東洋紡 アルミニウム系触媒を使用した包装用PETフィルムを開発

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2019年1月23日

 東洋紡は22日、環境負荷に配慮した包装用PETフィルム「東洋紡エステルGS」を開発し、製品化すると発表した。重金属フリーで環境にやさしいアルミニウム系触媒を使い、製造したPET樹脂を主原料にする。ラインアップは12μmと16μmの 2種類。主な用途は食品をはじめ、薬剤、サニタリー、産業資材といった非食品の包装材を想定。今月中旬からサンプル出荷を始め、今秋から本格的に量産を開始する。

東洋紡エステルGS
東洋紡エステルGS

 東洋紡エステルGSの主原料となるPET樹脂の製造には、同社が2002年に独自開発したアルミニウム系触媒「TOYOBO GS Catalyst」を使用している。同触媒は、一般的なPET樹脂の重合反応に用いられるアンチモンなどの重金属を含んでいないため、製造したPET樹脂は、廃棄の際などの環境への負荷低減につながる。

 また、優れた熱安定性により、樹脂を溶融した際の物性劣化が起こりにくく、リサイクル・再利用に適するという特長を持つ。

 同触媒を使用して製造したPET樹脂は、これまでにも飲料用ペットボトルや太陽電池用バックシートフィルム「シャインビーム」などに使用されているが、包装用PETフィルム製品として使用されるのは業界初となる。

TOYOBO GS Catalyst®」を使用して
「TOYOBO GS Catalyst」で
製造したPET樹脂(左前)

 環境意識がますます高まる中、同社は今後も、同触媒を使用したフィルム製品の販売比率を上げ、PETフィルム製品の環境への負荷低減やリサイクルの促進に貢献していく。

 なお、同アルミニウム系触媒は、同社がデュポン社から製造受託している生分解性樹脂「APEXA」の製造にも使用されている。また2017年には、PET樹脂製造最大手のインドラマベンチャーズと、同触媒を使用した重合技術や特許に関するライセンス契約を締結している。

東洋紡 ウェアラブルEXPOにフィルム状導電素材wo出展

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2019年1月16日

 東洋紡は今月16~18日に東京ビッグサイトで開催される「第5回ウェアラブルEXPO」に出展(ブース番号:W16‐16)し、ウェアラブルデバイス用のフィルム状導電素材「COCOMI(ココミ)」をさまざまな活用例とともに紹介する。同展示会は、ウェアラブル端末の活用と技術の総合展。5回目となる今回は、初出展の70社を含む計170社が出展する。

「COCOMI」を使用した電極、配線パターンのサンプル
「COCOMI」を使用した電極、配線パターンのサンプル

 同社が出展する「COCOMI」は、ウェアラブルデバイス用の電極・配線材向けのフィルム状導電素材。薄く、伸縮性に優れるため、体の動きに追随できるほか、電極と配線が継ぎ目なく一体化しており、自然な着心地のウェアラブルデバイスを実現する。また、同素材を使用した配線は電気抵抗値が低くいため精度の高い生体情報の収集が可能だ。

 主な展示内容は、①「COCOMI」を使用した電極・配線パターンのサンプル②ワーキングやホームテキスタイル、カジュアル、スポーツなど、さまざまなシーンに対応するスマートテキスタイル製品③「COCOMI」を使用した「スマートセンシングウェア」ができるまでの工程や中間材料など。ウェアを着用した説明員が、生体情報をリアルタイムで計測できる様子などを実演する。

 なお、同社は文部科学省の「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)拠点」事業の「運動の生活カルチャー化により活力ある未来をつくるアクティブ・フォー・オール拠点」(中核拠点:立命館大学)に参画。スマートウェア技術などを活用して、健康寿命を延ばす取り組みを行っている。「COCOMI」の技術の一部を提供するとともに、得られた知見の一部を同技術開発にフィードバックしている。

 

東洋紡 犬山工場でOPPフィルムの生産設備を新設

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2018年12月27日

 東洋紡はこのほど、犬山工場に年産2万t規模の二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム生産設備を新設すると発表した。2022年春頃の稼働を予定しており、稼働開始後は既存の生産設備を休止する。投資額は約70億円。

犬山工場に新設するOPP生産設備(イメージ)
犬山工場に新設するOPP生産設備のイメージ

 食品包装用フィルムの国内市場が、共働きや単身世帯の増加にともなう個食化・個包装化を背景に堅調に推移する中、「食の安全」意識の高まりを受け、OPPフィルムに求められる性能・品質要求はますます強くなっている。

 こうした要求に応えるとともに、環境負荷の軽減に貢献する高性能なフィルム製品などを開発・生産していく考え。

 同社は、1960年代にOPPフィルムの生産を開始。以来、透明性や防湿性、耐寒性などに優れた、さまざまなフィルム製品を提供してきた。今回、犬山工場の生産設備を刷新することで、生産効率の向上と、より付加価値の高い製品の生産体制を強化する。

