ランクセスの1-9月期 値上げなどが貢献し増収増益

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2018年11月21日

 ドイツの特殊化学品メーカーであるランクセスの2018年12月期第3四半期の連結決算は、増収増益となった。

 売上高は前年同期比4%増の17億9000万ユーロ、特別項目を除いたEBITDAは、同2%増の2億7700万ユーロ。製品価格の値上げ、ケムチュラ社買収によるシナジー効果、今春、ソルベイ社から買収した米国に生産拠点をもつリン添加剤事業が好業績に貢献した。

 アドバンスト中間体部門の売上高は、同11%増の5億3400万ユーロ。特別項目を除いたEBITDAは、同横バイの8700万ユーロ。特に、アドバンスト工業化学品ビジネスユニットの中間体事業が好調だった。

 スペシャリティアディティブス部門の売上高は、同5%増の5億200万ユーロ。特別項目を除いたEBITDAは、同21%増の9300万ユーロ。好業績の主な要因として、ケムチュラ社買収のシナジー効果とソルベイ社から買収したリン添加剤事業が挙げられる。

 パフォーマンスケミカルズ部門の売上高は、同9%減の3億3400万ユーロ。特別項目を除いたEBITDAは、同19%減の5300万ユーロ。ストライキなどによるクロム鉱石事業の低迷、物質保護剤ビジネスユニットの二酸化塩素消毒ソリューション事業の売却、建設産業向けの顔料の販売量減が響いた。

 エンジニアリングマテリアルズ部門の売上高は、同13%増の3億9400万ユーロ。特別項目を除いたEBITDAは、同9%増の7000万ユーロ。ハイパフォーマンスマテリアルズビジネスユニットの販売増と、製品価格の値上げが大きかった。

 堅調な第3四半期を受け、通期の業績予測は、前回発表同様、予測範囲 (前年比5~10%増)の上限に近い値を達成するとの見通しとなっている。

ソンウォンの1-9月期 純利益が9%増、為替も有利に

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2018年11月20日

 韓国のポリマー添加剤大手ソンウォングループの2018年12月期第3四半期の総売上は前年同期比9%増の5927億ウォン、売上総利益は同1%減の1191億ウォン、純利益は同9%増の328億ウォンとなった。

 ポリマー安定剤(PS)の第3四半期の売上は、第1・第2四半期で達成した水準を上回った。第3四半期を通して為替が有利に働いたことに加え、製品ポートフォリオ全体を対象に、世界規模で値上げを実施した結果、主要原料の価格高騰を効果的に相殺することができた。

 一方、例年の夏季の低迷、顧客が実施する在庫調整、北米の大口顧客の工場定期修理実施の影響を受け、一部の製品の需要がわずかに落ち込んだ。製造設備の稼働率は高めで推移し、中国山東省にある平度工場で長期にわたって実施されていた監査と調査が終了。政府から製造再開許可が下り、ワンパックシステム(OPS)の製造量を通常の水準に戻すこともできた。

 今後は、PSと潤滑油酸化防止剤(Lube AO)事業、アジア地域で市場成長が堅調に推移する見込みだ。

 ただ、第4四半期の前半には、例年通り顧客による年末の在庫調整が実施され、根強い需要があるものの、一時的に緩やかな需要低迷につながるとの懸念がある。

 また、需要の落ち込みを防ぐため大幅な値動きが増えることも見込まれるが、そうした価格の動きは一時的なものにすぎないと、同社では考えている。

 

DICの1-9月期 出荷堅調で増収も利益は2桁減

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2018年11月15日

 DICは14日、2018年12月期第3四半期の連結業績を発表した。売上高は前年同期比3%増の6700億円、営業利益10%減の364億円、経常利益10%減の364億円、純利益36%減の224億円となった。

 売上高は、製品価格の改定や堅調な出荷などにより増収となったが、利益項目は原料価格上昇や物流コスト増の影響などを受け減益となった。また、中国の環境規制や日米で発生した自然災害などの影響があったほか、欧州新興国の通貨安による換算目減りも利益を大きく圧迫した。

