東レは1日、欧州での樹脂製品のマーケティングおよび販売会社である東レ・レジンズ・ヨーロッパ(TREU)の技術開発拠点として、欧州自動車開発拠点であるドイツのオートモーティブセンター欧州(AMCEU)敷地内に樹脂テクニカルセンターを開設したと発表した。
同センターでは、欧州域内での迅速な技術データ提供やCAE解析を通じた設計支援、イノベーティブな材料開発、分析・評価機能を充実し、顧客の製品開発を支援する。
具体的には、樹脂製品のデジタル設計に対応するため、長期耐久データや高精度な機械物性データを拡充し、樹脂特有の異方性を考慮した解析などの高度なCAE解析の支援を強化する。また、自動車の電動化に伴い増加している金属をインサートした高電圧部品絶縁用樹脂成形品の冷熱時のヒートサイクルによる割れなどの課題に対応するため、高いトラッキング性や耐ヒートサイクル性をもつ材料提案や割れ防止の解析支援などに取り組む。
自動車分野では、東レ先端材料の特性を最大限に引き出す成型加工・解析・評価機能をもつAMCEUと連携することで、東レの材料に合わせた工法・構造設計機能の提案や欧州自動車メーカー、部品メーカーとの共同開発など、欧州のニーズを捉えたテクニカルソリューション提供を一層強化していく。
欧州自動車産業は、CO2排出量削減などの環境規制強化に伴い、開発リソースを電動化と自動運転技術にシフトする動きが加速し、電子制御・通信関連部品市場拡大による高機能樹脂の継続的な需要の伸びが見込まれている。また、電気・電子機器、住宅関連部品などの産業用途についても、耐熱性・耐薬品性の要求を満たす高機能樹脂の引き合いが強い。
東レは同センター開設により、現地ニーズを迅速に把握し、ソリューション提案を推進することで、顧客の満足度向上と自動車用途を中心とした樹脂事業のグローバルな拡大を加速する。