三菱ケミカルは24日、物質・材料研究機構(NIMS)と共有する赤色蛍光体の中国特許に関して、米Intematix社とその中国関連会社などとの侵害訴訟第二審(最終審)で、第一審に引き続き勝訴し、全面勝訴が確定したと発表した。
三菱ケミカルは、Intematix社などに対し、特許を侵害しているとして中国で行う蛍光体製品の生産および販売などの侵害行為の差し止めと損害賠償を求める訴訟を2015年に深圳市中級人民法院に提起。2019年に同法院によりIntematix社製蛍光体製品の中国での製造・販売の差し止めと損害賠償金の支払いを命じる判決を得た。Intematix社などは、この判決を不服とし最高人民法院に三菱ケミカルを上訴したが、今年2月に同法院はIntematix社などの主張を全面的に退け、特許侵害を認める最終判決を下し、三菱ケミカルの勝訴が確定した。
また、三菱ケミカルは、中国における知的財産権を保護するため、これまで知的財産権を侵害したIntematix社などと、中国Shield社に対して侵害訴訟および行政訴訟を提起して対処してきたが、今回の最終審の判決をもって、約6年間にわたり繰り広げられた中国訴訟は全て終了することになる。
中国はLEDパッケージの最大の生産国であり、赤色蛍光体の主用途である白色LEDデバイスの最大生産量を誇る。その中国で三菱ケミカルが侵害訴訟および行政訴訟の両方で勝訴できたことは、積極的に投資や事業展開を行い、知的財産権を積極的に活用してきた同社にとって意義深いものとなった。また、同社の中国訴訟での勝訴は蛍光体産業のみならず白色LED産業全体に対しても重要な意味をもち、今後の両産業の健全な発展と秩序維持に繋がることが期待される。
三菱ケミカルは今後も、自社・他社の知的財産権を尊重し、他社が同社知的財産権を侵害するようなことがあれば、看過することなく適正な対応を図る考えだ。