東洋紡はこのほど、欧州独立系運用会社のカプリコーン・ベンチャー・パートナーズ(ベルギー、ルーヴェン市)が運用するベンチャーファンドに参加したと発表した。今後は、同ファンド投資委員会のオブザーバーとして、ベンチャー企業の支援を行うとともに、ファンドを通じて得られる新技術や新事業の情報を活用し、持続可能な化学分野での事業拡大に注力していく考えだ。
同ファンドは、カプリコーン・サステナブル・ケミストリー・ファンド(CSCF)。「持続可能な化学」の考えに基づき、特に機能材・食品・飼料・繊維・燃料などの分野で成長企業に投資を行っており、昨年12月に締め切られた2次募集で8650万ユーロの資本金を確定した。背景には、近年の環境問題への先進的な取り組みで、欧州が主導する国際的な潮流がある。
東洋紡は、同地域に基盤をもつファンドに参加することで、将来的な事業成長拡大に資する情報や投資機会を得る意義は、非常に大きいとしている。また、CSCFの投資方針は、同社の志向する事業分野に適合性が高いこともその理由。同ファンドの経営陣は化学・生化学などの事業経験者を中心に構成されているなど、同社の目的に合った投資ファンドであると判断し、今回の参加を決めた。
なお、「持続可能な化学」とは、経済協力開発機構(OECD)の定義によれば、「化学製品およびサービスに対する人間のニーズを満たすために、天然資源が使用される効率を改善することを目的とした科学的概念であり、効率的・効果的なプロセスの設計、および安全で環境に優しい化学製品の製造・使用を含む」とされている。