日本材料技研(JMTC)は16日、JSRが保有する三官能性ベンゾオキサジンおよびその硬化物に関する特許について、独占的通常実施権許諾契約を締結したと発表した。
対象となるモノマーは、JSRが開発したベンゼン環を中心にして3つのオキサジン環を持った星型構造を有するベンゾオキサジン。
ベンゾオキサジンは、加熱することによって無触媒で開環重合が進み、低硬化収縮性の熱硬化性樹脂であるポリベンゾオキサジンを得ることができる環状モノマーの総称。
ポリベンゾオキサジンは、架橋反応によってフェノール樹脂と類似のネットワーク構造を形成するため「新規フェノール樹脂」と呼ばれることもある。
ポリベンゾオキサジンは、フェノール樹脂に類似した耐熱性、難燃性、電気特性、力学特性に加え、低吸湿性、低誘電特性、低線熱膨張性など優れた特性を持つことから、航空機で用いられる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のマトリックス樹脂や、電子部品に使われる熱硬化性樹脂の改質剤などにおける実用化が進んでいる。
同モノマーは、含有する3つのオキサジン環の開環重合によって高度に架橋が進み、豊富な分子間および分子内水素結合を有するポリマーネットワークが得られるため、より高耐熱な熱硬化性樹脂を得ることが期待される。
JMTCでは、今回の契約によって取得した独占的通常実施権を活用し、主に複合材料メーカーや熱硬化性樹脂メーカーに対して同モノマーを供給することで、早期の事業化を図っていく。
JMTCは、機能材料分野に特化したファブレス型スタートアップとして、国内の企業や大学などで開発されながら事業化に至っていない新素材技術について、ライセンスアウトやカーブアウトを通じた事業化に取り組んでいる。会社設立以来これまでに、企業5社と大学2校から、有機材料・無機材料・バイオケミカルに関する技術導入を行っている。
今後も、企業が開発した未活用技術の商業化を進めることで、日本の素材産業におけるイノベーション創出に貢献していく考えだ。