 セグメント別で見ると、プリンティングインキ部門では、日本の売上高は4%減の548億円、営業利益61%減の11億円。出版用インキの需要減少などで減収。営業利益は、原料価格や物流コストの上昇を受け大幅な減益となった。

 同部門での米州・欧州の売上高は4%増(現地通貨ベース:6%増)の1千856億円、営業利益11%増(同22%増)の70億円。北米では、パッケージ用インキは伸長したが、出版用・新聞用インキの需要減少などで前年同期並みとなった。

 一方、欧州では、パッケージ用インキの出荷が好調で増収。中南米では、パッケージ用・新聞用インキの出荷が好調に推移し増収となった。セキュリティ印刷用インキの売上増が増益に寄与した。

 同部門でのアジア・オセアニアの売上高は5%増(同6%増)の500億円、営業利益22%減(同21%減)の23億円。中国と南アジアでは、パッケージ用・出版用インキの出荷が伸長し増収。

 オセアニアでは、出版用・新聞用インキの需要減少などで減収。インドでは全品目で増収となった。営業利益は、原料価格上昇を受け、大幅な減益となった。

 ファインケミカル部門は、売上高3%減の992億円、営業利益5%減の125億円。顔料は、カラーフィルタ用や光輝材などの出荷は伸長したが、化粧品用の一時的な出荷低調などにより減収。TFT液晶は出荷が拡大したが、製品価格の低下により減収となった。

 ポリマ部門は、売上高5%増の1千521億円、営業利益11%減の123億円。国内外でエポキシ樹脂などが電気・電子向けに伸長したことで全般的に増収。コンパウンド部門は、売上高1%増の485億円、営業利益25%減の26億円。PPSコンパウンドとジェットインキの出荷は順調に拡大したが、原料価格の上昇で大幅な減益。

 アプリケーションマテリアルズ部門は、売上高5%増の428億円、営業利益39%増の25億円。工業用粘着テープや中空糸膜モジュールの出荷が伸長し増収となり、利益も大幅に拡大した。なお、通期の業績予想については、8月9日発表の数値を全項目で下方修正した。

東海カーボンの1-9月期 黒鉛電極が伸長し大幅な増収増益

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2018年11月15日

 東海カーボンは14日、2018年12月期第3四半期の連結業績を発表した。売上高は前年同期比107%増の1554億円、営業利益587%増の520億円、経常利益500%増の528億円、純利益599%増の594億円となった。

 売上高は、新規獲得した黒鉛電極の北米拠点が昨年11月より貢献し、6月からはファインカーボンの韓国拠点、9月からはカーボンブラックの北米拠点が連結対象となり数量増に寄与した。営業利益は、3事業での新拠点獲得に加え、黒鉛電極などのマージン改善により前年同期を大幅に上回った。

 セグメント別で見ると、黒鉛電極事業部門は、売上高365%増の692億円、営業利益は大幅増の381億円(前年同期比374億円増)。世界的な電炉鋼生産の回復や中国の電炉鋼シフト、主要原材料のひっ迫があり、黒鉛電極の需給タイト感が継続し、大幅な増収増益となった。

 カーボンブラック事業部門は売上高39%増の490億円、営業利益47%増の78億円。カーボンブラックの世界需給の引き締まりや、中国の環境規制強化による中国メーカーの減速、タイヤメーカーからの高品質品への引き合いが活発化し、増収増益となった。

 ファインカーボン事業部門は、売上高65%増の175億円、営業利益307%増の40億円。対面業界である半導体、一般産業用市場が堅調に推移する中、売価改善が大きく寄与し増収増益となった。

 工業炉及び関連製品事業部門は、売上高83%増の80億円、営業利益150%増の20億円。自動車向けMLCC(積層セラミックコンデンサ)、LIB市場向けなどの工業炉販売が好調に推移し増収増益となった。

 その他事業部門は、売上高19%増の116億円、営業利益43%増の9億円。摩擦材は建設・産業機械向けの需要増により増収。LIB負極材は、車載向け販売数量増により増収。全体として増収増益となった。なお、通期の業績予想については、売上高、営業利益、経常利益を前回発表の数値から上方修正した。

