宇部興産 ナイロン樹脂が新型FCV高圧水素タンクに採用

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2021年3月5日

 宇部興産はこのほど、トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)の新型「MIRAI」に、高圧水素タンクライナー向けナイロン6樹脂「UBE NYLON 1218IU」が採用されたと発表した。2014年に発売された先代モデルから継続しての採用となる。

「MIRAI」の燃料電池ユニット
「MIRAI」の燃料電池ユニット

 「1218IU」は、「MIRAI」に搭載される高圧水素タンクの最内層の構成部材として使用され、水素が外部に漏れだすことを防止する樹脂ライナーの材料としての厳しい要件をクリア。ナイロン6樹脂としての優れた水素透過防止性能をもつとともに、水素ガスの充填や放出によるタンク温度の急激な変化に対する耐久性、また低温環境下の耐衝撃性などについても極めて優れた機械的性質を示す。

ナイロン6樹脂が採用された新型FCV「MIRAI」
ナイロン6樹脂が採用された新型FCV「MIRAI」

 宇部興産は1959年からナイロン6樹脂の製造販売を開始。グローバルでの生産能力は19万8000tと世界有数の規模を保有している。近年ではより高度化する市場のニーズに対し、顧客との共同開発を通じたコンポジット事業の技術提案力や製品開発力、さらにその安定した品質に基づくソリューション提供型ビジネスを高く評価されている。また、日本・アジア・欧州・北米の4極体制により、「1218IU」についても高圧水素タンクの樹脂ライナー材料として適切なグローバル供給体制を確立している。

 

東亞合成 トヨタの新型FCVに高機能接着剤が採用

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2021年2月2日

 東亞合成は1日、トヨタ自動車が昨年12月から販売を開始した燃料電池自動車(FCV)の新型「MIRAI」に、高機能接着剤製品が採用されたと発表した。採用されたのは、UV硬化型接着剤「アロニックスUVX」と特殊変性オレフィン系ホットメルト「アロンメルト」の2製品。

新型『MIRAI』の燃料電池ユニット(写真協力:トヨタ自動車)
新型「MIRAI」の燃料電池ユニット(写真協力:トヨタ自動車)

 「アロニックスUVX」は、東亞合成の光硬化型樹脂「アロニックス」をベースにした接着剤で、燃料電池セル内の接着が困難な電解膜とセル内部品との接着性や接着剤使用工程上の塗布性を高め、燃料電池内部でのガスのリークを防ぐ接着シール効果を発現する。また、UV硬化により組み立て工程時間を大幅に短縮し生産性向上にも寄与する。一方、「アロンメルト」は、燃料電池セルで使われる金属セパレーター同士を強固に接着し、ガスの流路を確保する。

新型『MIRAI』(写真協力:トヨタ自動車)
新型「MIRAI」(写真協力:トヨタ自動車)

 FCVは、数百枚積層された燃料電池セル内で水素と酸素を反応させることにより発電し、モーターを駆動して走行する。今回開発した高機能接着剤2製品は、燃料電池セル内での水素と酸素の流路を保ち、生成された水の排水性を高めるシールとセル内部品の接着を行うために採用されたもの。いずれの接着剤もFCVの心臓部ともいえる燃料電池の発電システムに重要な役割を担っており、高耐久・高信頼性が要求される車載スペックも満たした。

 東亞合成は、今後とも燃料電池の性能や生産性の向上に資する研究開発を進めるとともに、徳島工場(徳島県徳島市)の電解工場から産出する水素を活用したFCV向け水素ステーションの設置を推進するなど、FCVの普及さらには2050年に向けた脱炭素社会の実現に貢献していく考えだ。