三菱ケミカルは15日、3Dプリンティング用樹脂パウダーを製造販売するAM Polymers社(AMP社:ドイツ・ヴィリッヒ市)と、PBT(ポリブチレンテレフタレート)パウダーの共同開発と販売に関する独占的な業務提携に合意したと発表した。これにより、三菱ケミカルは、3Dプリンティング用樹脂パウダーの製造販売事業に初進出する。
一方、AMP社は、3Dプリンティングの製法の1つである粉末造形法に使用される樹脂パウダーを専門に取り扱う。3Dプリンタの市場が拡大している欧州を中心に顧客基盤を確立しており、ポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂を粉末化する過程で、3Dプリンティング用に造形性・物性を強化する技術に優れる。
同提携に基づき、三菱ケミカルでは、PBTを組成段階から3Dプリンティング用にカスタマイズし、難燃性などの物性を付与できるパウダーを共同開発。開発品のPBTは、樹脂パウダーとして主流となっているPA12(ナイロン12)に比べて吸水性が低いため、造形時の取り扱いが容易といった特長がある。近日中に顧客評価のための試作品を欧州で順次提供していく予定だ。粉末造形法による3Dリンティングは、パウダーから造形するため複雑な形状が可能で、造形時間も短いため、量産性が必要とされる自動車や航空機部品への採用が期待されている。
三菱ケミカルは、今回の提携を通じて3Dプリンティング用の樹脂パウダーの開発と販売ネットワークを強化し、積極的に事業を展開していく。