ダイセル 酢酸セルロースと石灰石の新素材を共同開発

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2020年3月3日

 ダイセルは2日、TBMと、酢酸セルロースと石灰石を組み合わせた新素材「海洋生分解性 LIMEX(ライメックス:仮称)」の共同開発を開始したと発表した。

 新素材は、生分解性のある酢酸セルロースと、世界中に豊富に存在する石灰石を使用した革新的な材料として、将来的にはプラスチックや紙の代わりとして生活のあらゆるところで活躍することを目指す。

 ダイセルがトップメーカーである「酢酸セルロース」は、植物由来のセルロースと、天然に広く存在する酢酸を原料として製造されるプラ材料。生分解性を持ち、最終的に水と二酸化炭素に生分解されるため、環境に負荷を与えない。たい肥や土壌に加え、海洋中でも分解されることが確認されており、海洋プラごみ問題の解決策となる可能性を秘めている。

 一方、TBMは無機フィラー分散系の複合材料「LIMEX」を開発・製造・販売するベンチャー企業。「LIMEX」は石灰石を主原料とし、プラや紙の代替素材として、買い物袋やホテルアメニティ、飲食店のメニュー表などに採用されている。

 石灰石は世界各地で埋蔵量が豊富で、日本でも100%自給自足が可能で、価格安定性に優れた材料。「LIMEX」を利用することで、原料に水や木材パルプを使用せず紙の代替製品(LIMEXシート)や、石油由来原料の使用量を抑えてプラスチック代替製品(LIMEXペレット)を製造できる。

 両社は酢酸セルロースの「生分解性」と、石灰石の「サステナビリティ」を融合させる共同開発を開始し、今年度中に新素材「海洋生分解性 LIMEX」の採用を目指す。

 将来的には紙やプラの代わりとして、海洋プラごみ問題の原因となっている飲食品容器や農漁業用品のほか、身の周りにある文房具やおもちゃなど、幅広い用途への展開を図る。さらに、未知なる可能性を求めて、他素材でも共同研究を行う。

 ダイセルが持つさまざまな素材とTBMの「LIMEX」と石灰石を組み合わせ、画期的な素材の開発に取り組んでいく考えだ。

ダイセル 海洋での生分解性向上の酢酸セルロースを開発

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2020年1月28日

 ダイセルは27日、天然由来のプラスチック「酢酸セルロース」の海洋での生分解性を従来の2倍に向上させ、環境により配慮した新製品を開発したと発表した。海洋プラスチックごみ問題に対する有効な解決策として、今後広く提案していく。

 酢酸セルロースは植物由来の「セルロース」と、自然界に存在する「酢酸」を原料として製造される生分解性を持った環境にやさしい素材。使用後の酢酸セルロースは、最終的に水とCO2に生分解される。土壌や廃棄物中だけでなく、海洋中でも分解。

 一般的なプラスチックは、分解に数十年から数百年を要するとされるのに対し、分解速度は環境によるものの、酢酸セルロースは数カ月から数年で分解する。しかも、同社の技術は分解速度を調整することができる。

 酢酸セルロースはプラスチック材料として、さまざまな方法で加工することができる。包装容器や繊維、液晶保護用などのフィルム、化粧品などの原料として、すでに広く利用されている。

 同社は近年の環境配慮型製品への需要の高まりを受け、酢酸セルロースの強みをさらに生かした製品の開発を進めてきた。その結果、より生分解しやすい分子構造を見出だし、従来製品の品質を保ったまま、特に海洋での生分解速度をさらに高めた新製品を開発した。これまでの研究では、この新製品は従来品の2倍近い速度で分解されるというデータが得られている。

 同社は酢酸セルロースを製造しているが、生分解性をさらに高めた新製品の販売にも着手した。将来的には年間数千トン以上の生産を目指す。

 酢酸セルロースを従来のプラスチックの代替として使うことで、海洋プラスチックごみ問題に対する解決策となり得ることから、同社は新製品の用途開拓を進めていく。