星光PMCの1-9月期 増収も原料価格値上がりで減益に

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2018年11月14日

 星光PMCが13日に発表した2018年12月期第3四半期の連結決算は、販売先業界の経営戦略に対応した差別化商品を市場に投入した結果、売上高は前年同期比5%増の191億円となった。

 しかし、営業利益は原料価格の値上がりの影響などにより、同9%減の14億円、経常利益は持分法による投資利益の減少などで、同13%減の15億円、純利益は同17%減の12億円と、利益項目はいずれも減益となった。

 製紙用薬品事業では、製紙業界の紙・板紙の国内生産が同2%減の1941万tとなった中で、同社グループは、国内市場・中国市場で差別化商品の売上増加に努めた。この結果、同事業の売上高は同11%増の128億円。 セグメント利益は原料価格の値上がりの影響などで、同1%減の12億円だった。

 印刷インキ用・記録材料用樹脂事業については、印刷インキの国内生産は同3%減の24万3000tと需要が減少傾向となる中、オフセットインキ用樹脂・記録材料用樹脂の売上高が減少した。フレキソ・グラビアインキ用樹脂の売上高は増加したものの、同事業の売上高は同1%減の38億円となった。 セグメント利益は、原料価格の値上がりの影響などで、同15%減の2億円。

 化成品事業の売上高は、主力製品の輸出売上の減少で、同13%減の25億円、セグメント利益は売上高の減少などにより、同30%減の3億円だった。

 通期の業績予想については変更していない。

クラレの1-9月期 減価償却方法の変更などで減益に

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2018年11月12日

 クラレの2018年12月期第3四半期の連結決算は、有形固定資産の減価償却方法の変更などで、ビニルアセテートセグメントが減益となったことなどにより、増収減益となった。

 売上高は前年同期比19%増の4499億円、営業利益は同2%減の572億円、経常利益は同4%減の548億円、純利益は同7%減の351億円。営業利益については、数量・操業度では同185億円のプラスとなったが、交易条件で同マイナス25億円、経費その他がマイナス172億円となり、全体として同11億円の減益となった。

 セグメント別では、ビニルアセテートは増収減益。各事業とも販売を伸ばしたが、有形固定資産の減価償却方法と耐用年数、全社共通費の配賦方法の変更が響き減益となった。

 ポバール樹脂・光学用ポバールフィルム・水溶性ポバールフィルムは、順調あるいは販売数量が拡大。PVBフィルムは原燃料価格上昇の影響を、EVOH樹脂「エバール」は、米国工場の定期修理と能力増強工事遅延の影響を、それぞれ受けた。

 イソプレンも増収減益。イソプレン関連では、ファインケミカル・熱可塑性エラストマー「セプトン」・液状ゴムともに数量が伸びたが、原燃料価格上昇の影響を受けた。 耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」も、自動車用途などで販売が拡大したが、原燃料価格上昇の影響を受けた。

 機能材料は増収増益。メタクリルは好市況が継続したことに加え、高付加価値品の販売が拡大。メディカルは歯科材料のジルコニア系製品の拡充が寄与した。カルゴン・カーボンは米国を中心に販売量が増加したが、炭素材料は汎用用途の販売量が減少した。

 繊維は減収減益。人工皮革「クラリーノ」は、ラグジュアリー商品用途への拡販が進んだ。生活資材では「クラフレックス」で高付加価値品の販売が拡大した。ビニロンは原燃料価格上昇の影響を受けた。通期の業績予想は、前回発表から変更していない。

昭和電工の1-9月期 黒鉛電極市況の高騰などで最高益に

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2018年11月12日

 昭和電工は8日、2018年12月期第3四半期の連結業績を発表した。売上高は前年同期比29%増の7249億円、営業利益は140%増の1345億円、経常利益は217%増の1342億円、純利益は324%増の993億円となった。

 加藤俊晴取締役執行役員は「石油化学セグメントでは定修要因はあったが、収益は想定以上に推移した。黒鉛電極は昨年の平均価格に対し、第1四半期が3倍、第2四半期が3倍強となり、第3四半期は

