DICが14日に発表した2019年1-12月期の連結業績は、売上高が前年比5%減の7686億円、営業利益は15%減の413億円、経常利益は15%減の413億円、純利益は27%減の235億円の減収減益となった。
売上高は、世界的な景気減速の中、電気・電子や自動車向け材料を中心に広範な分野で出荷が落ち込んだ。大幅な減益となった営業利益は、高付加価値製品を中心とする出荷数量の落ち込みや一部品目の製品価格の低下、円高による海外事業の換算目減りが利益を押し下げた。純利益についても、災害や買収関連の一時費用のほか、事業の効率化を目的とした一時費用の発生などが響き大幅減益となった。
セグメント別に見ると、パッケージング&グラフィックの売上高は4%減の4164億円、営業利益は4%減の192億円。売上高は、現地通貨ベースでは0.6%の増収となったものの、ユーロと新興国通貨安の影響により円貨ベースで目減りした。
パッケージ用インキはアジアや南米などの新興国を中心として増収。ポリスチレンは出荷が伸びた半面、原料価格の低下に伴う製品値下げの影響により減収となった。出版や新聞を主用途とする出版用インキは需要減少の影響を受けた。一方で、デジタル印刷で使用されるジェットインキは増収となった。営業利益も売上高と同様に円貨ベースで目減りした。
カラー&ディスプレイの売上高は6%減の1164億円、営業利益は28%減の108億円。カラーフィルタ用顔料の出荷が堅調な一方で、化粧品用顔料や一般顔料の出荷が低調に推移し、TFT液晶は競争激化に伴って製品価格が低下したことで減収減益となった。また、中国での環境規制の強化や貿易摩擦に伴って顔料の原料価格が上昇したことも利益を圧迫した。
ファンクショナルプロダクツの売上高は5%減の2686億円、営業利益は8%減の192億円。PPSコンパウンドは、世界的な自動車生産台数の減少影響を受けて出荷が低調に推移し、スマートフォンや半導体分野を主用途とするエポキシ樹脂や工業用テープは、景気減速の影響を受けて出荷が落ち込んだ。合成樹脂全般も低調だった。
なお、2020年1-12月期の通期業績予想では、全セグメントでの増収増益を見通し、売上高8100億円、営業利益450億円、経常利益440億円、純利益235億円を見込んでいる。