NEDO 電動商用車の運行データ受入、DXで全体最適

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2023年9月13日

 NEDOはこのほど、産総研が、バス・タクシー・トラックの運輸事業者から、DXの構築に必要な電動商用車の運行情報・電池などの車両データや充電・水素充填利用情報などのデータの受け入れを開始したと発表した。

 これは、GI基金事業「スマートモビリティ社会の構築」プロジェクトの一環。産総研は今後、

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NEDO 自動生成データでAIの画像認識モデルを構築

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2022年6月16日

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)はこのほど、産業技術総合研究所(産総研)が、数式から自動生成した大規模画像データセットを用いてAIの画像認識モデル(学習済みモデル)を構築する手法を世界で初めて開発したと発表した。

 同手法は、

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NEDO レーザー技術を連携、プラットフォーム構築

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2021年3月10日

 NEDOはこのほど、事業成果を集約し、各装置がもつ加工品質の計測・評価技術やデータベースといった共通基盤技術を組み合わせることで、レーザー加工の課題解決に寄与する「柏Ⅱプラットフォーム」を構築した。

 NEDOが実施中のプログラム「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」(2016~2020年度)では、東京大学、産総研、三菱電機、スペクトロニクス、大阪大学、浜松ホトニクス、パナソニック、パナソニック スマートファクトリーソリューションズ、金門光波、千葉工業大学、レーザー技術総合研究所、ギガフォトン、島津製作所などが参画し、様々な特徴をもつ、最先端のレーザー光源・加工機を開発してきた。

 特に、難加工材の高品位加工を目指した今までにない短波長の高輝度レーザー加工機や、広範囲の焼き入れ加工などを可能とする高出力半導体レーザー、銅のマイクロ溶接などで期待される高出力高輝度青色半導体レーザー、加工や計測用途に期待される短波長ファイバーレーザーは、同プロジェクトで新たに開発した技術として早期実用化を進めるとともに、今回構築した加工プラットフォームで幅広くユーザーを掘り起こしていく。

 NEDOと13法人は今後、レーザー加工に関する産学官協創のために東京大学が設立した「TACMIコンソーシアム」と連携し、様々な材質、用途での加工事例を蓄積していくことで、同プラットフォームの機能向上に取り組む。これにより各種装置の特性とユーザーニーズの効率的なマッチングや装置横断的な加工データ取得を実現し、効率的かつ迅速な最適加工条件の探索が可能なものづくりの実現を目指すとともに、日本の競争力強化に貢献していく。

旭化成など スマートセルで原料酵素の生産性向上を実現

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2021年3月1日

 旭化成ファーマ、NEDO、産総研は25日、植物や微生物の細胞を用いて高機能品を生産するスマートセル技術を活用し、体外診断用医薬品の原料となる酵素「コレステロールエステラーゼ」の 生産効率向上に成功したと発表した。

 今回構築したスマートセル は、従来の微生物(野生株)と比べ30倍以上の生産能力を持つ。これにより、生産工程における電力消費量も低減できるため、CO2排出量を年間約23t削減(従来比約9.6%削減)する効果も期待できる。

 病院での診察や健康診断では、多くの体外診断用医薬品が使用されている。その1つである生化学検査試薬は大半が 酵素を主な原料としており、酵素の働きを用いて体内の物質の濃度を測定する。

 血中コレステロールを測定するコレステロールエステラーゼは、微生物のバークホルデリア・スタビリスなどから菌体外に分泌・生産されることが知られている。ただ、この野生株における分泌は複雑に制御されていることから、従来法に基づいた大腸菌を宿主とした遺伝子組換え技術による高生産化は困難。

 野生株を育種する古典的な方法での高生産化が試みられてきたが、生産量は野生株の約2.8倍までしか上昇させることができず、国際競争力があり低コストで高い生産効率が見込まれる新たな技術の開発が求められていた。

 こうした中、3者は2016年度から、生物細胞が持つ物質生産能力を人工的に最大限まで引き出し、最適化した細胞(スマートセル)を使って省エネルギー・低コストで高機能品を生産するスマートセルプロジェクトに取り組んできた。

 そして今回、新規構成型プロモーターと宿主バークホルデリア・スタビリスの機能改変を組み合わせることで、コレステロールエステラーゼの生産能力を野生株の30倍以上に引き上げたバークホルデリア・スタビリススマートセルを構築することに成功。これにより年間に使用する培養量と製造回数を削減しても従来と同量のコレステロールエステラーゼ生産が可能となった。

