クラレの2018年12月期第3四半期の連結決算は、有形固定資産の減価償却方法の変更などで、ビニルアセテートセグメントが減益となったことなどにより、増収減益となった。
売上高は前年同期比19%増の4499億円、営業利益は同2%減の572億円、経常利益は同4%減の548億円、純利益は同7%減の351億円。営業利益については、数量・操業度では同185億円のプラスとなったが、交易条件で同マイナス25億円、経費その他がマイナス172億円となり、全体として同11億円の減益となった。
セグメント別では、ビニルアセテートは増収減益。各事業とも販売を伸ばしたが、有形固定資産の減価償却方法と耐用年数、全社共通費の配賦方法の変更が響き減益となった。
ポバール樹脂・光学用ポバールフィルム・水溶性ポバールフィルムは、順調あるいは販売数量が拡大。PVBフィルムは原燃料価格上昇の影響を、EVOH樹脂「エバール」は、米国工場の定期修理と能力増強工事遅延の影響を、それぞれ受けた。
イソプレンも増収減益。イソプレン関連では、ファインケミカル・熱可塑性エラストマー「セプトン」・液状ゴムともに数量が伸びたが、原燃料価格上昇の影響を受けた。 耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」も、自動車用途などで販売が拡大したが、原燃料価格上昇の影響を受けた。
機能材料は増収増益。メタクリルは好市況が継続したことに加え、高付加価値品の販売が拡大。メディカルは歯科材料のジルコニア系製品の拡充が寄与した。カルゴン・カーボンは米国を中心に販売量が増加したが、炭素材料は汎用用途の販売量が減少した。
繊維は減収減益。人工皮革「クラリーノ」は、ラグジュアリー商品用途への拡販が進んだ。生活資材では「クラフレックス」で高付加価値品の販売が拡大した。ビニロンは原燃料価格上昇の影響を受けた。通期の業績予想は、前回発表から変更していない。