昭和電工 電動車用アルミ製冷却器の生産ラインを増設

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2021年7月30日

 昭和電工は29日、電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車などの電動車に搭載されるパワーモジュール(PM)向けアルミニウム製冷却器の需要増加に対応するため、小山事業所の生産能力を倍増させることを決定し、生産ラインの増設に着手したと発表した。2022年初頭の稼働開始を目指す。

PM向けアルミニウム製冷却器
PM向けアルミニウム製冷却器

 電動車用のPMは電動車の航続距離の延長や燃費の改善など、性能向上に寄与する重要部品。PMは車内の限られたスペースに搭載しなければならないため、PM向け冷却器には、小型かつ搭載方法の自由度が高いことと同時に、高効率化・高放熱化が求められている。

 同社が生産するPM向けアルミ製冷却器は、絶縁基板に放熱用の同社製アルミフィンを真空ロウ付けで直接接合することにより、小型で冷却水用の配管の位置を柔軟に設計できる高い汎用性と、高い放熱効果を実現。同製品は2019年から生産を開始しており、国内大手PMメーカーでモジュール化され、日本国内やアジア各地の自動車メーカーに採用されている。

 今後カーボンニュートラル実現に向けたグローバル規模での取り組みの強化を背景に、自動車業界でも電動車へのシフトが加速し、一層の市場拡大が見込まれている。同社は、長年培ってきたアルミニウム合金設計技術と加工技術、パワーモジュール評価技術をもとに、より小型で高性能のPM向け冷却器の開発・生産に取り組み、顧客の課題を解決するソリューションを提供して、アルミ機能部材事業の拡大を目指していく。

 

昭和電工 合成樹脂エマルジョンと溶液系樹脂を値上げ

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2021年7月29日

 昭和電工は28日、合成樹脂エマルジョンと溶液系樹脂について、8月16日出荷分から値上げすると発表した。対象製品と改定幅は、合成樹脂エマルジョン「ポリゾール」では、エチレン-酢酸ビニル系エマルジョンが「25円/kg」、酢酸ビニル系エマルジョンが「20円/kg」、アクリル系エマルジョンが「30円/kg」、スチレン‐アクリル系エマルジョンが「21円/kg」となり、溶液系樹脂「コーガム」「ビニロール」「ポリフィックス」が「47円/kg」となっている。

 昨今、原油市況や原料需給のタイト化により、原料であるエチレンや酢酸ビニル、アクリル酸エステルやスチレンの価格が上昇しており、また包材、副資材、物流費なども値上がりしている。同社はこれまでも製造や物流の工程の合理化を進めてコストダウンに努めてきたが、原燃料コストの上昇が続き非常に厳しい状況にあることから、製品の安定供給体制を維持するために、値上げせざるを得ないと判断した。

 

昭和電工 蓄電デバイス・システム事業をSBS社に譲渡

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2021年7月9日

 昭和電工は8日、子会社である昭和電工マテリアルズ(SDMC)が手掛ける蓄電デバイス・システム事業について、アドバンテッジパートナーズのファンドを筆頭株主とするサステナブル・バッテリー・ホールディングス(SBS社)に譲渡すると発表した。新たに設立した新会社に同事業を吸収分割の方法で承継させた上で、新会社の全株式に加え、SDMCがもつ国内外の関連会社の全株式をSBS社に譲渡する。

 昭和電工グループの同事業は、1916年に新神戸電機の前身である日本蓄電池製造が蓄電池の製造・販売を開始したことに始まる。その後1972年に SDMCが新神戸電機の株式の過半数を取得したことを契機に、昭和電工グループは同事業に本格的に参入し、研究開発などを続けてきた。

 その結果、特に独自技術による性能面での優位性を誇り、技術に裏付けられた高品質のバッテリーを、国内外の大手自動車会社や大手通信事業者をはじめとした優良な取引先に対して納入してきた実績をもつ。また、近年では、タイ、台湾など海外にも事業を拡大し、グローバル体制を構築してきた。

 一方、同社グループは、昨年12月に公表した「統合新会社の長期ビジョン」(2021~2030年度)に基づき、今後の成長をけん引するエレクトロニクス、モビリティ、ライフサイエンスを中心としたコア成長事業および次世代事業に積極的に投資を行っていく方針を示している。

 持続的成長の実現に向けた最適な経営資源の配分と事業ポートフォリオマネジメントを検討する中で、蓄電デバイス・システム事業についても、あらゆる選択肢を慎重に検討した結果、同事業に関連する専門的な知見や経営資源と、これらへのアクセスをもつSBS社の下で事業拡大を図ることがステークホルダーにとって最適であると判断した。

 なお、今回の件に併せ、昭和電工は事業構造改善費用として、第2四半期連結会計期間に特別損失300億円を計上する。それに伴い通期業績予想についても、純利益を純損失140億円(前回予想比250億円減)に下方修正している。

 

 

昭和電工 人事(16日)

2021年7月2日

[昭和電工・人事](16日)▽カーボン事業部宮村亮▽横浜事業所長佐藤太郎(8月2日)▽解兼アルミ圧延品事業部、執行役員アルミ機能部材事業部、小山事業所、喜多方事業所管掌江田浩之。

昭和電工 フィルムタイプの接合技術を開発、異種材料を接合

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2021年6月29日

 昭和電工は28日、樹脂と金属など異種材料を簡便かつ強固に接合するフィルムタイプの接合技術「WelQuick」を開発したと発表した。今月からサンプル提供を開始している。

