日本触媒 抗ウイルス効果の化粧品素材、コロナ不活化を確認

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2021年4月26日

 日本触媒は23日、化粧品素材として開発した機能性ポリマーに新型コロナウイルスの不活化効果があることを確認したと発表した。この機能性ポリマーを配合した化粧品は、肌や毛髪を潤すとともに、菌やウイルスによるダメージから守ることが期待される。

 同社が開発した機能性ポリマーは親水性モノマーと疎水性モノマーで構成され、水分保持機能と被膜形成機能を両立した新しいポリマー。これまでに細菌への抗菌作用やエンベロープ(膜状の構造)ウイルス類であるインフルエンザウイルスに対する不活化効果を示すことを確認していた。

 同社では、抗菌・抗ウイルス機能をさらに検証するため、新型コロナ感染症を引き起こすSARSコロナウイルス2に対する効能評価を実施。今回の評価では、ポリマー濃度0.1%の試験条件下で、ウイルスの不活化効果は処理時間60分で約99%、120分で約99.9%であることが判明。ポリマー濃度0.1%、60分以上の接触により十分な効果が発揮される。

 同社は、今後も詳細データの取得を行い、SARSコロナウイルス2に対するポリマー濃度の影響なども明らかにしていく。なお、今回の成果の一部は「CITE JAPAN 2021」(第10回化粧品産業技術展)で発表される予定。

産総研と理研 バイオマスベースの機能性ポリマーを開発

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2020年10月27日

 産業技術総合研究所(産総研)と理化学研究所(理研)はこのほど、共同でバイオマスを原料とする新たな機能性ポリマーを開発した。

 性質の異なる2つのバイオマスベース原料の縮合体をモノマーとして重縮合させた、ヒドロキシ桂皮酸骨格とリシノール酸骨格が規則的に交互配列したコポリマーだ。ヒドロキシ桂皮酸骨格中のメトキシ基数で機械物性や熱物性が変化。ゴムやフィルムなどの透明材料としての応用が期待される。

 2030年の世界のバイオ市場は約200兆円と予測され、欧州は既存石油由来製品の3割をバイオ由来製品で代替する目標を掲げるが、実用化には強度面が課題だ。産総研がバイオマス由来の機能性モノマーの分子配列制御で高物性ポリマーを目指す中、共同事業「理研‐産総研チャレンジ研究」の「新・バイオマスニッポン総合戦略」の支援で実施。米ぬかやリグニンに含まれるヒドロキシ桂皮酸類(クマル酸、フェルラ酸、シナピン酸)とひまし油由来のリシノール酸という性質の異なる2分子の縮合体を重縮合し、2種の機能性分子が規則的に交互配列した純粋な共重合体(コポリマー)を合成した。

 リシノール酸だけの重合体(PRA)は室温で液状だがコポリマーは固体で、加熱プレスで圧縮成形加工したフィルムはいずれも無色透明で繰り返し屈曲が可能だ。クマル酸は引張応力が弱く引きちぎれ、フェルラ酸は応力は最小だが切れずによく伸び(800%以上)、シナピン酸は応力が最大で強靭(15.4M㎩、585%)、破断後にゆっくりと元に戻る形状記憶性を示した。

 ガラス転移温度はポリマー骨格中のメトキシ基数に関係し、0個のPRAがマイナス73℃、1個のクマル酸がマイナス15℃、2個のファルラ酸が4℃、3個のシナピン酸が24℃と分子設計上の重要な指針となる。加熱するといずれも350℃付近で約50%が分解したが、PRAがその後も急速に分解が進んだのに対し、コポリマーはその後の分解は緩やかで完全分解は500℃付近だった。安価で豊富な非可食性バイオマスを原料とする「100%バイオマスベースのポリエステル」として、ゴム材料や包装材料など様々な分野への応用が期待できる。

 今後は生分解性評価などを進める一方、試料提供などで連携を進め、実用化に向けて物性を向上させていく考えだ。