NEDOなど 酸素生成光電極を開発、太陽光で水を高効率に分解

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2019年2月13日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)はこのほど、東京大学とともに、窒化タンタル(Ta3N5)光触媒を使い、太陽光で水を高効率に分解できる赤色透明な酸素生成光電極の開発に成功。水の分解反応による水素/酸素製造で、世界トップレベルの太陽光エネルギー変換効率5.5%を達成した。

 ARPChemには三井化学・三菱ケミカル・富士フイルム・国際石油開発帝石・TOTO・ファインセラミックスセンターが参加している。

 この成果は、今回開発に成功した窒化タンタルからなる赤色透明な酸素生成光電極と水素生成光電極を組み合わせた、2段型構造の水分解用タンデムセルを構成することで得られた。エネルギー変換技術としての人工光合成の有用性を示すものとなっている。

 今回開発した酸素生成光電極は、より波長の長い光を水分解に利用できる水素生成光電極との組み合せに適しているという。今後は光電極のさらなる高性能化と水分解用タンデムセルの構造最適化を進め、2021年度末までに、目標とする太陽光エネルギー変換効率10%の達成を目指す。

 NEDOは、太陽光のエネルギーを利用して水から生成した水素と工場などから排出されるCO2から、プラスチック原料などの基幹化学品(C2~C4オレフィン)を製造する基盤技術開発に取り組んでいる。同プロセスを実現するためには、光触媒のエネルギー変換効率の向上が重要なカギとなっている。