 

東洋紡 高耐熱性ポリイミドフィルムの子会社工場が完成

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2018年12月19日

 東洋紡はこのほど、子会社ゼノマックスジャパンの本社工場(福井県敦賀市)が10月に完成、操業を開始し、今月17日に竣工式を開催したと発表した。

ゼノマックスジャパンの本社工場
ゼノマックスジャパンの本社工場

 同日は、福井県の西川一誠知事、敦賀市の渕上隆信市長をはじめ、ゼノマックスジャパンの中村英弘社長、長瀬産業の朝倉研二社長、東洋紡の楢原誠慈社長ほか、多数の関係者が出席した。

竣工式の模様
竣工式の模様

 ゼノマックスジャパンは、今年4月に長瀬産業との合弁により東洋紡の敦賀事業所内に設立。出資比率は、東洋紡が66.6%、長瀬産業が33.4%。高耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス」を生産・販売する。本社工場の延べ床面積は、約4300平方メートル、鉄骨2階建て(1部5階建て)。投資額は約30億円となっている。

 同製品はこれまで、東洋紡のコーポレート研究所(滋賀県大津市)内の設備で少量生産を行ってきたが、ゼノマックスジャパン本社工場の完成に伴い、今年10月から同工場に生産拠点を移した。売上目標は、2020年度に100億円を目指す。

 「ゼノマックス」は、室温から500℃まで熱膨張係数が約3ppm/℃と一定で、ポリマーフィルムとしては世界最高レベルの寸法安定性をもつ高耐熱性ポリイミドフィルム。同社がもつ高耐熱ポリマーの合成技術やフィルム製膜技術などを駆使し、従来のポリイミドフィルムでは不可能だった、ガラス基板と同等の高い寸法安定性を実現した。

高耐熱性ポリイミドフィルム 「ゼノマックス」(左)
高耐熱性ポリイミドフィルム 「ゼノマックス」(左)

 電子ペーパーディスプレー向けTFT基板材の需要増に対応するとともに、「薄い」「軽い」「割れない」「曲がる」というフィルムの特性を生かし、フレキシブルな有機ELディスプレーや各種センサー、マイクロLEDといった次世代ディスプレー用途での展開を図る。

東洋紡 中空糸型FO膜がデンマークの発電プラントに採用

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2018年12月18日

 東洋紡は17日、中空糸型の正浸透膜(FO膜)が、デンマークの浸透圧発電パイロットプラントに採用されたと発表した。今年9月から実証実験を開始しており、早期の実用化を目指している。

中空糸型正浸透膜
中空糸型正浸透膜

 この事業は同社がデンマークにある浸透圧発電のベンチャー企業ソルトパワー社、産業機械メーカーのダンフォス社、エンジニアリング会社セムコ・マーチン社と4社共同で運営するもの。

 今回採用されたのは、中空糸を円筒形の圧力容器に高密度に充填したFO膜で、水分子を通し一定の大きさ以上の分子やイオンを通さない半透膜の一種である。

 東洋紡は1970年代に、繊維事業で培った紡糸技術を応用し、中空糸型半透膜を開発した。海水を淡水に変える逆浸透膜(RO膜)として、性能や耐久性などが高く評価され、1980年代初めから主に中東湾岸地域の海水淡水化施設で採用実績を重ねてきた。

 デンマークで運転を開始した浸透圧発電プラントは、地下から汲み上げた地熱水と呼ばれる塩水と、淡水の塩分濃度の差を利用して発電するシステム。塩分を通さずに水を通す性質をもつFO膜を隔てて塩水と淡水を接触させると、浸透圧差により塩水側に水流が発生。この水流を利用してタービンを回すことで発電する。

 地熱水を活用した浸透圧発電は、太陽光や風力に比べ、天候や昼夜に左右されない新しい再生可能エネルギーとして注目を集めている。

正浸透膜が採用された浸透圧発電プラント 2
正浸透膜が採用された浸透圧発電プラント

 同社のFO膜は、高密度に充填された中空糸によって水が効率的に流れる内部構造を持ち、発電用タービンを回すための水流を安定かつ低ロスで発生させる。また、効率的な浸透圧発電に必要な高い水圧に対して、RO膜用途で実証してきた優れた耐圧性能を備えていることなどが高く評価され、今回の採用となった。

 同プラントは、同型の浸透圧発電方式としては業界最大で、一般的な家庭約50世帯分の電力に相当する20kWを発電。これまで実験的な浸透圧発電設備はあったが、実用規模の浸透圧発電プラントが運転を開始するのは世界で初めて。

