宇部興産は8日、連結子会社のウベコーポレーションヨーロッパ(UCE)が、スペインのコンパウンドメーカーであるレポール社を買収したと発表した。3月29日に株式譲渡契約書を締結し、31日に株式の過半数を取得した。
レポール社はナイロン6、ナイロン66をはじめとし、ポリプロピレン、ポリアセタールなどの樹脂を原料とするコンパウンド事業を欧州で展開している。その製品は自動車を中心に、産業資材や電機・電子分野など、幅広く使われている。
宇部興産はナイロン6事業を積極拡大事業と位置づけ、市場優位性をもつ押出用途のさらなる強化と射出用途の事業領域拡大を進めている。
今回の買収では、ナイロン6事業での技術・販売の補完関係に加え、レポール社のもつナイロン以外の樹脂でのコンパウンド技術と、製品開発力を獲得することができる。また、プラスチック包装材への環境規制が厳しくなる中、レポール社のもつリサイクル技術は、今後の宇部興産グループのグローバルな製品開発・事業展開に寄与することが期待される。
同社グループはUCEが保有するコンパウンド工場に加え、自動車の軽量化に向けた樹脂化をけん引する欧州市場に、新たな事業拠点を獲得することになる。
また、宇部興産のもつ日本・タイの製造拠点とのシナジーを通じ、欧州だけでなく環大西洋とアジアでも、自動車分野などへの射出・コンパウンド事業展開をより一層加速させていく。