 旭化成ファーマは今後、このスマートセルで生産したコレステロールエステラーゼを早期に事業化し、高機能な化学品や医薬品原料などを生産する「スマートセルインダストリー」の実現を目指す。

スマートセル技術でコレステロールエステラーゼ の生産効率を向上
スマートセル技術でコレステロールエステラーゼ の生産効率を向上

 

産総研 CO2からメタノールの低温合成触媒を開発

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2021年1月29日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、ゼロエミッション国際共同研究センターが低温低圧条件でCO2の水素化により高選択でメタノールを合成できる新規の複核錯体触媒を開発したと発表した。イリジウム2個を含むイリジウム触媒は30℃/0.5M㎩の低温低圧でもCO2の水素化反応が進み、選択的にメタノールを合成できた。

 温室効果ガス排出実質ゼロの目標に向け、CO2を有用化学品へ変換するカーボンリサイクル技術の開発が喫緊の課題だ。メタノールは世界で年間約1億t生産される化成品原料・代替燃料で、CO2から変換できる基幹物質でもある。従来の銅系固体触媒が通常必要とする200℃以上の高温状態ではメタノールへの平衡転化率が低く、COやメタンも副生するため、反応の低温化が技術課題であった。

 産総研は低温反応用のイリジウム錯体触媒の開発に取り組み、活性点構造や反応機構の解明を進めてきた。1つのCO2分子に3つの水素分子が段階的に反応し、メタノールと水になる。1つ目の水素が反応してギ酸は生成するが、その後の水素反応が起こらずメタノールは生成しなかった。

 今回連続的な水素化を図り、活性点のイリジウムを2個もつ複核イリジウム触媒を開発した。従来の水相での均一触媒反応では水との競争反応のためメタノール生成はわずかだったが、固体状触媒による気相反応ではメタノール生成量は30倍増加し、メタノールの回収も容易であった。反応時間とともにメタノール生成量は直線的に増加し、メタンやCOは検出されなかった。5回の再利用試験でも触媒の劣化はなく、合計の触媒回数は100回を超えた。2個のイリジウム金属を分子内に適切に配置することが重要で、イリジウム同士が近すぎても遠すぎても触媒活性は低下したことから、複数の活性点による連続的な水素化が示唆された。

 今後は、触媒のさらなる高性能化と低コスト化を目指す。また、メタノールの生産性をより向上させるため、フロープロセスを開発し実用性の高い触媒プロセスの開発を進めていく。

 

NEDO 室温付近で高性能を示す熱電変換材料を開発

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2020年6月16日

 NEDOはこのほど、産総研、未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(TherMAT)と共同で、セレン化銀(Ag2Se)を使用した、室温で高い性能を示す熱電変換材料を開発した。

 熱と電気を相互変換できる熱電変換技術は、熱エネルギーを電気に変換する熱電発電デバイスと電気で冷却する熱電冷却デバイスに応用できる。熱電発電は、自動車や工場から排出される高温(400℃以上)の未利用熱を対象に研究開発が進められてきたが、産業分野では低温(200℃未満)の未利用熱量が総未利用熱量の76%を占めていることから、低温の未利用熱の利用が求められている。またスマート技術の発展で、電子機器用の自立電源や熱制御が課題となり、室温・高効率の熱電発電、熱電冷却デバイスへの期待が高い。

 室温付近(100℃以下)で使用できる唯一の実用熱電変換材料としてテルル化ビスマス(Bi2Te3)があるが、熱電変換技術の普及には変換効率の向上が不可欠。熱電性能指数ZTは、熱電出力因子が高く熱伝導率が低いほど高くなる。Ag2Seは熱伝導率が低いことからn型熱電変換材料として近年注目されているが、熱電出力因子が低いためZTは低い。

 今回、Ag2Seの走査型透過電子顕微鏡を用いた観察により、直方晶系構造中にある微量の単斜晶系構造が電荷キャリアの移動を妨げていることと、キャリア濃度が熱電変換材料としては高すぎることが分かった。単斜晶系構造の抑制を熱力学的に検討した結果、Seをわずかに過剰にし、硫黄(S)をわずかに添加することで、結晶構造を直方晶系に安定化させることができた。

