新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、羽田空港地域で、自動運転技術を活用した次世代公共交通システムの実現に向けた実証実験などを開始した。
NEDOが管理法人を務める戦略的イノベーション創造プログラム第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」では、交通事故の低減や交通渋滞の削減などの社会的課題の解決を目指して、自動運転実用化に向けて産学官共同で取り組むべき共通課題(協調領域)の研究開発を進めており、同実証実験はその一環。昨年10月から、臨海副都心地域の公道で実験用車載器を搭載した自動運転車を走行させ、信号灯火色などの交通インフラが提供する情報の有効性検証などを行っている。
今年3月からは羽田空港と臨海副都心を結ぶ首都高速道路で、合流支援情報などを活用したインフラ協調型システムの実証実験を開始した。6月からは、羽田空港第3ターミナルと羽田空港跡地第1ゾーンを結ぶ公道で、磁気マーカー、高度道路交通システム(ITS)無線路側機を活用した公共車両優先システム(PTPS)、信号情報提供、高精度3次元地図などを利用した実証実験をスタート。バスの定時性の向上、磁気マーカーを活用した自動運転の実現、緩やかな加減速やバス停への正着制御などによる安全で快適な走行など、運転自動化「レベル4」相当の次世代型公共交通システムの実現を目指す。
今後、東京臨海部での実験走行のデータを分析し、技術、精度、社会的受容性に関する課題解決への取り組みを促進し、実用化と普及の加速を図る。羽田空港地域での実証実験の成果を基に、次世代型公共交通システムを展開して、高齢者や交通制約者などの移動の確保やドライバー不足の改善・コスト低減などの社会的課題の解決に貢献していく考えだ。