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BASFの1-9月期 増収も化学品の大幅減により減益に

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2018年11月7日

 ドイツの大手化学メーカーのBASFはこのほど、2018年第3四半期の業績を発表した。同社グループの売上高は、全部門で販売価格が上昇したことにより、前年同期比8%増の156億ユーロとなった。販売量の増加と、8月にバイエルの事業を買収したことも増収につながったが、為替の影響により一部相殺された。

 利益面では、主に化学品部門からの利益が大幅に減少したことで、特別項目控除前営業利益は2億3200万ユーロ減少し、15億ユーロとなった。機能性材料部門、アグロソリューション部門でも特別項目控除前営業利益は大幅減となったが、高性能製品部門では微減にとどまった。「その他」に分類される事業の増益が、これを一部埋め合わせる形となった。

 営業利益(EBIT)に関しては、前年同期には特別項目が1億2200万ユーロだったものの、今期はマイナス7500万ユーロとなった。バイエルの重要事業や資産を買収したことに関連して発生した統合コストに加え、事業再編関連費用も影響を与えた。

 前年同期には皮革用化学品事業をStahlグループに譲渡したことで生じた、高性能製品部門の特別所得が含まれていた。そのため、今期のEBITは前年同期比で4億2900万ユーロ減少し、14億ユーロとなった。

 利息・税金・償却・控除前利益は、前年同期比で2億5400万ユーロ減の23億ユーロ、EBITDAは4億6500万ユーロ減の22億ユーロとなった。

 同社グループの2018年の通期見通しは、昨年の報告書で発表した予測を9月末に修正した。売上高は微増のまま変わらないが、特別項目控除前営業利益は微増から微減に、EBITは微減から大幅減に変更している。

東亞合成の1-9月期 増収減益も基礎化学品は増収増益

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2018年11月1日

 東亞合成が31日に発表した、2018年12月期第3四半期の連結業績は、主力の基礎化学品事業のカセイソーダ販売量増や値上げが寄与し増収となったが、高付加価値製品の価格是正の遅れや同社グループの積極的な設備投資、設備更新による固定費の増加などが利益を圧迫し減益となった。

 売上高は前年同期比3%増の1095億円、営業利益は同10%減の118億円、経常利益は同8%減の127億円、純利益は同9%減の90億円。

 セグメント別では、基礎化学品事業の売上高は同4%増の507億円、営業利益は同5%増の45億円。電解製品は、販売数量が堅調に推移するとともにカセイソーダの値上げが寄与し増収。アクリルモノマー製品は、シンガポール子会社での一部製品の生産停止影響などから販売数量は減少したが、販売価格の是正を行い増収となった。

 工業用ガスは、好調な需要が続き増収。また営業利益は、アクリルモノマー製品の減販や国内での大型定修の影響などが減益要因となったが、カセイソーダや工業用ガスの増益により、全体としては増益となった。

 ポリマー・オリゴマー事業の売上高は同5%増の218億円、営業利益は同32%減の24億円。アクリルポリマーは、粘接着剤や二次電池向けなどに使用される高付加価値製品の販売が拡大、アクリルオリゴマーは、国内外の市場で販売が好調に推移し、共に増収となった。

 高分子凝集剤は、販売数量の増加と販売価格の是正により増収。一方、営業利益は原燃料価格の高騰による変動費上昇に加え、アクリルポリマーの増産対応や、タイ子会社での操業開始関連の費用が増加したことなどから大幅な減益となった。

 接着材料事業の売上高は同3%減の88億円、営業利益は10%減の19億円。高機能無機材料事業の売上高は同6%増の六十億円、営業利益は同10%増の19億円。樹脂加工製品事業の売上高は同1%増の197億円、営業利益は同27%減の9億円。

 なお、通期の業績見通しについては、国内経済は引き続き底堅く推移すると期待されるものの、米国と中国間の貿易戦争激化や原油価格の変動による先行き不透明感などの理由により、前回予想を下方修正した。