米国の第三者安全科学機関ULの日本法人であるULジャパン(三重県伊勢市)はこのほど、愛知県みよし市の自動車業界向け試験所「オートモーティブ テクノロジー センター」(ATC)内に、国内初となる電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)部品向け固定型ダイナモメーター搭載電波暗室「EHV Chamber」 を開設した。
既存の高電圧対応電気試験に加え、EV/HV向け最新試験のワンストップ・サービスを提供する国内唯一の試験所となった。今月3日から正式にEMC(電磁環境両立性)試験サービスを開始している。
同社はEV/HV市場拡大に備える国内車両メーカーや部品メーカーの試験期間の短縮を実現し、開発体制のサポートをさらに強化していく考えだ。2016年10月に発行された国際規格「CISPR 25:2016 Edition4」では、Annex ⅠにEV/HVに搭載される高電圧電源製品の評価方法が新たに追加された。これにより、EV/HV用車載部品の製品化段階で、走行中を模した実負荷試験が要求されるようになった。
EHV Chamberは、最高トルク125Nm、最高回転数1万2000rpm、動力吸収容量一七〇kWまでの実負荷の再現が可能。さらに、ATCでは欧州メーカーが電気自動車に要求する電気試験(LV123、LV124、LV148)も提供しており、近年増加傾向にある車載向け高電圧製品にも対応する。
米国・欧州が排ガス規制や燃費規制を開始するなど、現在各国の次世代自動車普及へ向けての対策が急速に進む中、国内各車両メーカーや部品メーカーも、EV/HVに付随する試験要求に対応するために、迅速に体制づくりを推進している。
ULは最先端試験設備であるEHV Chamberの導入を通じて、EV/HV市場拡大に備えるメーカー各社の試験・開発体制構築をサポートするとともに、次世代自動車の普及と、自動運転技術の実現に貢献し、未来のクルマに対するトータルソリューションを提供していく方針だ。