日本ゼオンは16日、福井県敦賀市の光学フィルム工場で、大型TV向け位相差フィルムの製造ラインを新規増設することを決定したと発表した。
敦賀地区ですでに購入済みの敷地に新規設備を建設。量産開始は2020年4月を予定しており、操業人員の新規雇用を計画している。
「ゼオノアフィルム」は、同社独自のポリマー設計技術で開発した熱可塑性プラスチック(シクロオレフィンポリマー)から、世界初となる溶融押出法により生産された光学フィルム。
シクロオレフィンポリマーの特性である高い光学特性と優れた寸法安定性があり、大型TVやモバイル機器のディスプレイ向けに、視野角補償や反射防止などの機能をもたせる位相差フィルムを中心として需要が拡大している。
今回の投資は、液晶パネルの大型化に対応するもので、特徴として世界最大幅(2500mm幅クラス)の位相差フィルムの生産を可能としたもの。新ラインの生産能力は、年間5000万㎡の計画であり、既設の能力と併せて、TV向け位相差フィルムの生産能力は1億6900万㎡となる。
同フィルムは、グループ企業で製造子会社であるオプテス北陸工場の高岡製造所(富山県)、氷見製造所(富山県)、敦賀製造所(福井県)の3拠点で製造されている。同社は、富山県と福井県敦賀市に生産拠点を分散させることで、有効なBCP(事業継続計画)対策としていく考えだ。