JXTGエネルギーはこのほど、ナノインプリント技術商品「ナノアブル」のラインアップの1つとして、高耐熱拡散板「Nanoable Diffuser(ナノアブル・ディフューザー)」と、高耐熱回折光学素子「Nanoable Diffractive Optical Element(ナノアブル・ディフラクティブオプティカルエレメント)」の販売を開始したと発表した。
近年、長寿命化や環境負荷低減の利点から、レーザーやLEDなどの個体光源が急速に普及し、プロジェクタなどの用途でも高輝度・高彩度・長寿命の実現が可能となっている。個体光源の長所に適合するため、光源周りで使用される光学素子についても、さらなる高耐熱・高耐光・長寿命が必要となり、従来の有機材料製に比べ、より信頼性の高い無機材料製が求められている。
今回販売を開始した「ナノアブル・ディフューザー」と「ナノアブル・ディフラクティブオプティカルエレメント」は、同社が持つナノインプリント生産技術・設備を活用して、無機材料のみで構成された製品だ。光学フィルム製造で培った精密塗布のノウハウを生かし、ガラス基板の表面に無機材料を用いてインプリント(元型を基材に押し付けて表面に微細な凹凸構造を形成)したもの。
「ナノアブル・ディフューザー」はチップサイズの透過性の拡散板で、高い耐熱性、耐光性を持つ。従来品と比べて光透過率や拡散形状制御などに優れるため、レーザーなどの光源の利用効果率を高めることが可能。プロジェクタや車載LiDAR、ヘッドランプなどへの活用を見込んでいる。
一方、「ナノアブル・ディフラクティブオプティカルエレメント」はチップサイズの回折光学素子で、従来のリソグラフィなどの工程と比較し、大量生産時の製造コストを低減できる。急速に普及が予想される3Dセンシングなどへの活用を見込む。いずれもカスタマイズが可能で、個別設計に合わせた受託加工にも対応する。
同社はJXTGグループ行動基準の1つ「価値ある商品・サービスの提供」の下、「ナノアブル」の展開を通じて革新的な製品を提供し、社会の発展と顧客の多様なニーズに応えていく方針だ。