 これによりキャリア移動度が増加するとともにキャリア濃度も減少。熱電出力因子は改善し、Bi2Te3と同等レベルのTZを達成した。ナノスケールでの結晶構造制御で、電荷移送キャリアの移動度の向上とキャリア濃度を最適化し、高い性能を実現。材料設計指針として、ナノメートル領域での構造制御が有用であることを実証した。

 今後、IoT用電子機器などの自立電源や電気機器の局所冷却などへの利用が期待される。

東北大学 積層ナノ磁性体の磁気振動、AI技術に新視点

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2020年4月21日

 東北大学はこのほど、産総研と共同で「ブランコの数理(係数励振)」に基づく積層ナノ磁性体の磁気振動の増幅効果を、独自の光計測技術で発見したと発表した。今回の発見は、AIハードウエアの要素となる磁気素子の開発に、新しい視点を与える成果である。

 社会を取り巻く情報量は爆発的に増大しており、これを効率よく利用するための量子計算技術やAI技術などの研究が各国で進んでいる。その1つにナノスケール磁石の発する磁気の振動や波動を情報の担体とし、それらの重ね合わせを演算に用いる波動計算やリザーバー計算がある。これまで通電により動作するナノ磁気発振器や増幅器を用いる研究が進められてきたが、エネルギー効率が課題の1つであった。

 今回発見した積層ナノ磁性体は、新しい動作原理によるもので、通電不要の磁気振動や波動のナノ増幅器、あるいはナノ発振器の可能性を開くもの。同研究の積層ナノ磁性体は、厚み1㎚以下の非磁性金属(ルテニウム金属)を、厚み3㎚の磁性体(ホウ化コバルト鉄)で挟んだ。この2層の磁性体はバネのような力で結びついており、この力のため、2つの層の磁気が、同じあるいは逆のタイミングで振動することが分かっている。

 この2つの磁気の合成振動の運動を、独自のパルス光を用いて、数ピコ秒の時間分解能で観察。強い励起パルス光を照射すると2つの磁気振動が発生し、遅れて照射する弱いパルス光の反射の仕方から、磁気の振動を検出する。磁気の振動は摩擦力が働くため、時間とともに減衰するが、ある条件を満たした場合には、磁気の振動が時間とともに増幅することを発見した。

 2つの磁気の振動の仕方には、ブランコを漕ぐときのように最初は揺れが小さくても、次第に揺れが大きくなる(増幅する)、係数励振と呼ばれる数理が内在していることが分かった。2つの合成された磁気振動のうち、一方がもう一方を漕ぐことで、振動を増幅できるとしている。今回明らかとなった磁気振動の数理は、この積層ナノ磁性体が通電不要のナノ磁性素子となり得ることを示している。

 今後は、素子として用いる際の基本的な特性と材料、集積化した際の性質など、AIハードウエアへの応用を目指した研究を進める方針だ。

NEDO 小型軽量な自然冷却型有機熱電モジュール開発

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2020年2月4日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、有機熱電材料で作るモジュールの熱と電気の抵抗を最適化し、自然冷却が可能な有機熱電モジュールを世界で初めて開発した。

 100~120℃の低温熱源に設置するだけで、測定データなどを無線通信するための十分な電力が得られることを実証した。さまざまな場所の未利用の低温熱源から電力を得ることで、IoT社会に欠かせない無線センサーネットワーク機器への実装が期待される。

 さまざまな情報をリアルタイムで相互通信するIoTは加速的に実用化が進むと期待されており、その市場規模は今年8兆円を超えると予測されている。IoTには、無線通信技術が必須だが、電源が有線であっては意味がないため自立型電源の開発も必要となる。

 有機熱電材料は、非常にフレキシブルな熱電材料で、加えて安価な原料と簡易なプロセスで素子が作製できるため、製造コストの低さと製造時の省エネルギー効果からも有望な材料。NEDOは有機熱電変換材料の開発とモジュール化の技術開発事業に注力しており、今回、産総研は電気抵抗と熱抵抗を最適化した構造の有機熱電モジュールを製作した。

 導電性高分子として知られる「PEDOT/PSS」を基本材料にしたモジュールの導電部材(金属)の熱伝導が大きいことがモジュール全体の特性を制限していることに着目。導電部材の電気抵抗と部材間の接触電気抵抗をできるだけ増やさずに熱抵抗を可能な限り高める新たな設計を行った結果、この有機熱電モジュールを100~120℃の低温熱源に設置するだけで、測定データなどの無線通信に十分な電力が得られることをスマートフォン用無線温度・湿度センサーを用いて実証した。自然冷却で無線通信用電源として動作できる有機熱電モジュールは世界初となる。