 来年9月ごろまで実証実験を行い、2021年までに東洋紡製の浸透膜を採用した、1㎿規模の浸透圧発電プラントをデンマーク国内で建設するとともに、他の欧州地域にも同規模のプラントを導入していく予定だ。

東洋紡グループ 独エアバッグ基布会社を買収し生産供給を強化

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2018年12月14日

 東洋紡は13日、グループ会社のPHP Fibers社がドイツの大手グローバル基布メーカー、UTT Technische Textilien社を買収することで合意したと発表した。UTT社は、ドイツとメキシコに工場を持ち、エアバッグ用基布、自動車内装、パラシュートなどに用いる繊維の製造・販売を行っている。

 東洋紡は2014年に、タイのPET世界最大手のインドラマ・ベンチャーズ社(本社:バンコク)と共同で、エアバッグ用原糸メーカーとして世界第2位(当時)のシェアを誇るPHP社を買収した。PHP社は来年に、東洋紡の基布製造技術を導入した基布工場をドイツに建設する予定。これにより、東洋紡グループは、日本・タイ・中国・米国・欧州の世界五拠点で、原糸から基布まで一貫して供給できる唯一のメーカーとなる。

 今回、エアジェット織機などの高い基布製造技術をもつUTT社を、PHP社傘下に収めることで、同社グループは、顧客の様々なニーズに応えられる原糸・基布メーカーとして、グローバルな生産・供給体制を拡充していく考えだ。

東洋紡の4-9月期 上期は増収も火災事故要因で純利益は大幅減

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2018年11月12日

 東洋紡は8日に都内で会見を開き、2019年3月期第2四半期の連結業績を発表した。決算説明に先立ち、9月6日に敦賀事業所で発生した火災事故に触れ、斧泰三経理部長は火災のお詫びとともに業績への影響を説明した。

 同火災ではエアバッグ用原糸、クッション材「ブレスエアー」、衣料用ナイロンなどの製造設備が被災。「固定資産と棚卸資産が使用できるかどうかの精査を行っているが、現時点での損害額は未確定だ。また、

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東洋紡 ポリエステル長繊維不織布・原綿を値上げ

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2018年10月16日

 東洋紡は15日、産業用や衛生材料用などに販売している東洋紡、ポリエステル長繊維不織布・原綿を値上げとポリエステル原綿(短繊維) を、11月1日納入分からいずれも30円/kg値上げすると発表した。

 最近の原油・ナフサ価格の上昇や為替の円安進行により、ポリエステルの原料価格が上昇している。これに加えて、製造過程での各種燃料費や電力費のほか、物流費も高止まりしている状況にある。

 同社では、徹底したコストダウンに最大限取り組んでいるが、現在の原燃料価格などの高騰は、自助努力のみで吸収できる範囲を超えている。こうした中、同社は今回、製品の安定供給を果たすため、価格改定を要請せざるを得ないと判断した。

東洋紡 遺伝子解析装置用試薬を極東製薬と提携し拡販へ

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2018年10月15日

 東洋紡はこのほど、極東製薬工業(東京都中央区)と全自動遺伝子解析装置「GENECUBE(ジーンキューブ)」専用試薬の販売について、業務提携することで合意したと発表した。極東製薬がもつ販売網を新たに活用し、来年1月から専用試薬の拡販を進めていく。

 ジーンキューブは、遺伝子の抽出から増幅、検出までの操作を全自動で行える遺伝子解析装置。検査対象となる血液・組織などの生体試料と、専用試薬などを装置の指示に従ってセットするだけで、自動的に遺伝子検査を行い、最短30分で感染症などの病原因子を特定できる。

 東洋紡は現在、結核・マイコプラズマ肺炎・性感染症などが検査可能な15種類の専用試薬を提供している。一方、極東製薬には、感染症診断向けに微生物検査を行う全国の医療機関に対して広範なネットワークがある。

 今回の業務提携により、東洋紡は迅速な感染症診断に貢献するジーンキューブ専用試薬を幅広く供給することが可能になる。今後は、医療現場のニーズに応じて、感染症診断向けに新たな試薬もラインアップしながら、2022年度中に売上高8億円を目指す考えだ。

東洋紡 敦賀事業所の火災が鎮火

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2018年9月11日

 東洋紡は10日、敦賀事業所第二で今月6日に発生した火災について、7日に公設消防から鎮火宣言が出されたと発表した。

 現時点での物的被害では、エアバッグ用原糸や「ブレスエアー」、衣料用ナイロンなどを製造する設備が被災し、約2万6000㎡が焼失した模様。

 事業所外への影響については調査中だが、福井県のモニタリングによれば、工場の敷地境界では、大気汚染に係る物質は環境基準以下となっている。また、火災事故の原因や製品出荷への影響についても調査中としている。