日本触媒は4日、ベルギー子会社の日本触媒ヨーロッパ(NSE)が、2日に同国アントワープ州にあるNSE敷地内で、新増設備の完工式を行ったと発表した。
式には林肇在ベルギー特命全権大使をはじめ、ベルギーのピーター・ドゥ・クレム国務長官ら、関係者約100人が出席した。
新増設された設備は高吸水性樹脂(SAP)製造設備の増設(10万t/年)と、その主原料となるアクリル酸(AA)製造設備の新設(10万t/年)で、今回の設備投資額は約3億5000万ユーロ。SAPの生産能力は既存能力6万t/年と合わせて計16万t/年となった。
完工式に列席した日本触媒の五嶋祐治朗社長は「従来NSEではSAPのみを生産していたが、今回新たにAAプラントを建設したことにより、AA・SAPの垂直統合の強みを最大限発揮できるようになった」と述べた。
同社グループのコア事業の1つであるSAPは、紙おむつの原料としてグローバルで需要が堅調に伸びており、欧州でも中欧・東欧圏を中心に堅調な伸びが見込まれている。その需要に適切に対応していくため、今回、SAP生産設備を増強することで欧州市場での供給体制を拡充した。
また、SAPの主原料AAの生産設備を新設したことで、欧州での原料からの一貫生産体制が整った。これにより、SAPのグローバルな安定供給体制をさらに強化する。
なお、今回の新増設により同社グループが保有するAAとSAPの生産能力(2018年末の見込み)は、AAが88万t/年、SAPが71万t/年となる。同社は、今後もSAPトップサプライヤーとしての地位をより強固にしていく考えだ。