東レはこのほど、世界的な第三者安全科学機関である米国UL(アンダーライターズ・ラボラトリーズ)の難燃性規格「UL94」について、販売している樹脂製品の一部で認証登録に関する不適切な対応を行った品種を販売していたことが判明したと発表した。
ULが抜き打ちで実施する認証試験の際に、指定されたグレードと異なる試験用のサンプルを作成し提出していたことが明らかになった。また認証登録された品種の一部で、登録時の組成と異なるものを製造・販売していた。
千葉工場(千葉県市原市)のABS樹脂および名古屋事業場(愛知県名古屋市港区)のエンジニアリングプラスチック5製品(ナイロン樹脂、PBT樹脂、PPS樹脂、LCP樹脂、PLA樹脂)の一部の品種で不適切行為が確認されており、少なくとも10年以上、継続して行われていたと見られる。
同件は昨年11月に行った社内アンケートの結果を受けて12月下旬に発覚した。東レは、1月31日に、弁護士3人からなる有識者調査委員会の設置を決定、さらなる徹底的な調査と原因究明を行う。また、改めてグループ全体にわたるUL認証に関する調査を行い、同様の案件の有無についても確認する。
顧客に対しては、先月から事情を説明し協議を開始。これまで当該製品が使用された最終製品に関しては、事故の報告は受けていないものの、安全性や商品の性能については、顧客の協力を得て調査・確認を続けていく。なお米国UL社にも報告しており、今後の対応を相談している。