東ソーはこのほど、文部科学省ナノテクノロジープラットフォームが主催する2018年度の「秀でた利用成果」で、優秀賞を受賞したと発表した。受賞した開発課題は「ジルコニアセラミックスの力学特性劣化機構の解明」。
ファイン・セラミックスの一種である高強度ジルコニアは、高温大気や熱水中の厳しい環境下に長時間さらされると、結晶相変態による強度劣化のため常温使用に用途が制限されていた。この本質的な弱点を克服するため、同社は劣化モデルの立案とその特性改良に取り組み、従来の概念を覆す超高耐久性ジルコニアの開発に成功した。
今回、東京大学・微細構造解析プラットフォームの高度な解析技術を利用して、この劣化モデルの妥当性を検証し強度劣化の仕組みを解明。産学連携により、理論に裏打ちされた超高耐久性ジルコニアの提案に至った。これまで制限されていた厳しい環境下での使用が、さらに拡大すると期待されている。
「秀でた利用成果」は①ナノテクノロジープラットフォームの活用・支援が大きな効果をもたらしたもの②イノベーションの創出にあたって大きな影響が期待できるもの③産業界・大学・公的機関の連携により大きな成果が得られたものという3つの基準で審査される。イノベーションに繋がることが期待される秀逸な成果を表彰している。
なお、今回受賞した開発成果を含む高機能材料製品を、「新機能性材料展2019」(東京ビッグサイト。30日~来月1日開催)に出展する。