東レなど4者は7日、甲府市米倉山(こめくらやま)の電力貯蔵技術研究サイトで共同技術開発を進めてきた、再生可能エネルギーの電力でグリーン水素を製造し、化石燃料の利用を低減させることを目的としたプロジェクト「H2-YES」(エイチ・ツー・イエス)について、P2G(パワー・ツー・ガス)システムの試運転を開始したと発表した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業である同プロジェクトには、東レのほか、山梨県、東京電力ホールディングス、東光高岳が参画している。P2Gシステムは、水の電気分解から水素を製造する技術。
カーボンニュートラル(CN)社会の実現に向け、再エネの導入拡大とGHG(温室効果ガス)削減による貢献が世界的に期待されている。特に「H2-YES」では、メガソーラーの変動する電力と、大型の固体高分子型水電解装置により水道水から水素を作り出し、水素吸蔵合金システムに水素を貯蔵するなど、安全・安心にグリーン水素を利用できるシステムを構築。将来の再エネの大量導入に併せ、様々な地域や場所への同システムの展開を目指していく。
今回の試運転は今年秋頃までを予定しており、水素の製造や貯蔵などに係る試験調整を行いつつ、山梨県内の工場やスーパーマーケットへ輸送し利用する一貫したシステムにより、社会実証試験を全国に先駆けて開始する。
今後は、段階的に水素の製造量を増加させ、年内をめどに、当初目標である「1時間あたり300N㎥、年間45万N㎥」の水素による本格的な実証試験へと移行する計画。4者は、2050年までにGHG排出を実質ゼロにするCN社会の実現に向け、「P2G」システムのさらなる高効率化・大容量化と、国内外への普及を図るとともに、エネルギー需要家の化石燃料の利用をグリーン水素に大きく転換させるため引き続き協力して取り組んでいく。