異種材料接合技術「WelQuick」
異種材料接合技術「WelQuick」

 近年、素材に対する軽量性や耐熱性、強度などのニーズは単一素材では解決できないほど高度化し、樹脂や金属などの異種材料を接合して複合化するマルチマテリアル化が進展。異種材料の接合には、液状接着剤やホットメルト接着剤による接着や、ボルトなどによる機械締結があり、接合強度とともに接着プロセスの簡便化や工程の短時間化が求められているが、その両立は困難だった。

 今回開発した接合技術は、接着成分をフィルム形状にすることで、従来の反応型接着剤の液体塗布の手間を削減し、取り扱いを簡便にした上、フィルム材料の固体と液体間の相変化を利用することで、これまで数十分必要であった接着時間を数秒にすることを可能にした。

:「WelQuick」接着例
「WelQuick」接着例

 ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロンなどの樹脂とアルミニウム、鉄、銅といった金属との接着に対応し、40通り以上の基材の組み合せで10MPa以上の高いせん断接着力を確認。また、接合スピードに優れた超音波溶着、金属に適用可能な高周波溶着、汎用性が高い加熱溶着など、顧客のニーズに合わせた溶着方法が利用できる。さらに、フィルム状態で常温での長期保管が可能なことに加え、溶着時にVOC(揮発性有機化合物)が発生せず環境への負荷を抑えられる。こうした特長から「WelQuick」は、顧客のコスト低減や製造プロセスの効率化によるCO2の排出量削減に貢献する。

 同社グループは、無機・有機・アルミニウムに関する幅広い技術・素材をもち、それらを融合することで、マルチマテリアル化が進む様々な事業分野に新たなソリューションを提供し、カスタマーエクスペリエンスの最大化を目指していく。

昭和電工 酢酸と酢酸ビニルを7月1日から値上げ

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2021年6月25日

 昭和電工は24日、酢酸および酢酸ビニルについて、国内価格を7月1日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は両製品とも「30円/kg」。

 昨今、酢酸市況や国産ナフサ価格などの上昇から、酢酸と酢酸ビニルの事業は厳しい状況が続いている。同社は、これまでも製造・物流の合理化を積み重ね、コストダウンによる採算の改善に努めてきたが、原燃料コストの上昇が続き自助努力での対応は困難な状況にある。製品の安定供給体制を維持するためには、値上げせざるを得ないと判断した。なお同社は今年に入り、2月と4月に同製品の値上げを実施している。

 

昭和電工 人事(7月1日)

2021年6月18日

[昭和電工・人事](7月1日)▽セラミックス事業部営業部長高橋直也▽同事業部同部安藤大助▽融合製品開発研究所兼パワーモジュールインテグレーションセンター長、同研究所久幸晃二。

昭和電工 組織改正(7月1日)

2021年6月18日

[昭和電工/組織改正](7月1日)▽セラミックス事業部第一営業部と第二営業部を統合し、「営業部」とする▽融合製品開発研究所の配下に、「パワーモジュールインテグレーションセンター」を新設する。

昭和電工 塩素化ポリエチレンを値上げ、採算是正を図る

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2021年6月14日

 昭和電工は11日、塩素化ポリエチレン「エラスレン」について、国内販売価格を7月1日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は、粉末が「25円/kg以上」、シートが「35円/kg以上」。

 昨今の原燃料高を背景とした主原料、各種ユーティリティの高騰、安定生産のための設備維持や環境対応の投資、物流費などの諸経費が上昇している。同社はこれまで物流や生産の合理化などによるコストダウンに努めてきたが、自助努力の限界を超える状況にあることから、今後も両製品の安定供給を維持するためには、値上げせざるを得ないと判断した。

 「エラスレン」は、ポリエチレン(PE)の分子構造に含まれる水素の一部が塩素に置き換わることでPEの結晶性が崩れ、柔軟な特性をもつポリマー。難燃・耐油・耐候性があり、自動車用ホース・電線被覆材の原料や、樹脂の改質材(難燃性、耐衝撃性付与)として利用されている。

昭和電工 次世代記録技術対応HD、共同開発契約を締結

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2021年6月11日

 昭和電工は10日、シーゲイト社とハードディスクドライブ(HDD)の次世代記録技術である熱アシスト磁気記録(HAMR)に対応した次世代ハードディスク(HD)メディアを共同開発する契約を締結したと発表した。

 昭和電工は、HAMRに対応した技術として従来のHDメディアでは実現困難とみられていたFePt合金の超高温規則化温度を実現しつつ量産を可能とするメディア製造技術にめどをつけ、FePt新磁性体を開発。シーゲイト社は、HDD業界でHAMR対応HDDの技術開発を長年リードしてきている。今回の共同開発契約に基づき、FePt新磁性体および両社が将来共同で開発する同磁性体を評価する。この協業により、両社のHAMR対応HDD関連技術の開発スピードを一層加速する考えだ。

 5Gのサービス開始、IoTの普及やテレワークの浸透、DXの進展・拡大などにより、新たに生成されるデータ量は今後とも飛躍的に増大することが見込まれる。それに伴いそれらのデータを保管するデータセンター向けHDDは1台当たりの記憶容量の増大がこれまで以上に重要な課題となっている。

 昭和電工グループは、個性派企業(収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体)の実現をVision(目指す姿)としており、HD事業を個性派事業のコアの1つと位置づけている。今後も〝ベスト・イン・クラス〟をモットーに、世界最大のHDメディア専業メーカーとして、HAMR、MAMR(マイクロ波アシスト記録方式)などの次世代記録技術に対応した業界最高クラスの製品をいち早く市場に投入し、HDDの高容量化に貢献していく。