出光興産など バイオマス発電用植物栽培、豪州で共同研究

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2021年12月2日

 出光興産、東京大学大学院農学生命科学研究科、日本郵船の3者はこのほど、出光興産の保有する豪州クイーンズランド州エンシャム石炭鉱山の遊休地を活用して、石炭と混焼可能なバイオマス発電燃料用植物ソルガムの栽培試験に関する共同研究を実施することで合意したと発表した。期間は今年12月~2023年10月を予定している。

豪州で共同研究を行う「ソルガム」

 温室効果ガス(GHG)削減の観点から、石炭火力発電所では石炭とバイオマス燃料の混焼需要が高まることが予想されている。3者はバイオマス燃料の原料としてイネ科の1年草植物であるソルガムに着目。植生地の特性に合った最適品種の選定と栽培方法の確立に関する共同研究を実施する。

 品種の選定と栽培方法の確立には東京大学大学院農学生命科学研究科のもつゲノム育種技術・遺伝子解析・栽培技術知見などを活用する。

 ソルガムは種蒔きから約3ヵ月で収穫できるため年間複数回の収穫が可能。また、干ばつに強く高い環境適応能力をもつことから、厳しい耕作環境下でも生育が見込める。食料用途との競合も発生せず、バイオマス発電燃料の安定供給に寄与する有力な原料のひとつとして期待されている。

 出光興産が昨年実施した同地域でのソルガム栽培と燃料化に関する試験では、ソルガムの順調な生育および燃料化が可能なことを確認した。今回の共同研究では、前回の試験をさらに発展させ、事前に選定したソルガム17品種の栽培試験を実施し、従来に比べ高収量・高発熱量となる発電燃料に適した品種の選抜を行い、同地における効果的な栽培方法の確立を目指す。

 将来的には共同研究の成果を活用し、石炭火力混焼用のバイオマス燃料の製造・輸送・販売といったサプライチェーンの構築を目指し、石炭火力発電からのGHG排出削減へ貢献していく。