社会の発展に寄与した事業者を表彰する「日化協技術賞」を発表。

 総合賞に住友化学の「低環境負荷・併産品フリーのクメン法プロピレンオキサイド(PO)製造プロセスの開発と工業化」、技術特別賞にクラレの「プラスチックシンチレーションファイバ(PSF)の開発と工業化」、環境技術賞に旭化成建材の「高性能発泡プラスチック断熱材「ネオマフォーム」「ネオマゼウス」の開発」を選定した。

 住友化学のPO製造技術は、クメンを循環利用し、副生物が実質的に水のみでPOだけを生産する世界で初めて工業化されたクメン法PO単産プロセス。独自開発のエポキシ化触媒と組み合わせることで、非常に高いPO収率と分離精製の省エネ化を達成し、優れた運転安定性を実現できるという特長が評価され、受賞に至った。

 クラレのPSFは、独自製法で開発したプラスチック製光ファイバー。コア(内側)は蛍光剤入りのポリスチレン樹脂、クラッド(外側)はメタクリル系樹脂の多重構造で、放射線が当たると発光する性質を持つ。高い発光量、透明性、優れた線径精度は世界中の研究者に認められ、放射線検出用素材のデファクトスタンダードとなっている。今回、PSFの技術開発と製品性能、世界的な研究機関への安定供給実績、民生用途への拡大などが評価された。

 旭化成建材の高性能発泡プラスチック断熱材は、フロン系ガス不使用や断熱性を長時間維持するといった課題を克服した製品。旭化成建材は、フェノール樹脂組成の抜本見直しを行い、フェノール樹脂発泡体の脆さ改善と強度の大幅向上を達成。さらに独自の発泡ガス組成や添加剤などの最適化により、革新的なフェノールフォーム発泡成形技術の開発に成功した。断熱材の開発が、環境負荷低減に顕著な効果を持ち、わが国の化学技術の進歩と産業の発展に大きく寄与するものとして評価された。

 

日化協 「安全表彰」「技術賞」「RC賞」の受賞者を選定

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2019年6月6日

 日本化学工業協会(日化協)はこのほど、「日化協安全表彰」「日化協技術賞」「日化協RC賞」の今年度の受賞者を選定した。

 優れた安全活動を実施し、模範となる事業所を表彰する「安全表彰」では、「安全最優秀賞」に昭和電工小山事業所、「安全優秀賞(特別:中小規模事業所)」には、旭化成メタルズ友部工場と昭和ファインセラミックス、三井化学東セロ安城工場、「安全優秀賞(特別:研究所)」には、三井化学アグロ農業化学研究所とJNC横浜研究所が選ばれた。このうち昭和電工小山事業所は、無災害記録時間900万時間、無災害年数7年2カ月を継続中である。

 社会全体の発展や環境の改善に大きく寄与した、革新的で優れた科学技術や製品の創出を表彰する「技術賞」については、カネカが「『カネエースMX』の研究開発と工業化」で「総合賞」、クレハが「高分子量ポリグリコール酸の製造技術開発と新市場開拓」で「技術特別賞」を、それぞれ受賞した。

 カネカはコアシェルゴム粒子(CSR)のエマルジョンから、粉体を経由せずに一次粒子を熱硬化性樹脂に分散させる独自プロセスを開発。この新しい分散技術を利用し、CSRの構造設計・制御技術を組み合わせることで、ブタジエン系CSRのエポキシ樹脂マスターバッチ「カネエースMX」の工業化に成功した。

 クレハは世界で初めてポリグリコール酸(PGA)の工業的な製造技術の開発に成功。最近では、その機械強度と加水分解性を生かして、シェールオイル・ガスの掘削プロセスで使用されるPGA製機器の採用が広がっている。

 レスポンシブル・ケア(RC)活動の普及や活性化に貢献した事業所や部門、グループ、個人を表彰する「RC賞」に関しては、「RC大賞」に花王SCM部門、「RC審査員特別賞」に三菱ガス化学新潟工場第一製造部第一化成課と住友化学レスポンシブルケア部(気候変動対応)、「RC優秀賞」にJSR千葉工場と徳山積水工業、三菱ケミカル茨城事業所環境安全部、「RC努力賞」に住友ベークライト静岡工場ビオトープ委員会、日産化学富山工場が選ばれている。