デンカは10日、米国環境保護庁(EPA)の同社の米国子会社のデンカ・パフォーマンス・エラストマー(DPE)を含むクロロプレンゴム(CR)製造施設に対する新たな化学物質の大気排出規制における執行猶予期間に対するDC連邦控訴裁判所への差止め提起は却下されたと発表した。
新規制は、
2024年7月11日
2024年4月23日
2023年4月25日
2022年5月17日
2021年7月21日
デンカは20日、米国子会社のデンカ・パフォーマンス・エラストマー社(DPE)が、今月15日に米国環境保護庁(EPA)に対し、クロロプレンモノマーへの暴露による発がんリスクの見直しを可能にする新たな毒性評価モデルを含む、クロロプレンモノマーの毒性評価に関する正式な「見直し要請(RfC)」を提出したと発表した。RfCはEPAが最善の科学に基づいて判断を下すことを目的に策定した科学的な検証プロセス。
この新しいモデルは、生理学的薬物動態(PBPK)モデルと呼ばれ、人体への健康リスク評価に関するEPAと米国科学アカデミーの推奨事項に則っている。EPAはクロロプレンモノマーによる発がんリスクの評価を2010年に実施。EPAの統合リスク情報システム(IRIS)に登録されているこの評価は、一系統の雌のマウスに対する影響にのみ基づいている。
それに対し、新モデルの結果は、ピッツバーグ大学の研究者らが最近更新したクロロプレン製造工場の勤務者に関する数十年にわたる研究や、ルイジアナ州の発がん率についてまとめたルイジアナ州腫瘍統計局の統計データなどの、クロロプレンモノマーに関する既存の疫学的研究と一致。そしていずれも、セント・ジョン・ザ・バプティスト郡にあるDPEの製造工場から排出されるクロロプレンモノマーによって、同工場の勤務者や近隣住民の発がんリスクが高まってはいないことを示唆している。
2021年3月8日
デンカはこのほど、子会社である米国DPE社が2019年に米国環境保護庁(EPA)に提出した、クロロプレンモノマーの健康への影響を研究する最先端の生理学的薬物動態(PBPK)モデルに基づく評価手法に関し、EPAでの査読プロセスが終了したと発表した。
DPE社はEPAの提案を踏まえ、2018年に提出した毒性評価の「再考要請(RfR)」を取り下げるとともに、今後数カ月内にPBPKモデルを考慮に入れた正式な「見直し要請(RfC)」をEPAに提出する予定。PBPKモデルの試算では、EPAの2010年の統合リスク情報システム(IRIS)で策定されたクロロプレンモノマー毒性評価は本来より約130倍過剰に評価したことを示している。
EPAへ新たに提出するRfCは、EPAによる毒性評価見直しの通常プロセスの一環としてDPE社が取り下げたRfRに置き換わるもの。EPAはこれを、PBPKモデルを毒性評価に組み込むためのより適切なプロセスであるという見解を示しており、DPE社はEPAと引き続き連携して取り組んでいく。
ピッツバーグ大学の研究者らが更新した主要な疫学的研究では、クロロプレンモノマーを取り扱う米国施設で従事した作業員約7000人を70年近くにわたり追跡調査した結果、肺がんおよび肝臓がんによる死亡率は、クロロプレンモノマーへの曝露と関連がないと結論づけられた。また、ルイジアナ州腫瘍統計局による調査では、工場のある地域の発がん率は、同州全体の発がん率に比べ大きな差異は見られなかったと公表。PBPKモデルによる試算結果はこれらの報告とも整合している。
科学に基づいた取り組みに加えて、DPE社は3500万ドル(約40億円)以上を投資しクロロプレンモノマーの排出量を85%削減した。引き続き、DPE社は州および連邦規制当局と協力して、化学物質に関する最善の科学を追究するとともに、さらなる環境負荷低減に努めていく。