ダイセルは28日、独自開発したジェットインジェクター「アクトランザラボ」の提供を、29日から開始すると発表した。
アクトランザラボは火薬の燃焼エネルギーで駆動するパイロドライブジェットインジェクター。充填した薬剤候補物質を、高速のジェット流として先端のノズルから射出する。このジェット流は瞬時に皮膚を通過し、薬剤候補物質は生体内へ速やかに注入、分散される。
これまでの研究成果から、アクトランザラボを用いて遺伝子などの高分子物質を投与すると、投与物質を細胞内にデリバリーできることを動物実験で確認している。
ダイセルは2017年度から3年間の中期経営計画「3D‐Ⅲ」で、医療分野への注力を掲げており、その一環として医療用の投与デバイスの開発を進めている。同社の火薬工学技術(パイロテクニック)を応用したこのデバイスは、遺伝子などの高分子物質を細胞内へ効率的にデリバリーできる可能性があり、将来的なヒトへの臨床応用も見据え、動物実験用にアクトランザラボを開発した。
アクトランザラボを製薬企業などの研究機関へ提供することで、ヒトへの応用に向けた研究を進め、遺伝子治療薬や核酸医薬、DNAワクチンなど、革新的な医薬品の実現につながる新たな薬剤投与の方法(DDS=ドラッグデリバリーシステム)の実現を目指す。