NEDO 燃料電池の新たな研究開発着手、普及を加速

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2021年7月29日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、燃料電池の飛躍的な普及拡大に向け、新たに24件のテーマを採択したと発表した。

 2020年度から実施中のテーマを踏まえて、今後さらに補強すべき分野として、セパレータやガス拡散層(GDL)などの先端的な研究開発のほか、農機や建機、港湾荷役機器、ドローンなど多様な用途での燃料電池の活用を目指す実証事業に着手する。

 燃料電池は、燃料がもつ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するため、原理的に高いエネルギー効率を得られる。また発電時にCO2を発生させないため、GHG排出抑制への貢献が期待されている。

 日本では家庭用燃料電池エネファームを2009年に、燃料電池自動車(FCV)を2014年に世界に先駆けて市場投入した。しかし、今後の自立的な普及拡大に向けて高効率・高耐久・低コスト化が必要となり、また、製品を市場投入したことで多数の課題が顕在化している。

 こうした中、NEDOは、2019年1月にトヨタ自動車や本田技術研究所、燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)らとともに「FCV課題共有フォーラム」を開催し、各々で協調して取り組むべき課題の抽出・共有を行った。

 また、経済産業省とNEDOは同年6月に「水素・燃料電池プロジェクト評価・課題共有ウィーク」を開催し、産学官全体にわたる技術開発の活性化に向けて議論した。

 これらの議論を踏まえて策定された「水素・燃料電池技術開発戦略」に基づき、NEDOは2030年以降燃料電池を飛躍的に普及拡大させるため、2020年度から燃料電池システムに関する大規模な研究開発事業である「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」を実施。

 そして今回、燃料電池のさらなる高度化に向けて、現在のテーマではカバーされていない分野を対象に追加公募を実施し、24件の新規テーマを開始する。

 同事業の推進を通じ、日本の燃料電池技術の競争力をさらに強化し、世界市場で確固たる地位を確立するとともに、水素社会の実現に貢献する。