三菱ケミカル 世界最大級のGaN基板設備、結晶成長を確認

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2021年11月22日

 三菱ケミカルと日本製鋼所は19日、世界最大級の窒化ガリウム(GaN)基板製造実証設備を使い、高品質なGaN基板の低コスト製造技術「SCAAT‐LP」を活用した4インチGaN基板の量産に向けた結晶成長試験を進める中、4インチGaN結晶が計画通りに結晶成長していることを確認したと発表した。

「 SCAAT -LP 」を用いて成長した GaN 結晶

 GaNは、高い耐久性をもつ超高効率デバイスの実現を可能とする素材。大幅な消費電力の削減によりCO2排出量の削減につながることから、環境負荷の低減が期待されている。このため、さらなる省エネルギーを実現する高輝度・高出力レーザや、高効率照明、新世代ディスプレイへの応用のほか、情報通信、パワー半導体など様々な分野での応用が見込まれている。

 このような背景の下、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に取り組む中で、両社は、日本製鋼所M&E室蘭製作所内(北海道室蘭市)に建設したパイロット設備において三菱ケミカル独自の液相成長技術「SCAAT」を活用した高品質、かつ高い生産性を実現するGaN基板の低コスト製造技術「SCAAT-LP」の開発に取り組み、4インチの均一な結晶成長を確認した。

GaN基盤実証 オートクレーブ大型化イメージ

 パイロット設備は低圧酸性アモノサーマル法を利用した結晶成長を実現するために、高温高圧オートクレーブ(圧力容器)を備えることが特長であり、日本製鋼所のもつ豊富な圧力容器の製造実績が生かされた。

 さらに2020年度からスタートしたNEDOの新たな助成事業で両社は、同事業で導入した大型実証設備で「SCAAT-LP」による4インチGaN基板の量産に向けた実証実験に取り組む。

 今回のオートクレーブはパイロット設備に比べ大幅なスケールアップを行ったことで、GaN基板の大量製造が可能となっており、これまで計画通りに4インチ結晶の成長を確認している。

 両社は今後、大型実証設備での結晶成長試験を継続、より高い生産性を可能とし、2022年度初頭からの市場供給を開始する予定。未来の社会を支える材料として重要な位置付けをもつ高品質なGaN基板の供給を通じ、超高効率デバイスの実現への貢献を目指していく。

日本製紙 木質バイオマス高配合の樹脂複合材料を開発

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2021年3月19日

 日本製紙はこのほど、日本製鋼所と共同で木材由来の木質バイオマスを高配合した樹脂複合材料「トレファイドバイオコンポジット」を開発した。プラスチック使用量を5割以上削減でき、温室効果ガス排出量の削減にも寄与する。

トレファイドバイオコンポジット開発品
トレファイドバイオコンポジット:開発品

 木粉やパルプなどの木質バイオマスと樹脂との複合材料には耐熱性や成形性に課題があったが、同社の新規バイオマス固形燃料のトレファクション技術で木質バイオマスに耐熱性、粉砕性、疎水性を付与することで解決した。これは樹脂の融点以上の高温(250~300℃)で木質バイオマスを低温炭化させる技術で、木質バイオマスの耐熱性が上がり、樹脂との混練・成形時に発生する熱分解ガスを抑制する。粉砕性に優れ容易に微粉化するため、複合材の流動性が高く複雑な加工が可能だ。さらに疎水性が上がるため樹脂中での分散性が向上し、複合材の強度が上がる。

 この木質バイオマス材料を、日本製鋼所製の二軸押出機「TEXシリーズ」の混練技術で樹脂に高配合し、耐熱性や成形性に優れた「トレファイドバイオコンポジット」を生み出した。今後は、建材、食品容器・器具、家電製品、園芸など、様々な分野での用途開発により、「トレファイドバイオコンポジット」の商品化を進める。