 今回開発した有機熱電モジュールは、放熱フィンなどを使わない自然冷却でも無線センサー用電源として利用できるため、小型・軽量で製造コストが低い上に、冷却のためのコストとエネルギーが不要。熱さえあればすぐに使えるため実用範囲が大きく広がり、様々な場所の未利用の低温熱源から電力を得られるので、無線センサーネットワーク機器などの電源として搭載することで、IoT機器の実用化が加速的に進むことが期待される。

 今後、NEDOと産総研は、有機熱電材料のさらなる特性向上とモジュール構造の改良を行い、より低温の熱源で使用できる有機熱電モジュールの設計開発を進めていく。

産総研 熱や衝撃に強いPEEK/CNT複合材料を開発

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2020年2月3日

 産業技術総合研究所(産総研)はサンアローと共同で、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)に多層カーボンナノチューブ(CNT)を効果的に分散・複合化する技術を開発した。これにより、衝撃に強いPEEK/CNT複合材料の作製が可能になった。

 PEEKは溶融成形できる熱可塑性スーパーエンジニアリングプラスチックとして、最高クラスの耐熱性を持ち、耐疲労性・耐環境性・耐薬品性・難燃性にも優れている。金属に比べて軽量なので、電気・電子部品分野、自動車分野、航空宇宙分野などで広く使われている。

 最近はさらに静電気対策としての導電性や強度、熱伝導性などを付与するため、炭素繊維(CF)をフィラーとした複合化などがなされているが、一般的にフィラーを添加すると、衝撃で割れやすくなるという問題がある。

 産総研はPEEKにCNTを添加して、耐熱性と機械強度を改善する研究開発に取り組んできた。これらの特性で世界最高水準を達成したが、実用的な製品へと展開させるには、CNTを添加すると衝撃強度が母材より低下するという課題を解決する必要があった。

 一方、サンアローはゴム・樹脂製品加工メーカーで、CNT複合材料研究拠点の参画企業として、樹脂成形のノウハウを生かして産総研と共同開発を進めてきた。

 今回開発した技術は、複合化の際の混練成形手法を改良したもので、樹脂母材と同等の衝撃強度(靭性)を維持したまま、高温でのより優れた機械的強度や高い形状保持性、均一な導電性を付与することが可能になった。

 導電性が同程度であるPEEK/CF(炭素繊維)複合材料に比べ大幅に靭性が向上し、導電性と靭性を両立する実用的なPEEK複合材料を作製することができる。

 同材料で自動車・航空機などの金属部材を代替することにより、軽量化による省エネへの貢献が期待される。

NEDO 熱電発電試験用の標準参照モジュールを開発

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2020年1月21日

 NEDOはこのほど、産業技術総合研究所(産総研)、未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(TherMAT)と共同で、熱電発電モジュールの発電性能評価を行うための試験装置用標準器(標準参照モジュール)を開発したと発表した。

 1次エネルギーの多くは効率的に利用されておらず、未利用熱エネルギーとして廃棄されている。そのため、未利用熱エネルギーの有効活用は、省エネルギーとCO2排出削減の重要な柱。特に、未利用熱エネルギーの電力回収(排熱発電)には高いニーズがあり、熱エネルギーを電力に直接変換できる熱電変換技術には大きな期待が寄せられている。

 しかしながら、熱電発電システムの基本構成部品である熱電発電モジュールの発電性能や耐久性を正確に評価する技術は標準化されておらず、その性能を保証する技術の確立が課題だった。

 今回、こうした課題を解決するため、NEDOは産総研とTherMATとともに、熱電発電モジュールの正確で迅速な発電性能評価を行うための試験装置用標準器(標準参照モジュール)を開発。熱電変換材料としてニッケル合金を使用することで、この標準参照モジュールに高い耐久性と信頼性を持たせた。これにより、熱電発電性能の試験法を標準化する上で大きな貢献が期待される。

 今後、3者は国内外の研究機関と連携し、同モジュールの普及を進めることで、熱電発電モジュールに関する信頼性の高い性能計測技術の確立を目指す。また3者は、この熱電発電試験用標準参照モジュールを、現在、国際電気標準会議(IEC‐TC47/WG7)で進めている熱電発電モジュールの発電性能試験法に関する国際標準化活動にも活用する。